第7話 ゴーダの日記



 ゴーダ/ピエール

 状態 精神崩壊

 職業 奴隷商人/ヤンキ公国騎士

 装備 頭 ピエロの仮面……狂化特大

   胴 網タイツ……なし

   足 ジーパン……なし

   装飾品 魔力剣の指輪 

       エルドラドの鍵

       身代わりの指輪

       遠当ての指輪


 名前が二つあるが、日記に素性を隠してるとあったので、ゴーダが偽名でピエールが本名と言ったところか。


「仮面って書いてあるけど、触ってみても地肌なんだけどな。一度被ったら皮膚と同化して脱げなくなるやつかこれ」


 どうやら変装するためにつけた仮面は呪いのアイテムだったようだ。

 解けないバッドステータスを負った挙句に精神崩壊して、虐待オネエピエロ化か。

 国が滅んでも主人のために忠義を果たそうとする心意気は立派だったというのに、成れの果てがそれとは真逆に主人を苛む人間になる最後など皮肉だな。

 俺が精神崩壊状態で平気なのはゴーダの魂の状態で俺自身の状態ではないってところか。

 まあ何であれ、このピエロの仮面は肌と一体化して剥がせないので狂化の危険がないのはいいことだ。

 続きを確認するか。

 日記の続きには姫の行方を探してさっきのギーク帝国主催の戦奴のオークション会場で競に出されることを突き止めたことと、姫を競り落とすために奴隷商として活動することの苦悩が書いてあった。

 途中途中に「私は狂った」とか書いてあり、段々と狂化に蝕まれることが察せられる記述があることが生々しい。

 オークション前日は何を書いてあるか分からないレベルになっているので、姫──シルヴィを競り落として安心した瞬間に精神が逝ったと見ていいだろう。

 哀れゴーダ。

 できたらシルヴィに万全の状態で独り立ちさせようと考えていたが、少しくらいなら便宜を図ってもいいかもしれない。


『そこの船止まりやがれえ!!』


 湿っぽい気分になると船が大音声をかき鳴らし山間の影から出てきた。


    ───


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