第6話 ひとり暮らしは、自由と孤独のはじまり

「ひとり暮らしは、自由と孤独のはじまり」



専門学校の合格通知を受け取った日。

リナの目は輝いていた。

高校の先生が背中を押してくれたおかげで、無事に進学も決まり――

待ちに待った、夢の「ひとり暮らし in 東京」がスタートした!


「憧れの都会、キラキラの毎日が始まる〜〜!」


上京初日。

小さなワンルームに段ボールだらけの部屋。

それすらも“可愛い部屋”に見えた。

カーテンはピンク、ベッドカバーもピンク。

憧れの「女の子の部屋」に胸が躍る。


リナは思わずゴロンとソファに寝転んだ。


「え、これ夢かな?私、今ほんとに“大人”?」


好きな時間に起きて、好きな服を着て、夜更かししても誰にも怒られない。

コンビニ弁当だって、毎日食べ放題。

ちょっと寂しいけど、ちょっと楽しい。


でも、そんな天国モードは…長くは続かなかった。


(あれ…こんなにお金かかるの!?)


家賃、水道光熱費、スマホ代、食費、そして…交通費。

毎月ギリギリ。いや、ちょっと赤字。

しかも、学校の課題も意外とハード。

週末もバイトに追われて、部屋はすぐに洗濯物とゴミでいっぱい。


「もう!誰か片付けて〜〜!!」

叫んでも、返事はない。


一人って、自由だけど孤独。

自由すぎて、ちょっと怖い。


そんな中、時間だけは容赦なく進んで――気づけば2年目に突入。

あんなに「夢だった」東京生活が、ちょっと色あせてきたころ。

就活シーズンが、じわりと迫っていた。


ある日、親友のユマとカフェでダラダラおしゃべり中。

ふいにユマが、爆弾を投下する。


「ねぇ、リナ。就活、してる?」


「え?もちろん……してるよ?」

笑顔をキープしつつ、内心は大パニック。

(あっ、やばい。マジで何もしてない)


「この業界、ほんと狭き門なんだから!早く動かないとマジで詰むよ?」

ユマの真剣な声が痛い。


リナは必死にごまかす。


「えへへ、大丈夫大丈夫。手は打ってあるからさ〜。余裕っしょ!」


「えっ!?いつの間に!?」

ユマはびっくりしてるけど、リナの“余裕風”に少し安心したようだった。


けれど――


(うそだよ。何にも手を打ってないし、どこから始めればいいのかも分かんない…)


リナの心の中では、焦りと不安がぐるぐる渦巻いていた。


あれほど憧れていた「都会のキラキラ」は、

いつの間にか「モヤモヤ」と「プレッシャー」にすり替わっていた。


「明日から本気出す…!」

リナは心の中でこっそりつぶやいた。


でもその“明日”がいつ来るのか――

このときのリナには、まだわからなかった。

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