第11話 播磨の激闘と新たな戦局

#### あらすじ

第十三話では、藤堂高虎(演:佐藤健)が播磨の地で繰り広げられる激闘に挑む姿と、戦局が大きく動き始める様子が描かれます。これまでの戦いの経験を糧に、新たな局面へと進む高虎の奮闘が焦点となります。


### 第一幕

物語は、高虎が播磨国における別所長治(演:中村勘九郎)との戦闘に向けて準備を進めるシーンから始まります。高虎は、秀長からの指示を受けて兵力を整え、戦略を練りながら出陣します。彼は、これまでの戦いで培った知識と経験を活かし、別所軍との接触を図ります。


高虎の妻(演:北川景子)は、戦いに出る夫を見送りながら、家族の安泰を願い、彼に対する支えとなる決意を固めます。彼女の支えが高虎にとって重要な力となることが暗示されます。


### 第二幕

播磨国での戦いが本格化し、高虎とその部隊は敵陣に接近します。戦場では、別所軍との緊迫した攻防が繰り広げられます。高虎は、戦術を駆使して別所軍の拠点を攻撃し、彼の知略と指揮力が発揮されます。


高虎は、別所長治の家老たちと対峙し、戦局を有利に進めるために数々の策略を巡らせます。一方で、高虎の部隊は激しい抵抗に直面し、戦況は一進一退の展開を見せます。


### 第三幕

高虎は、戦闘の中で数々の困難に直面しますが、彼の冷静さと判断力が試される場面が続きます。特に、別所軍の精鋭部隊との戦闘では、戦術的な駆け引きが重要な要素となります。


また、高虎の妻から送られた激励の手紙や、彼の家族を思う気持ちが戦いの中での支えとなり、彼の士気を高める要素として描かれます。彼の家族への思いが、戦局を有利に進めるための力となっていきます。


### 第四幕

激しい戦闘が続く中、高虎はついに別所長治との直接対決の機会を迎えます。長治との一騎打ちでは、高虎の戦術と技術が全開となり、戦いのクライマックスが描かれます。長治との戦いでは、高虎の覚悟と決意が試され、彼の成長が鮮やかに表現されます。


高虎は、戦闘中の冷静な判断力と巧妙な策略を駆使して、長治との戦いを有利に進め、ついには勝利を収めることに成功します。勝利の瞬間、高虎の胸には安堵と誇りが交錯します。


### 結末

戦闘の終息とともに、高虎は播磨国での戦いを終え、戦局の安定に貢献します。彼の功績は評価され、さらなる地位の向上と領地の拡張が約束されます。また、高虎の家族や部隊も彼の帰還を喜び、安堵のひとときを迎えます。


一方、戦後の平和な時期には、高虎が家族との時間を大切にし、新たな計画や戦略を練る姿が描かれます。彼は、戦いを通じて得た経験を生かし、次なる目標に向けて進む決意を固めます。


### キャスト

- **藤堂高虎**:佐藤健

- **羽柴秀長**:松坂桃李

- **一色修理太夫義直**:國村隼

- **義直の娘(高虎の妻)**:北川景子

- **別所長治**:中村勘九郎

- **高虎の部下**:濱田岳、柄本佑


### 見どころ

第十三話「播磨の激闘と新たな戦局」では、藤堂高虎が播磨国での戦闘に挑む姿が描かれます。高虎の知略と戦術が織りなす緊迫した戦闘シーンが見どころであり、彼の成長と家族との絆が物語の中心に据えられています。また、戦いの中での人間ドラマと戦局の変化が、次回への期待を高めます。


### シーン: 三木城攻めの前夜、藤堂高虎の陣中


**藤堂高虎**(佐藤健)は、松明の灯りに照らされた地図をじっと見つめている。周囲は静まり返り、士族たちの雑談が遠くから聞こえる。彼の横には、家臣の**浅井吉政**(加藤諒)が立っている。


**浅井吉政**: 「高虎様、決戦の準備は整いました。兵糧や武器も万全です」


**藤堂高虎**: 「うむ、よくやった。しかし、これからの戦いがどれほど厳しいかを考えると、心が重い」


**浅井吉政**: 「長治様の離反は、まさに驚くべきことでした。彼が織田家に従っていたとはいえ、今や敵となったのです」


**藤堂高虎**: 「そうだ。別所長治は、我らが攻める三木城の主だが、彼自身もまた我々と同じ戦国の人間。若くして家督を継ぎ、未熟さの中で戦うその姿には、同情の余地がある」


**浅井吉政**: 「しかし、長治様の決断が私たちにとっては脅威であり、また信長公の命令を果たさなければならないのも事実です」


**藤堂高虎**: 「理解している。だが、この戦は単なる力比べではない。長治の家族や家臣たちもまた、人間らしい悩みや苦しみを抱えているはずだ」


**浅井吉政**: 「長治様の辞世の句をお聞きしましたか?」


**藤堂高虎**: 「『今はただ うらみもあらじ 諸人の いのちにかはる 我身とおもへば』か。壮絶で、そして悲しい詠みだ。彼の心中の葛藤が、いかに深いものであったかを物語っている」


**浅井吉政**: 「戦の後、彼の家族はどうなるのでしょうか? 上津城に逃げたと言われる千代丸君も、どこにいるのか…」


**藤堂高虎**: 「それもまた、我々の心に残る重荷だ。戦が終われば、彼の家族を守るために何かしらの手立てを講じる必要があるだろう。しかし、まずは戦に勝たねばならぬ」


**浅井吉政**: 「了解しました、高虎様。」


**藤堂高虎**: 「さて、寝る前に一つだけ。明日の戦が長引けば、我々の勝利も遠のく。全力を尽くし、迅速に事を済ませるべし」


**浅井吉政**: 「はい、心得ました」


高虎は静かに立ち上がり、夜空を見上げる。彼の目には、戦の終息を願う深い思索の色が浮かんでいる。


**藤堂高虎**: 「戦国の荒波に翻弄される者たちよ、どうか無事に生き残り、平和な日々を迎えることができるよう祈るばかりだ」


高虎は静かに地図を畳み、夜の静寂に包まれた陣中へと戻る。


---


このシーンでは、高虎の人間味と、戦国時代の悲劇的な状況に対する彼の理解と同情を描きました。高虎が敵対する者たちに対しても深い尊敬と同情を抱く姿が、彼のキャラクターを際立たせるものとなっています。


 浅井吉政は浅井氏庶流・浅井盛政の子として誕生。浅井亮親の養子となるが、天正元年(1573年)に浅井氏宗家であり、主君の浅井長政が、織田氏に本拠の小谷城を攻められて滅亡(小谷城の戦い)した際、養父の亮親も処刑されている。難を逃れた吉政は、実父の盛政と共に藤堂高虎に仕え、高虎の甥の賢政を養子に迎えた。しかし、藤堂一族の専横独占に不満を持ち、賢政との養子縁組を解消した上で父と共に出奔し、羽柴秀吉に仕えた。


天正11年(1583年)の賤ヶ岳の戦いでは、柴田勝家に属して戦い、羽柴方の加藤嘉明によって討たれた。なお、同族の浅井井頼、平野長泰、渡辺了に討たれたという説もある。


 別所長治は元亀元年(1570年)、父・安治が没すると叔父の吉親(賀相)・重宗(重棟)を後見役に若くして家督を継ぐ。


別所氏は早くから織田信長に従っており、家督を相続した長治は天正3年(1575年)7月に信長に謁見、その後たびたび上京し信長に挨拶している。


天正5年(1577年)2月、信長が紀州征伐へ出陣すると、別所氏もこれに加勢。『信長公記』には長治の名があるが、長治自身は参陣せず、重宗を派遣したと考えられる。


天正5年10月、播磨平定のため羽柴秀吉が送り込まれてくる。秀吉は播磨の国衆から人質を徴収して播磨の大部分を平定し、織田氏と敵対する毛利方の上月城(播磨西端、兵庫県佐用町)を落城させ、長治は秀吉に協力する姿勢を見せていた。しかし天正6年(1578年)2月、長治は織田氏から離反、三木城に立て籠もり[22]毛利氏に通じた。


この離反については、秀吉や信長に不信を抱いていた叔父・吉親の勧めによるものといわれ(『別所長治記』)、毛利氏のもとにいる足利義昭から離反工作を受けていたことからその影響が考えられる(「吉川家文書」)。また、別所氏以外の播磨の有力国衆らもこの時織田氏から離反しており、別所氏単独での行動でなく、それら国衆と連携したうえでのものである可能性がある。


離反した長治に対し、秀吉はすぐに三木城攻めを行う[30]。天正6年4月には野口城が落とされ、7月には神吉城や志方城が落城するなど、三木城の支城は次々と失われていった。


また、籠城中の天正6年4月、理由は不明だが、参議の冷泉為純・為勝父子を殺害している。


毛利方から三木城への兵糧搬入経路が断たれ苦戦する中、天正7年(1579年)9月、毛利氏や本願寺からの援軍とともに三木城を包囲する織田軍を攻め、織田方の武将・谷衛好を討ち取っている。


しかしその後、包囲はより厳重になり、「三木の干殺し」と呼ばれる兵糧攻めが本格化し、籠城開始から2年後の天正8年(1580年)1月、長治・友之(弟)・吉親の切腹と引き換えに城兵を助命するとの条件で開城を決めた。秀吉からの贈物で最後の宴を催した後、長治は妻子や弟らとともに自害。介錯は家臣の三宅治忠が行った。享年23、または26とされる。


辞世は「今はただ うらみもあらじ 諸人の いのちにかはる 我身とおもへば 」。


なお、別所重宗の嫡子で後の八木藩主・吉治が実は長治の子であるとする系図が伝えられており、落城の際に連れ出され落ち延びたものとしている。


また「北摂三田の歴史」(北康利著)等で紹介される『上津畑ノ庄茶臼山記』という史料によると、家臣の後藤基国(後藤基次(又兵衛)の父)が、長治の千代丸という8歳の子を乳母、家来とともに上津城に逃がし、同城落城後に千代丸は帰農したとされている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る