だっこした。


 だっこした。

 きみのさみしさを。

 ほろり、天に昇って消えた涙のひとしずく。


 君の形は、もう幼くはないけれど、

 君の中にいる悲しみは少年のまま。


 だっこした。

 わたしのわがままで。

 ぽつり、零した嘘は、もう信じてない。


 君の形は、もう人ではないけれど、

 わたしの中の君の記憶は少年のまま。


 あいしてるの万能さは、

 あっという間に使い古されて、

 ああ、つまんないなって、

 みんな困ったように笑うんだ。


 だっこした。

 君達を見送った自分の決断を。

 その背中が視界から消えたら、


 世界も消えるだろう。

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