第8話 高梁市の神社

鈴が倒れて3日目 12時



尊は、鈴の両親の気持ちに甘えて会社には行かず…


家に帰ることにした。



次はどこの神社だったかな…


スマホを見て行くと…


一昨年の10月…


岡山県高梁市にあった神社だな…



確か…


俺と鈴の好きなバンドのライヴが岡山であったから


ちょうど仕事が休みになったから行ったんだ…


せっかくだから泊まって…


翌日、鈴が行きたかった高梁市に観光に行ったんだ…



でも、すごくいい町並みで…


楽しかった…


また、鈴と旅行に行きたい…



―――感傷に浸ってる場合じゃないぞ…



尊は、すぐ写真の上に石を置いた…


そして、目を開けると…


そこは、神社の前だった。



階段を上ると狛犬が左右にいて…


そのすぐ上に、木の鳥居がある…


そこをくぐると、階段が続く…


登りきると…そこには広い敷地の中に小さな本殿がある。



ここは、創建の年は判然としないが歴史の中で


明和2年(1765年)と刻まれているらしい。


銅山の守護神として、長い間手厚く祭られていたが


昭和47年(1972年)の廃山により、次第に過疎化が進み、御神体は別の神社に合祀されていると書いてある。



―――そうだったのか…


―――あの時は、ちゃんと読んでなかったかもな…



―――幸い、誰もいない…石を置いてみよう。



尊は、本殿に石を置いてみた。


でも、石は光らない…


―――やっぱり、ここもダメなのか…


―――とりあえず、家に帰ろう…



俺も、鈴も音楽が好きだったけど…


鈴のおかげでライヴに行こうと思えた…


一緒に行ったライヴは、元々は鈴が好きだったバンドだった。


でも、一緒に行って俺も好きになった。


対バンのライヴだったけど…


行ってみたら対バンのバンドもすごく良くて…


俺は、その音楽を聴いて…


いつの間にか泣いていた…


鈴は、びっくりしてたな…



俺は、鈴のおかげで色々なことに興味を持つようになった。


旅行だって、そうだ…


俺は、旅行に一ミリの興味も無かった…


でも、鈴が誕生日プレゼントに旅行に行きたいって言ったのが、きっかけだった。


それから、毎年旅行に行くようになって…


すごく楽しくなった。


鈴が、そばにいたから…


俺は、楽しく生きている。



本当に鈴がいなくなったら…


俺は、どうしたらいいか分からない…



鈴は、なぜ石を持って帰ったのか…


何か悩みでもあったのかな…



そういえば…


鈴のスマホを家に置いたままにしてた…


スマホに何か手がかりがあるかもしれない…


でも、勝手に見るのは忍びない…


とりあえず、誰かから連絡が来てるかもしれないし…



確か…ロック解除の番号は俺の誕生日にしてると言ってた…


―――鈴、ごめん…勝手に見るよ。



尊は、鈴のスマホを開いた…

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