第14話 14日目の約束

#### 第一章: 幻の家


 新たな戦いを予感し、宮本武蔵は仲間たちと共に次の標的を追っていた。彼らが次に向かう先は、アメリカ・オレゴン州にある「クレーターレイクロッジ」と呼ばれる場所だった。


 その湖のほとりにあるこの古いロッジには、"幻の家"と呼ばれる謎の屋敷が存在すると噂されていた。伝説によれば、この家に足を踏み入れた者は、二度と戻ってこないと言われている。


 武蔵たちは、古い書物に残された地図を頼りに、その場所を探していた。


「このロッジには、何か大きな秘密が隠されているようだ」と佐助が呟く。


 景勝は頷いた。「幻の家と呼ばれるだけあって、そう簡単には見つからないだろう」


 武蔵は静かに周囲を見渡した。ここには、何か異様な雰囲気が漂っていた。まるで、時間そのものが止まっているかのようだった。


「我々はこれまで多くの試練を乗り越えてきた。この場所に潜む謎もまた、解き明かさねばならない」と武蔵は静かに言った。


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 #### 第二章: ジゴマとの出会い


 湖を見渡す位置に立っていた武蔵たちは、不意に遠くから音楽が聞こえてくるのに気づいた。スウェーデン出身のロックバンドの曲だった。耳に残る旋律が、静寂を破り響いていた。


「ここでスウェディッシュ・ロックとは、場違いな感じがするが…」景勝は耳を傾けながら、微笑を浮かべた。


「だが、その音楽の向こうにある何かが、我々を呼んでいる気がする」と武蔵が言った。


 音楽の元をたどって行くと、そこには一人の男が立っていた。長いコートを羽織り、仮面で顔を隠している。


「お前たちがここに来るとはな…俺の名はジゴマ。貴様らに忠告しておこう。この先には足を踏み入れるべきではない」と、低くかすれた声で男が言った。


「ジゴマ…お前もまた、この幻の家を守る者の一人か?」武蔵は問いかけた。


「いや、俺はただの通りすがりの盗賊だ。だが、俺もまたこの家に魅せられた一人だ。ここに来る者は皆、何かを失う…俺はそのことを教えるためにいるんだ」


 武蔵はジゴマをじっと見つめた。彼がただの盗賊ではないことは、すぐに察した。


「我々は、この場所の謎を解かねばならない。そのためには、進むしかない」


 ジゴマはしばらく黙っていたが、やがて笑い声を上げた。「ならば、好きにするがいい。だが、その決断を後悔しないことだ…」


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 #### 第三章: X艇の秘密


 武蔵たちはロッジを離れ、湖のほとりにある小さなボートハウスに辿り着いた。そこで彼らは、一隻の古びたボートに目を留めた。それは「X艇」と名付けられた奇妙な船だった。


「これがX艇か…ただのボートとは思えんな」と景勝が言った。

 武蔵はその船に触れ、何かを感じ取ろうとしていた。「この船には、何か隠された力があるようだ。我々をどこかへ導こうとしている」

「乗るしかないようだな」と佐助が短く言った。


 彼らがX艇に乗り込み、湖へと漕ぎ出すと、不思議なことが起こった。周囲の風景がゆっくりと変わり始め、まるで時を遡るかのような感覚に包まれた。


 やがて、彼らは湖の真ん中にある小さな島に辿り着いた。そこには、古びた銀杏並木が立ち並んでいた。


「この並木…まるで過去の記憶が息づいているかのようだ」と武蔵が呟いた。


 銀杏の葉が舞い落ちる中、彼らは並木道を進んでいった。そして、道の終わりに、ついに「幻の家」が現れた。


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 #### 最終章: 木村銃太郎の真実


 幻の家の中は、まるで過去と未来が交錯する不思議な空間だった。壁には無数の絵画や古い地図が飾られ、床には何かの儀式を思わせるシンボルが刻まれていた。


 その中心に、一人の男が佇んでいた。彼は木村銃太郎と名乗る、かつての戦士だった。


「君たちがここまで辿り着いたことは称賛に値するが、ここで終わりだ。幻の家の秘密は、決して外部に漏れてはならない」と銃太郎が冷静に語った。


「この場所に何が隠されているのか?」武蔵が問いかけた。


 銃太郎は一瞬の沈黙の後、語り始めた。「この家は、かつて我々が守ってきた最後の砦だ。ここには、世界を動かす力が眠っている。その力を求める者たちが後を絶たない。だからこそ、この家を守るために俺はここにいる」


「だが、その力を利用しようとする者たちがいる。お前もその一人か?」景勝が鋭く問い詰めた。


「俺はただ、守る者だ。だが、もしその力が悪用されることになれば、俺は自らの命を捧げてでも阻止するつもりだ」


 武蔵は静かに銃太郎を見つめた。「我々もまた、この力を正しく使うべくここに来た。お前を倒すつもりはない。ただ、共にこの力を守るために戦おう」


 銃太郎はしばらく考えた後、深く息を吐いた。「…お前たちの決意は理解した。この家と、ここに隠された力を守るために、俺はお前たちに協力しよう」


 こうして、武蔵たちは新たな仲間を得て、幻の家の力を守るための戦いに身を投じることとなった。彼らの14日目の旅は、ここで一つの終着点を迎えたが、同時に新たな戦いの始まりでもあった。


遠くから再びスウェディッシュ・ロックが響き、銀杏の葉が静かに舞い落ちていく中、彼らは未来へと進んでいった。


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### エピローグ: 新たな挑戦


 幻の家を守るための戦いが終わった後、武蔵たちは再び旅に出た。しかし、彼らの前にはさらなる困難が待ち受けていた。


「我々が次に向かうべき場所は、どこだ?」と佐助が尋ねる。


「まだわからないが、道は必ず続いている。次なる標的が現れるまで、我々はこの力を守り続けねばならない」と武蔵は答えた。


 そして、彼らは再び旅路を歩み出した。その道の先には、まだ誰も知らない新たな運命が待ち受けていることだろう。


**(つづく)**

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