22 モフモフお世話
だんがんくんたちスケアリーウルフ、それから鹿園さんたちブラッドディアは駆けっこに。
小雪ちゃんたちホワイトデスと、ちょこちゃんたちフェアリーバットは空の散歩に出掛けた。
僕はチーちゃんと花ちゃん、ベイトリスザルの孫くんたちと一緒にのんびり泉の周りをサイクリングするよ。
ゆーっくりね。
体力がなさすぎるからなあ。レーナ姉ちゃんに作ってもらったカリキュラムを守りながら、体力強化に励むのです。
僕だって駆けっこでみんなと遊びたいしね!
「行こっ」
花ちゃんからパォって優しく返事をもらって、運動開始。
「見て、みんな。あれ、凄いよねえ」
冒険者さんはあんなに速いのに、付いて行ってるよミルクたちも鹿園さんたちも。
なんか漫画みたいな感じになってるんだよね、砂煙モワアーってなってるし。あれを見ると、全部を芝生にしなくてよかったって思った。
土の部分もあったほうがいいかなって、なんとなくだけど残しておいたんだ。フロアの半分くらいは芝生を生やしてないよ。穴掘りしたい子がいるかもしれないからね。スケアリーウルフたちがたまに掘ってることもある。
まああの子たちには土とか芝生は関係なかったみたいだけど。掘りたい場所を掘ってましたとさ。ってヤツ。でもダンジョン機能で翌日には修正されてた。メンテナンスがいらないのはよかったことかな。
「ふぅ~、さすがに僕じゃあ体力がないから戻せないもんね」
泉の周りを10周したところで終わり。
寝っ転がると見えた。
空では空で追っかけっこしてるみたい。ビューンって飛んだり、フワフワ漂ったりしてる冒険者さん。飛んで遊ぶなんてことは僕とレーナ姉ちゃんにはムリだから、新鮮で楽しそうだよ。
僕らだけじゃ足りないものもあるんだなあ。
アルバイト、募集してよかったのかも、だね!
花ちゃんがシャワーいる? みたいな感じで泉と僕を見た。
ンー、今日はいらないかなあ。そこまで暑くはないし。
「ダイジョブ。ありがと、花ちゃん」
僕が落ち着いたからか、みんなが側に寄って来る。順番にナデナデするよ。
花ちゃんはゴツゴツしてそうなのに、プニっとしてて触り心地がいいんだ。少し生えてる毛は見た目よりも柔らかいよ。
孫くんたちの毛は短めだけど、ゴワゴワしてなくて柔らかい。
チーちゃんももちろん柔らか仕上げだしね。
みんな柔らかいんだ。
それにさ、ナデナデしたら喜んでくれるのが嬉しいよねえ。これは僕だけってことじゃなくて、レーナ姉ちゃんが撫でても母さんや婆ちゃんが撫でても喜んでるから、ウチの子たちはナデナデ好きっていうこと。
だから冒険者さんたちにも自分から撫でられに行ってるよ。
モンスターなのにねえ?
赤ちゃんだからかなあ。
不思議。
たぶんダンジョン7不思議のヤツだね。
花ちゃんが僕を背中に乗せた。
散歩したくなったみたい。
孫くんたちを引き連れてお散歩を始めたよ。
花ちゃんに乗ってるベイトリスザル2人が、大きな葉っぱで扇いでくれてる。
これって王様のヤツじゃない?
「あははは、太一くん大事にされてますねー!」
「でしょー!」
空からコメントいただきましたっ。
あ、みんな下りてきた。こうなると花ちゃんがもの凄くにぎやかになるよ。フェアリーバットたちは花ちゃんの伸ばした鼻とか、僕の服に。
ホワイトデスたちは花ちゃんの色んなところに止まってる。
みんなも落ち着いてきてるのでノンビリを提案した。
「私も撫でたいので賛成です」
じゃあホワイトデスくんたち専用の、オススメ可愛がり方法を伝授します!
「両手で包む方法ですね? 動画で見てやりたかったんです。ここはやはり私の名付けた、しらたまちゃんからで!」
存分にスヤァさせてください。
僕もナデナデに参戦しよーっと。
僕はフェアリーバットくんたちのほっぺをムニムニするんだー。
気持ちよさそうに顔を押し付けてくるんだよ、この子たちは。鳴き声はねえ「キキ」と「チュ」の間っぽい感じ。
それ以外にも人間には聞こえない音で話してるっぽい。
「みんなグテ~ってなった」
「しらたまちゃんや姫ちゃんもです。カワイイ」
「花ちゃん、鼻伸ばしててツラくない? ダイジョブ?」
小っちゃくパオって鳴いて返事した花ちゃんは、問題ないって言ってるのかな?
「花ちゃんって本当に優しい目をしてますねえ」
「ですです」
実際に優しいしね!
「うちの子たちお気に入りのブラシ芸を披露しよう」
駆けっこから戻った冒険者さんは、そう言いながらスケアリーウルフたちをゴローンさせる。柔らかめのブラシだそう。
毛並みに沿って手早く優しく撫でるようにかけるんだって。
「長い時間は嫌がる子が多いからな」
もっとして欲しそうな子にだけ追加でブラッシングして、最後にコームで整えたら終わり。言葉を理解してるからやりやすいって。
して欲しい場所を教えてっていえばスッて身体を向けるしね!
「おー、なんか艶が出ましたっ」
「さ、ブラッシングして欲しい子はいるかい?」
鹿島さん、いるかさん。
孫くん、もんきち、ひまわり。
それから花ちゃん。
ミルクとバニラは2回目だよ?
ブラッシング、気に入ったみたいだね。
飛行タイプの子たちは、ブラッシングには興味なさそうかな?
「小鳥用のブラシもあるにはあるが……オモチャになるのは変わらないか」
そしてさすがにゾウ用のブラシは持ってないって。
「花ちゃんはどんなブラシがいいんだい?」
柔らかいの? 硬いの? って聞くと硬いほうが好みだった。
「動物園では竹の熊手でブラッシングしてましたよ」
「そういやあそうだな」
動画を見せてくれた。
「これなら安いしあると思う」
「太一くんダメです!!」「待て太一くん!」
「あ……」
ダンジョンスマホで出しちゃった。
えっとお……つい……出せばすぐだから……失敗失敗。
「隠す気ゼロじゃねえか」
「内緒にしておきますね」
「はいぃ」
やっちゃったぁ。
秘密ムーブ、ホントに慣れるのかなあ? 僕。
フェアリーバットくんたちを止まり木に移しながら考えてみたけど、慣れるしかないんだよね。
花ちゃんを熊手でガリガリしてあげる。
僕の手で撫でてるだけじゃ、くすぐったかったかもしれないや。似た動物の動画でちゃんと勉強しなきゃね。鳥用のブラシとか全然知らなかったしさ。
「これじゃレーナ姉ちゃんの言ってた、赤ちゃん枠のままだあっ」
「慣れるしかありませんね」
「だなあ。家族でやってりゃ気にする必要もなかったんだろうしよ」
「え?」
「「え?」」
「あれっ?」
「ダンジョンマスターのことじゃなかったのか?」
「私もそう思いましたけど」
僕が考えてたのは、ブラシの種類を全然知らなかったことでした……。
「勉強が足りなかったかなーって」
「まあ、その、なんだ……」
「なにもかもが初心者ですので、これから学べばいいんです」
が、がんばろーっと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます