沐浴をする女
進藤 進
第1話 今宵も
私は奴婢。
今宵も大王(おおきみ)の夜伽を命じられた。
嫌なのに。
嫌な、はずなのに。
私の陰部(ほと)が。
冷たい川の水の中で。
ヌルヌルと。
濡れている。
板葺きの床。
土に敷く藁ではない柔らかな布の上で。
眠れる幸せ。
甘美な官能を噛み締めながら。
背中に爪を立てる。
その時を。
思い浮かべながら。
私は。
そう。
沐浴するのです。
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