26 赤ちゃんモンスター召喚配信

「太一くん、配信を始める。3、2、1」


「こんばんはー。今日はキューちゃんのお仲間狙いの、モンスター召喚を配信をしたいと思います。それで、みんなから──」


 もらった魔力をどれくらい使うのか、どれくらいの価値なのかを説明することにしたんだ。

 今日モンスターガチャに注ぎ込むのは、予定通り20万ポイントだよ。


「この20万の魔力ってさ、一番初めに報酬で出したマジックバッグの10個分なんだ。凄くお高いでしょ? でもこれには理由があるんですよ」


 初めてのモンスターだった、チーちゃんたちとキューちゃんは10万ポイントだったからね。しかも最初のときしか出てないし。初回特典やダンジョンの脅威度が関係してるかも?


「ってことなんです。だったらポイントを注ぎ込んじゃおうと思って」


「うん。可能性が上がるかもしれないわ。それでも脅威度ランクAのデッドリーベアは難しいと伝えておく」


「だから最初に、協力してくれてる冒険者さんたちへありがとうございますっ! を言いたかったんだー」


:赤ちゃんモンスターが増えるのはよいことォッ

:新しい子でも全然いい

:キューちゃんのお仲間が出るといいね!

:気にしないでもろて

:デッドリーベアじゃなくてもガッカリにはならない


 あ、モンスター召喚は喜んでもらえてるね。

 よかったー。


「ありがと!」


 でもなあ、どうやって出すのかは見せられないからなあ。残念だろうけど魔石が出てくるところからになっちゃうんだ。

 そんなに時間は掛からないから、ご飯食べながら見てて下さいな。


「僕はスmムっ?」


「今話そうとした。駄目よ? 太一くん」


 デバイスがスマホってのもダメだったんでした……。

 スマホで見れるから出てくる前に分かっちゃう。なので黙っとくって伝えたかっただけなんだけど。


:太一くんのセキュリティソフトはレーナ姉ちゃんだったか

:相変わらずオープンな極秘案件w

:レーナ姉ちゃんウォールは高性能

:太一くんww


「太一くんにはなにが出てくるのか、事前に分かるシステムがある」


 だけど、ってレーナ姉ちゃんが続けた。


「ワクワクは大事よ? 太一くんも見ないようにすればいい」


「あ、そっか」


 なにが出てくるか分かんないようにしたら、視聴者さんとワクワクをシェアできるじゃん。レーナ姉ちゃんはやっぱりエリートだねえ。

 素敵なアイデアです!


「ワクワクシェアシステムを起動します!」


「うん。それがいいわ」


 ダンジョンスマホを見ないだけなんだけど。


:草w

:また妙なことを言い出すw

:ワクワクシェアシステム

:ww

:チーちゃん以外の子も呼んであげればいいのに、なんでいないの?

:ニッコニコであるw


「あ、チーちゃん以外の子たちがいるとねえ、ワチャワチャしすぎるから呼んでないんだ。今はお家に戻ってもらってて、召喚が終わったら紹介しに行く予定だよ」


:みんな赤ちゃんだしなあ

:ワチャワチャでもいいのにー

:なるほど、大変か

:太一くんが好かれてるからワチャワチャなんだろう

:俺も混ざりてぇ・・・


「キューちゃんのお仲間、デッドリーベアが出るように祈っててください!」


「ではカメラを魔石の出てくる地面に向ける」


 魔力ポイントをバァーンと投入っ!

 カモーン! キュートな赤ちゃんモンスターああっ!


「あ、でも見ないようにしたらカーdップ!?」


「駄目」


 カードがめくれていく演出も、話しちゃダメってレーナ姉ちゃんが僕を止める。

 ミュートにしてからなんでってコソコソ聞いたら、それもダンジョンマスター用デバイスのヒントになるからなんだって。


 スマホゲーのガチャイベントに課金してるようなものってことかあ。

 デバイスがあることも秘密よって、耳元で言われてしまった。


:ガバガバである

:太一くんww

:秘密に慣れてもろてwwww

:油断も隙もないなw


 今は地面しか映ってないから、赤くなってる僕はバレてないはず。距離……近いとドキドキしちゃうってば。そんな僕を見たレーナ姉ちゃんも真っ赤になった。

 チョット嬉しいかもっ。


 だ、だって僕のこと……す、好きってことでいいんだよね?


 あっ、出た!


:きちゃ!

:おお、魔石が2個

:少ない・・か?

:来い来い来いデッドリーベアちゃん来いッ!

:デッドリーベアちゃん

:デッドリーベアくーん

:も・み・じ! こ・は・く!


 みんな祈ってくれてる!


「ありがとうございますっ!」


「みんなありがとう」


 画面は伏せてるけど、派手な演出の光が漏れてるよ。つまりこれはレアモンスターが混じってるってこと。

 やっぱり魔力ポイントが多いと、凄いモンスターが出やすいのかもしれないね!


 魔石の違いはないからレアモンスターが何体か分かんないけど、たぶんレア個体1で通常個体1だと思う。2体レアモンってことは……さすがにないよね。

 魔石がパカっと割れる。


:熱い展開ーー!

:もみじ? 琥珀?

:きちゃあああああああーーー!!!

:子ヤギの破壊力ハンパねえッ!

:お名前はどっちになるの?


「もみじだ! それにレアモンスターのヤギちゃんもカワイすぎるっ!!」


「ヤギちゃんはトラブルゴートのレア個体、ハプニングゴートね」


「えっとねー、えーっと……キミはサラちゃんにしよーっと」


 コメントの流れも速いよ。

 みんな喜んでくれてるし、カワイイのオンパレード。


「祝福してくれてありがとうございます!」


「可愛いわ」


 真っ白なのでまっさらな感じだしね!

 なのでサラちゃん。


 キューキュー言いながらヨチヨチ僕のほうに来るもみじ。

 ピョンピョン跳ねながらメェェって鳴いてるサラちゃんは、チョットやんちゃな感じがする。ミルクとだんがんくんの暴れん坊仲間かも。


「サラちゃん、可愛いわ」


 うっとりしながらサラちゃんを確保するレーナ姉ちゃんが、産まれたての赤ちゃんモンスターを堪能してるよ。

 僕ももみじを堪能中だけど。


:赤ちゃんモンスターは正義やね

:もみじを俺も抱っこしたいなあ

:俺はBランクになるぞーーーーーー

:もみじにサラちゃん+デレデレの2人。たすかる

:俺も混ざってたすかりたい

:サラちゃん・・・なんて可愛らしいんだキミはッ


「ハプニングゴートは、たまにラッキーをくれるわ」


 ノーマルタイプだとアンラッキーだけなんだって。とはいっても赤ちゃんモンスターのみんなは、スキルを使えない。

 カワイイを振りまくだけだよ。


 だからレアとかノーマルは関係なかったりするんだ。


「チーちゃんもアホ毛が付いてるだけだよー」


「もしスキルが使えてたなら、ダンジョン動物園はなかった」


「確かに!」


:よかった・・・

:これからも俺たちがたすかる、赤ちゃんモンスターをお願いします!

:太一くんだけでもたすかれる俺に隙はない

:俺はサラちゃんを撫でに行くぞーー!


「楽しんでもらえたみたいだし、デッドリーベアのもみじも出たし。お初のサラちゃんもカワイかったし今日はいい1日でしたっ! ありがとうございましたー」


「みんなありがとう」


「お名前募集は今回ないけど、そのうちお願いすることになるから待っててください」


「みんなおつかれさま」


:おつ

:お母様とお婆様が見切れてるww

:おつ

:待ち構えてるw

:ワロタw

:www

:楽しげな家族に乾杯w

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