第10話 街の現実物語

地下施設をさらに進むと、三人はある部屋にたどり着いた。そこには巨大なモニターがあり、かつての都市の映像が映し出されていた。映像には、人々が行き交う街の様子や、笑顔で暮らす家族の姿が映っていた。


「これが……この街の過去の姿か?」


涼が映像を見つめながら呟く。しかし、その映像は突如として変わり、街が崩壊していく様子が映し出された。巨大な怪物が街を襲い、人々が次々と消えていく。映像の中の世界は、今彼らが目の当たりにしている現実そのものだった。


「これは……一体?」


芽々が驚愕の声を上げたその時、映像が途切れ、画面が真っ暗になった。その後、モニターには一つのメッセージが表示された。


「……ここは、全てが失われた場所。希望も、未来も、存在しない」


その言葉に、三人は言葉を失った。彼らが直面しているのは、ただの異世界ではない。ここには、何も救いがないのだということを突きつけられた瞬間だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る