第11話 十一時の戦い

**第1章: 闇の影**


昭和初期、東京の夜は重い霧に包まれていた。新橋の路地裏、看板の灯りもぼんやりとしか見えない。夜の帳が下り、町の裏側が姿を現す時刻。そこに立つ若者がいた。


有明友之助は、二十歳そこそこの剣士であった。剣道初段、柔道二段という腕前を持ち、その容姿は精悍で、どこか孤高の気配を漂わせていた。友之助は、静かに佇む闇の中で、一つの目的を果たそうとしていた。


彼が探しているのは、「黄金仮面」という名の古い剣だ。伝説の剣豪、宮本武蔵が残したと言われるその剣は、普通の剣とは違う、異様な力を持っているという。だが、剣を狙うのは友之助だけではなかった。


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**第2章: 謎の女**


その夜、友之助はとある噂を耳にした。新橋のとある料亭に、宮本武蔵の遺品を所持する男が現れるというのだ。友之助は、その噂を確かめるべく、料亭の近くに忍び寄った。


料亭の庭で、友之助は一人の女性を見かけた。長い黒髪に白い着物、その姿は幽玄な美しさを放っていた。彼女の名は大鳥不二子。まるで夜の闇に溶け込むように、料亭の奥へと消えていく。


不二子は黄金仮面の情報を持っていると聞いた友之助は、彼女を追った。しかし、不二子はただ微笑み、意味深な言葉を残して姿を消してしまう。「貴方の旅は、まだ始まったばかりよ」


**第3章: 対決**


数日後、友之助は東京湾のヨットハーバーにいた。不二子が残した手がかりを追い、彼はある船に辿り着いた。そこには、大曾根龍次という男が待っていた。大曾根は、空中曲技と自動車操縦に長けた天才であり、闇の世界で名を轟かせる男だった。


「黄金仮面はどこだ?」友之助が静かに問いかける。


大曾根は嘲笑を浮かべた。「その剣が欲しいのか?だが、俺も譲るつもりはない」


二人の間には、凍てつくような緊張が走る。剣と拳、そして銃が交錯する戦いが始まった。友之助の剣は、大曾根の銃弾をものともせず、風のように舞った。だが、大曾根もまた、友之助に負けず劣らずの技を見せつける。


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**第4章: AB線の謎**


戦いが激化する中、友之助は「AB線」という謎の符号を思い出した。それは、不二子が最後に残した手がかりだった。「AB線」とは一体何を意味するのか?


 ふと友之助は気づいた。AB線は地図上の座標を指しているのではないかと。そして、それが示す場所は、東京のとある地点だった。友之助は、大曾根との戦いを一時中断し、その場所へ向かう決意を固める。


**第5章: 十一時の戦い**


十一時、東京の地下。友之助は、ついに「AB線」が示す場所にたどり着いた。そこには、不二子が待っていた。彼女は静かに語り始める。「ここが全ての始まり。そして、全てが終わる場所」


その瞬間、影から現れたのは、大曾根龍次だった。再び、激しい戦いが繰り広げられる。だが、今回は違った。友之助は、宮本武蔵の遺品「黄金仮面」を手にしていた。剣から放たれる光が、大曾根を追い詰めていく。


 ついに、友之助の一閃が大曾根を捉えた。「これが、武士の道だ」友之助は静かに剣を収め、戦いに終止符を打った。


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**第6章: 終焉と新たな旅**


 大曾根を倒した後、友之助は不二子の元へ向かう。だが、不二子は微笑みを浮かべながらこう告げる。「あなたの戦いはまだ終わっていない。新たな旅が待っている」


友之助は、その言葉に静かに頷き、夜の闇に消えていく。彼の手には、伝説の剣「黄金仮面」が握られていた。そして、彼の旅は再び始まるのだった。


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