第101話 仕方のない事なのかもしれない



 そしてこんこんと叩かれた事を不服そうにしているダニエルに、アンナにも聞こえるように小等部三年になるまで待つように言うのだが、それでもダニエルは納得いっていないのか『三年になってテイムを教えてもらってもテイムできる魔獣は雑魚しかいないじゃないか』と反論する。


「ですが、魔獣と心を通わせ、一緒に経験しながら苦難を乗り越える事で人が成長するように魔獣も一緒に成長していきます。それに出会った時はダニエル君から見ればまだ弱い存在かもしれませんが、魔獣側から見ても同じだとも思います。自分が他人から『雑魚だから要らない』って思われたらどう思いますか?」

「……そ、それは嫌だし、見返したいと思う」

「そういう人と仲良くできそうですか?」

「……無理だと思う」

「ダニエル君、魔獣は道具ではないです。魔獣も私たちのように生きていますし言葉は通じないかもしれませんが、その態度から見下されているのか必要とされているのかくらいは見透かされますよ」

「…………」

「それに、先生の言う事ももっともだが一緒に強くなっていくのも悪くないぞ? 私のミャオも私と一緒に強くなっていったんだ。戦闘力こそ低いが今ではミャオの能力にかなり助けられているし、それが誇らしく思うし、私とミャオは召喚獣という枠組みを超えてパートナーでもあり戦友でもあるし、ダニエル君もテイムした魔獣とはそういう特別な関係になりたいとは思わないかい?」


 私たちの担任であるメアリー先生が諭すように言うと、テレサさんもそれに合わせて話始める。


「…………それもそうだな。確かに今弱いのは俺も同じなのに。でもだからこそ俺と一緒に強くなって行けばいいんだっ!! それにこっちの方が『相棒』って感じがするしなっ!!」


 そしてダニエルは先生たちの説得に見事嵌り、目を輝かせ少し興奮気味に話始める。


 まったく、これだから男ってやつは単純な生き物ね。


 そう思いながら私はアンナの方へ視線をやると、静かに聞いていたと思ってい他のだが恋する乙女の目をしながらダニエルへの事を見つめているではないか。


「ダニエル……素敵……っ」


 え? どこが?


 と、アンナが零した言葉が耳に入って来るのだが、理解不能過ぎて全く共感ができなかったのだが、それを思わず口にしてしまいそうになるのを寸前で止める事ができた私を誰か褒めて欲しい。


 こんな子供のどこが良いのか。やはり私はお父さんみたいな男の人が異性として素敵だと思う。


 まぁ、お父さんと比べるとほとんどの男性は見劣りしてしまうので仕方のない事なのかもしれない。

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