02 はじめに

 イメージしてみて下さい。

 

 あなたは、読んでいた小説のページに栞を挟み、部室の窓から空を見上げます。

 秋の空は高く青く澄んで、何処までも見渡せそうな気がします。

 そしてあなたは、その澄んだ空の、もっと上に広がっている宇宙を想像します。

 

 宇宙の名前は「文芸」。

 今は見えないけれど、そこには数え切れない星々が輝いている。

 

 例えばそんなイメージを。


 その星ひとつひとつには、登場人物達の営みがあります。

 家族団らんの食卓があり、繋いだ手の温もりがあり、抑えきれない怒りがあり、止まらない涙があります。

 生命や、争いや、冒険や、未来があります。

 それは緻密でも、稚拙でもそれぞれが、ひとつの世界のようです。


 太陽の強い光射す青空に、その星々の光は余りに弱く見えません。でも、小さな世界を乗せた星々は、確かに今も光を放っているのです。

 

 イメージしてみて下さい。

 あなたは空を見上げ、そう想う。

 例えばそんなイメージを。


 

 この度は、我が文芸部の部誌「空、想ふ」をお手に取って頂きありがとうございます。

 「空、想ふ」はとても狭く小さな空ですが、ここに輝く星たちが織りなすそれぞれの世界を、どうぞ最後までお楽しみ下さい。


イマジナリー文芸部

部長 イマジナリー部長

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