冒険230.EITOカップルズ
====== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
大文字伝子(だいもんじでんこ)・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。
大文字[高遠]学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。
一ノ瀬[橘]なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。
久保田[渡辺]あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
愛宕[白藤]みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。
愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。
斉藤長一郎理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
夏目房之助警視正・・・EITO副司令官。夏目リサーチを経営している。EITO副司令官。
増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。
金森和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。
馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。
大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。
田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。
浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。
新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長補佐。
結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。
安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。
日向(ひなた)さやか一佐・・空自からのEITO出向。伝子の影武者担当。高木と結婚することになった。
飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。
愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。
工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向の巡査部長。。
江南(えなみ)美由紀・・・元警視庁警察犬チーム班長。EITOに就職。
伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。
小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。
下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。
高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。
筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁からEITO出向の警部。伝子の同級生。
青山たかし元警部補・・・以前は丸髷署生活安全課勤務だったが、退職。EITOに再就職した。
財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
井関五郎・・・鑑識の井関の息子。EITOの爆発物処理担当。
渡伸也一曹・・・EITOの自衛官チーム。GPSほか自衛隊のシステム担当。
草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。
河野事務官・・・警視庁からのEITO出向。
久保田嘉三管理官・・・EITO前司令官。斉藤理事官の命で、伝子達をEITOにスカウトした。
久保田誠警部補・・・愛宕の先輩刑事だった。あつこの夫。久保田管理官の甥。
藤井康子・・・伝子マンションのお隣さん。EITO準隊員待遇。
中津警部・・・警視庁テロ対策室所属。副総監直轄。
中津健二・・・中津警部の弟。興信所を経営している。大阪の南部興信所と提携している。
西園寺公子・・・中津健二の恋人。愛川静音の国枝大学剣道部後輩。
高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。
泊哲夫所員・・・中津興信所所員。元警視庁巡査。元夏目リサーチ社員。
根津あき所員・・・中津興信所所員。元大田区少年課巡査。
南部寅次郎・・・南部興信所所長。
山城順・・・伝子の中学の後輩。愛宕と同窓生。今は、非常勤の海自事務官。
物部一朗太・・・伝子の大学の翻訳部の副部長。故人となった蘇我義経の親友。
依田俊介・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。あだ名は「ヨーダ」。名付けたのは伝子。やすらぎほのかホテル東京支配人。
依田[小田]慶子・・・依田の妻。やすらぎほのかホテル東京副支配人。
福本英二・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。大学は中退して演劇の道に進む。今は建築設計事務所に非常勤で勤務。
松下宗一郎・・・福本の元劇団仲間。
本田幸之助・・・福本の元劇団仲間。
豊田哲夫・・・福本の劇団仲間。
服部源一郎・・・南原と同様、伝子の高校のコーラス部後輩。
村越警視正・・・副総監付きの警察官幹部。警視庁テロ対策室室長。
田尾美緒子・・・白バイ隊隊長。巡査部長。
名越撤兵・・・MAITOのC班班長。
本郷隼人二尉・・・海自からEITO出向。
大蔵太蔵(おおくらたいぞう)・・・EITOシステム管理部長。
大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。
大文字綾子・・・伝子の母。
青木新一・・・Linenが得意で、複数のLinenグループの友達を通じてEITOに協力をしている。
中山ひかる・・・アナグラムが得意な大学生。伝子達が卒業した大学に入り、伝子達の
後輩になった。EITOにたびたび協力している。
中山千春・・・ひかるの母。宝石商を営んでいる。
渡辺副総監・・・警視庁副総監。
須藤桃子医官・・・陸自からのEITO出向。
池上葉子・・・池上病院院長。
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==
午前11時。EITO東京本部。会議室。
マルチディスプレイに、大阪支部の大前が映っている。
「また、水門ですか?」と伝子は言った。
「阪神タイガースが日本一になって、また大騒ぎ。38年ぶりの優勝に37人飛び込んだ。38人目は死体やった。前に水門事件の時に聞き込みに行った喫茶店に総子らがまた聞き込みに行ったら、松屋警部の目撃者なし。さっき漸く目撃者を発見しました。JR難波の駅員で、ちらっと、松屋警部と揉める女と。改札でお客の相手をして目を離した隙にいなくなって、乗るのを止めたかな、と思ったそうですわ。所持品に切符はありませんでした。どこかで溺死させた上に、日本一騒ぎの最中に水門に飛び込んだのやろうと。皆戎橋の方しか向いてなかったし、気が付きませんわな。鑑識の蔵前さんによると、体内の水は上水道の水やったらしいから、今度は大阪府警がホテルを当たっていますが、目撃者なし。」
「大前さん。理事官。レッドサマーが言っていた『裏切り者』って『えだは会』というよりは、松屋警部のことじゃないでしょうか?」
「私もそう思います。同僚の篠田警部補によると、スタンドプレーが過ぎるから、てっきり、勘違いして寿氏の礼状を取りに行ったんやと思ってたが、事件に直接関わっていたとすれば、合点がいくと言っていました。あのナイフ、報復でしょうね。あ、それから、松屋警部の腕時計の下に、あの2人と同じ焼き印みたいなのがありました。蔵前さんによると、『入れ墨シール』やそうです生前に焼き印押されたんじゃなく、チェックシールを貼った、詰まり3人はグルやった筈です。」
「成程。あのナイフですけどね、三島が扱っていたものと違うようですね.デザインは似ているが。柄の底が凹んでいる。送って貰った画像を元にレプリカを創ってみました。皆見て下さい。」
本郷隼人が見せたものは、銃のような形の物体にナイフが刺さっていた。
「あの穴あきナイフをこの銃に差し込んで、撃つと、非力な人間でも、深く刺せる。3個ナイフがあるが、こんな銃が複数あるかどうかは分からないが、脅威だ。」
「役立つかどうかは分からないが、これ用のシールド、詰まり、盾は開発中です。」と大蔵が言った。
「レッドサマーに関してだが、山下は『残酷な奴』ぐらいの情報しかない、と言っていた。松屋警部は、レッドサマーの枝だったが、何故か『えだは会』に走って、始末された、ということだ。」
「因みに、小柳警視正によると、連中は黙秘権を行使して何も言わない。松屋警部の死体が上がったことは、びっくりしてたようですが。」
「とにかく、レッドサマーは東京に限って攻撃するとは限らない。裏切り者が出たとはいえ、何かやらかす積もりだったのは、間違いない。皆、闘いの時は勿論、普段も油断しないように、な。で、明日の青山と江南の結婚式は、本人達の希望で、敢行する。以上だ。解散!」
「大文字君、一佐。式の最中に出動もあり得る。心してくれ。」
「了解しました。」2人は即答した。
午後2時。伝子のマンション。
「本当は、このカップルの式を優先すべきだったんだがなあ。副総監の体調や都合もあって、何度も延びたんだ。」
と、伝子は綾子に説明した。「式場は?」「ヨーダのホテル。あそこのセキュリティーは、他のホテルとは比べものにならない位、EITOで強化してある。」
「じゃ、また式のMCは依田君がやるのね。立派になったわねえ。」と綾子が感心した。
「そうですよ、お義母さん。ヨーダは何があっても対処出来るし、EITOの秘密事項も守れるし。」と高遠は、洗濯物にアイロンをあてながら言った。
翌日。午後2時。やすらぎほのかホテル東京。
2人のMC依田夫妻の見事な進行で披露宴は始まった。
副総監は、ご満悦だった。夫婦共に元警察官で、しかもEITOに再就職はしたが、自分達の部下も同然だ。青山は早くに両親を亡くし、江南も母親1人だった。青山の親戚は九州宮崎で、急遽上京した。江南の親戚も福岡から上京した。
花婿花嫁衣装は、ホテルの借り物だが、結婚指輪は、中山ひかるの母千春が用意した。
中山ひかると千春も出席した。副総監の命令で、外では万一の為の警備を警視庁警邏課とSATに依頼した。理事官は、中津興信所にもホテル周辺の不審人物のチェックをさせていた。
披露宴は、つつがなく進行していた。
午後3時半。披露宴はお開きになった。
ひかるが、伝子の元に走った。
ひかるのスマホに映っていたのは、レッドサマーからの挑戦状のRedのメッセージだった。
《
想定外だったよ。敵ながらあっぱれだ、EITO諸君。百点満点中二百点だ。
だが、これからは少しずつアレンジして行くよ。まずは、キーワードとやらだ。
エーアイ君は得意だったね。5分もあれば解けるアナグラムだ。『東のあかり内部下』。
でも、場所や時間はどうかな?楽しみだ。レッドサマー。
》
「ひかる君。いつアップされた?」と高遠が問うと、「5分前。」と、ひかるは短く応えた。
5分。高遠とひかるは唸っていたが、同時に叫んだ。「楽しむひかりが危ない死。」
靑山家も江南家も驚いて見ている。
「エマージェンシーガールズは、EITOに帰還。すぐに対策を講じる。」と理事官は言った。
「ヨーダ。準備は。」「大丈夫です。」
慶子がエマージェンシーガールズとEITOガーディアンズである、EITO隊員は、屋上ヘリポートへの通路に向かった。
「副総監。失礼します。」「待ちたまえ、理事官。忘れ物だよ。」と、副総監は新郎新婦の席に行き、こう言った。
「今の君たちの職場はどこかな?人手は多い程いい、と言う。新婚旅行は延期しても構わんだろう。理事官、大文字君、あつこ。いいだろう?」
誰も異論を挟まなかった。理事官と伝子は深く頭を下げ、通路に急いだ。
「あつこ。後でEITOまで送ってくれ。」「はい、叔父様。」
午後4時。オスプレイ2号機の中。
「理事官。囮のマイクロバスが発車しました。」「うむ。やっぱり来るかな?」
理事官の問いに、伝子は「青山さん達の結婚式は公表されていませんが、副総監がお出でになったことで、目をつけられるかも知れない、と思っています。来賓のかたがたを無事にお返しするには、この方法がいいと考えました。敵の出方やり方も見たいと思いますし。」と応えた。
「了解した。新町。『ブーケトス』、受け取るチャンス逃して悪かったな。実は、偶然聞いてしまった。相手はいるのか?こんな時になんだが。金森や日向、青山の例もある。職場恋愛は自由だ。淫らなことをしなければな。」
「まだ・・・まだ、いません。」と、あかりは言った。
「まあ、いつかその時が来れば、『おねえさま』が報告するだろうが。」
仁礼は、ふと思いついて、「理事官。」と声をかけた。
「何だ、仁礼。言ってみろ。」「隊長の『愛称』である『おねえさま』は公認なのですか?」
「お前、本人達がいる前で聞くなよ。」と、みちるが仁礼の頭を小突いた。
「ああ。何度も言っているが、EITOは警察じゃない。自衛隊でもない。しかも、ハードだ。ろくろく休みも取れない。だから『社内恋愛』も公認だし、『おねえさまごっこ』も公認だ。だが、『いもうと』を公認するのは大文字君の独断だ。お前も呼ばれたいのか?」「いえ。珍しい職場だな、と思いまして。大叔父に話したら、笑ってました。仕事に差し障る理由がないなら、フランクでいいじゃないか、って。」
午後5時。EITO本部。会議室。
「時間が遅くなったが、可能な限りの会議をしておこう。草薙。何か分かったか。」
―完―
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