不器用

「自転車、返して……」

そう言っているのに、友人は僕の自転車を押して、構わず進んで行く。

「うん、ちょっと黙っててくれるかな」


道端で行き倒れてた人は大人しく、ゆっくり着いてきてよ。

友人は、後ろを振り返らずに言った。僕が泣き顔を見られるの、苦手な事知ってるんだ。優しいね、君は。

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