壁の先には

目の前にある壁を認識したのは何時の頃だったか覚えていない。ぶつかりつづけ手さぐりで触って、分かる事は先に進めない。何も見えず闇が在る。触りながら壁の終わりを探すが、何も変化が無い。耳を当てて聞くと壁の先から、かすかに何かの音が聞こえる。生きていると分かった事で壁の天井が消えて。空から刺す光に気付き周囲を見渡せるようになった。私は円形の壁に囲まれてしまっているのに気付いた。


壁の観察を続け殴っても壊れる事は無く。何らかの仕組みが在るとしたら、自分自身に起因する事なのだろう。そう思うと壁が崩れ去っていった。壁の外には人が居て。私は壁から出れたことで、むせび泣いた。


壁の外では沢山の声が聞こえ。わたしはおはよう世界と見付けた人に声をかけた。私の口から銃弾が放たれ、相手の胸に穿たれた。相手も同じようにおかえり世界と言い銃弾を放ち、私の胸に銃弾が穿たれた。不思議と痛みがなかった。


打ち合いを続け傷は無く。内側で種が芽吹いたのが分かった。銃弾は種だったのだ。気付いた頃には豊かさを手に入れてた。実りがあるという事は先ず発する事も大事なのだと私は気づいてしまった。


歩き回っている都度壁に出会い囲まれ。壁が悩みだと気づいたときにはもう。私は理解してしまった。理解度が深まる度に壁は消えていく。


出会う人々は必ず発する事で銃弾を撃ち合い。私は掛け替えの無い実りを得た。壁へ。人々へ。感謝している。どうしようもない自分が自分が変われたのは、ほかの誰でもない皆さんのおかげだ。


ありがとう。誰もいない場所で呟いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る