冒険286.筒井の秘密(後編)
===== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
大文字伝子(だいもんじでんこ)・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。
大文字[高遠]学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。
一ノ瀬[橘]なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。
久保田[渡辺]あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。
馬場[金森]和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
高木[日向]さやか一佐・・・空自からのEITO出向。副隊長。
馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。
大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。
田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。
浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。
新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長。
結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。
安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。
稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。
愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。
青山[江南]美由紀・・・、元警視庁警察犬チーム班長。警部補。警視庁からEITOに出向。
工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向の巡査部長。。
伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。
小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。
高坂(飯星)満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
七尾伶子・・・警視庁からEITO出向の巡査部長。
大空真由美二等空尉・・・空自からのEITO出向。
高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。
青山たかし・・・元丸髷署刑事。EITOに就職。
馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。
久保田嘉三管理官・・・警視庁管理官。伝子をEITOにスカウトした。EITO前司令官。
愛宕[白藤]みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。
愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。
斉藤長一郎理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
夏目房之助警視正・・・EITO副司令官。夏目リサーチを経営している。EITO副司令官。
筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁からEITO出向の警部。伝子の同級生。
原田正三警部・・・新宿風俗担当の潜入捜査官だったが、EITO出向。
渡伸也一曹・・・EITOの自衛官チーム。GPSほか自衛隊のシステム担当。
草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。
早乙女藍・・・元白バイ隊隊長。EITOに出向していたが,娘の轢き逃げ以降、退職していたが、EITOに就職。
高坂一郎看護官・・・陸自からのEITO出向。基本的に診療室勤務。飯星と結婚した。
須藤桃子医官・・・陸自からのEITO出向。基本的に診療室勤務。天童と事実婚。
天童晃(ひかる)・・・かつて、公民館で伝子と対決した剣士の一人。EITO東京本部武術顧問。須藤とは幼馴染みで、須藤と事実婚。
松本悦司・・・かつて、公民館で伝子と対決した剣士の一人。EITO大阪支部武術顧問。
池上葉子・・・池上病院院長。
真中瞳・・・池上病院看護師長。
御池花子・・・東京都知事。
阿久根宏明・・文科省大臣。
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==
変わって、高遠が画面に出た。
「最初に、皆さんにお詫びしておきます。昨日はお騒がせしました。伝子は下戸なんです。アルコールに弱い体質なんです。ひな祭りの頃だから、と試飲セールをやっていて、お店の好意で差し入れさせてしまった甘酒を、ひかるちゃんが、伝子に飲ませてしまったんです。去年、酔っ払ったことを忘れて。口当たりがいいから、どんどん飲んで、隊員のみんなは止めにくくなってしまった。甘酒に弱い、と教えたのは、筒井さんらしい。」
皆、一斉に筒井を見た。
「軽い気持ちだったんでしょうね。みちるちゃんのことは、丸髷署の白藤署長に入って貰うことになりました。筒井さんのことは、理事官にお任せします。さて、昨夕、こぶまんが投稿した内容ですが、やはり、アナグラムでした。」
高遠は、ホワイトボードに書き出したメモを見せた。
『坊やから三部』という文字の下に、アナグラムの解が書いてある。
『藪から坊さん』と書いてある。
「ネットで検索すると、文京区のシチズンセンターで3月6日に『仏教講座』がありますが、極めて小規模なものです。これは、文字通りの解釈に基づくものですが、案外『作戦予告』ではないかも知れません。詰まり、ひな祭り事件のことを指しているのかも知れないので。管理官が言われた通り、幹のネーミングは、2つのグループ組織の集合体の可能性があります。それなら、一方がもう一方を揶揄しただけかも知れません。伝子は、点滴が終ったそうです。」
「じゃ、大文字君を交えて、午後から再度会議をしよう。そうだな。午後2時でどうかな?」と理事官は、夏目警視正に言った。
「そうしましょう。6日だったら、明日ですね。場合によっては、病院から参加して貰いましょう。」
会議は一旦終了し、休憩に入った。
午後2時。池上病院。伝子の病室。
真中瞳看護師長が、付属のPCを操作して、EITOのホットラインに繋いだ。
側に池上院長がいる。
「理事官。仏教を管轄する行政機関はどこですか?」「ん?ああ、原則としては、都道府県だが、自治体を跨ぐ展開の宗教法人は文科省だな。」
「では、都知事と阿久根大臣と、そのイベントを警戒しましょう。みちるに乗せられた私が悪かったんです。筒井と別れた原因を忘れていました。煮るなり焼くなり好きにして下さい。みちるのことは、署長に任せました。」
伝子が短く伝えると、「理事官。大文字さんは、念の為検査入院させますが・・・。」と池上院長は言った。
「異存ありません。大文字君。ゆっくりしてくれ。指揮は、一佐にやらせる。」と、理事官は応えた。
「じゃ、大まかな割り当てね。あつこ。文科相と都知事の方、お願い。大臣の警護は早乙女さん呼び出して、工藤にフォローさせて。都知事は結城と一緒にあつこが組織して。」「了解。」
「あ。イベント会場って、『講座』は何人来るのかしら?」「10人です。どうやら大学の補習目的のようですね。」「近くに広い場所あるのかしら?草薙さん。」「公園があります。」「じゃ、イベント会場は、天童さんに任せて、私達は、公園に行ってみましょう。」
なぎさは、出て行きかけたが、「原田君。公園の周辺の録画をして。この間の記録動画、良かったわよ。」と言って出て行った。
「原田君。良かったね。推薦した甲斐があったわ。明日もよろしくね。」
「は、はい!!」原田は、あつこが出て行くまで敬礼して見送った。
そして、筒井をチラ見して、「カメラの調子はどうかな?」と言いながら、司令室の方に消えた。
エマージェンシーガールズも、ぞろぞろと会議室を出て行った。
「あ。メンテナンス、途中だった。」と、渡が出て行った。
「そうだ。公園の地図、プリントしておこう。」と、草薙も司令室に向かった。
「議事録、まとめなくちゃな。」と、夏目警視正も会議室を出て行った。
「署長に連絡とらなきゃな。」と、理事官も会議室を出て行った。
高坂看護官が入って来ようとしたが、須藤医官が後ろから引っ張って、入れ無かった。
会議室には、筒井が1人残った。何かぶつぶつ言ったが、聞く者はいなかった。
翌日。午後1時。東京都庁。都知事室。
「久保田管理官から連絡があったわ。タレコミですか?」
「ええ。ガセネタかも知れませんが、都政を預かって頂いている都知事に万一のことがあってはいけないので、と副総監命令で参りました。」と、御池都知事に、あつこは如才なく対応した。
「そうね。何事もなければ、笑い話で済みますからね。で、どれくらい?」「3時間もあれば。それで、ガセかどうか判断出来ます。」「じゃ、よろしくね。」
午後1時。阿久根大臣の家。書斎。
エマージェンシーガールズ姿の、早乙女と工藤がいる。
「そうなんです。今回の敵は、奇襲が得意らしいので、大臣の身に何かあっては、国政に大きな損失を与えます。何事も無ければ、笑い話、取り越し苦労で済みます。」
「成程。SPはお二方だけで?」「いえ。外は国賓館のSPチームが警護しています。」
「ご苦労様です。よろしくお願いします。」と、大臣は頭を下げた。
午後1時。文京区。シチズンセンター。
主催者である、大学の事務長が応対している。
「ここがですか?」「ええ。ガセネタの場合もありますが、昨今、見当もつかない事件が勃発しておりますので。」と、警備員姿の天童が言った。
「分かりました。では、よろしくお願いいたします。」と、横から講義担当の教授が言った。
午後1時。シチズンセンター近くの公園。
「近くに東京ドームがあるな。まさか、あそこじゃないだろうな。静音。越後と一緒に斥候に行ってくれ。」と、なぎさは命じた。
「副隊長。やはり奇襲してくるんでしょうか?」と、金森が言った。
「いや、取り越し苦労に終るかも知れないと、『エーアイ』も言っていた。今回ばかりは、見通しが立たない。」
午後4時。池上病院。伝子の病室。
PCの画面を見ながら、伝子は理事官と話している。
「理事官。引き上げさせましょう。やはり、今回は、敵の『様子見』でしょう。どこかで様子を見ていたのかも知れない。」と、伝子は理事官に言った。
「うむ。私も、同じ考えだ。張り込みしていたのなら、原田が何か映してくるかも知れない。それを見て、皆で検討しよう。今夜は病院に泊まるのかね?明日退院したら、本部でなく、自宅に帰ったらどうかな?」
「そうですね。事態が急変しない場合は、そうします。点滴も終りましたし、多分、検査結果も悪くないと思います。」「そうしてくれ。では。」
病室のPCは、真中がシャットダウンさせた。
「きっと、授乳したから落ち着いたのね。先生もそう言われてたわ。はい。ダーリンに連絡。普通はいけないのよ、個室でも。」と、真中は伝子にスマホを差し出した。
高遠は、すぐに出た。「今、理事官からメールが来たよ。明日はゆっくり帰って。愛してるよ、伝子。」
「知ってる。」
―完―
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