【慎太郎の変化】
※『異世界中二病プロジェクト』本日も副音声は()でファンタジー肯定派のクロノマオウ女史、ファンタジー否定派の成瀬女史、SF映画監督の神谷でお届けしています。
「これはかなりの変化ですね」(大西)
心理学者の大西は慎太郎の様子を見て答えた。
「慎太郎くんは、まだ世の中を知りませんが、思春期特有の大人を信じず反発したい心を大きく持っています。しかし情熱をもって取り組む事はなく、言わば独りで中二病はその逃げ道としてのめり込んだだけです。ここまで大きな声で真剣に何かに取り組んだ事はないでしょう」(大西)
「それって、良い方向だという事ですよね?」
「そうとも言い切れません。まだ彼は自主性などにやや欠けています」(大西)
「自主性か。だとするとマオウ、あのボツにした「盗まれた聖剣」のシナリオをここで入れるのはどうかな」
「ミオナちゃんが誘拐されて聖剣も盗まれるやつね」(クロノ)
「丁度聖剣のLEDも切れてるからいいんじゃない?」(成瀬)
「でも、自主性がなければ解決しないわよ」(クロノ)
「大西先生、どうでしょう? 行けますかね?」
「少し賭けの要素はありますが、うまくいけば彼は人として今より一段成長するでしょう」(大西)
「おお、それはじいさんに喜ばれそうだな」
「まずプロデューサーの白鳥さんに確認すべきよ」(成瀬)
「ちょっと、待ってください。それは成功すればなのですよ。もしもここでバレて失敗すれば、それこそ逆効果で大人も友達も誰も信じずにより硬い殻にこもる可能性もあります」(大西)
「し、失敗出来ないという事ですか」
「そんなのは最初からあるでしょ」(成瀬)
「ある意味そうですね」(大西)
「監督、、、」(クロノ)
「よし、いつでも入れられるように準備だけやろう。タイミングを見て入れる。白鳥女史には直ぐに確認を取るが今晩取れなければ明日だな」
「聖剣は?」(クロノ)
「何、慎太郎が寝てる間に球切れくらい直せるさ」
やるべき事は沢山ある。
白鳥女史に今日のダイジェストを渡してサブストーリー割り込みの確認。
クロノにはストーリーを確認し直してもらう。
聖剣の修理。
映像の確認。
出演者の周知。
慎太郎にここでバレれば俺達は終了だ。
まあ、ここまで頑張って来たんだ。俺達なら出来るだろう。タイミングを見て入れよう。
ここまでは色々とあったが俺の予測範囲内だった。
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