道なき。


 すり減らした靴底には穴が開き

 懐中時計は時をとめた

 手にした水は残りわずか


 それでも前へ

 拳のうちに爪をたてて前へ


 愛したものを捨てただけの責任はある

 この道をゆくと決めたのは私だから

 この道なき道を

 

 だからこそ前へ

 額から垂れた汗が目に入っても


 瞬きもせず


 誰もいない

 ただヒースの咲く紫に染まった丘だけが続く

 あの石までいけば何か見えるだろうか

 また同じ丘が続くのだろうか


 それでも前へ

 拳のうちに爪をたてて前へ


 この衝動が胸に暴れるうちは


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