第17話 おち〇ぽの雄たけび

 オークは丘の上で威風堂々と、とんでもないイチモツをそそり立たせていた。

 生物としての格の違いをわからされた男の衛兵は、カタカタとふるえながら戦意喪失している。


 しかしマケナインは女騎士、ついていない。

 気丈に檄を飛ばす。


「うろたえるな‼ たかがオーク一匹! なにするものぞ!」


 マケナインはまるで怨敵でも見つけたかのように、数百メートル向こうのオークを睨む。


 た、たしかにあの長距離〇精は驚いたが、一匹ならどうってことはない!

 俺もそう思っていたが、アルルが少しあわあわしながら叫ぶ。


「ほ、他にもまだいます!」


 丘向こうに隠れていたのか、オークの隣にゴブリンがあらわれる。

 ゴブリンは魂をふるわせるように叫んだ。


「OHーーーーーーーーち〇ぽ‼‼‼」


 そしてまた一匹、ゴブリンがあらわれる。


「OHーーーーーーーーち〇ぽ‼‼‼」


 新たにあらわれたゴブリンも威嚇するように叫ぶ。

 また一匹あらわれて、大地をとどろかせるように叫ぶ。


「OHーーーーーーーーち〇ぽ‼‼‼」


 また一匹、また一匹あらわれては仲間と呼応するように叫びつづけた。


「OHーーーーーーーーち〇ぽ‼‼‼」「OHーーーーーーーーち〇ぽ‼‼‼」「OHーーーーーーーーち〇ぽ‼‼‼」「OHーーーーーーーーち〇ぽ‼‼‼」「OHーーーーーーーーち〇ぽ‼‼‼」「OHーーーーーーーーち〇ぽ‼‼‼」


 雨雲の下、数十ものゴブリンが丘の上で横一列に並ぶ。


「「「「OHーーーーーーーーち〇ぽ‼‼‼」」」」


 ゴブリンたちの裂帛が離れいても恐ろしいまでに伝わってくる。衛兵たちは完全に気遅れてしまい、その場に立ちつくしていた。


 突撃ラッパの類いか……!

 戦意高揚のため、そして敵を委縮させるための魂の叫び‼‼‼

 あれはオークの巨ち〇ぽを御旗にした鬼の集団だ‼


 鬼たちの突撃がくるとマケナインも察したのか、すぐに号令を飛ばす。


「迎撃陣形を組め‼ 数は我らが上回っている! 連携をしながら各個撃破せよ‼」


 さすが高潔なる女騎士。衛兵たちも表情を引きしめる。

 もしこれが普通のファンタジーならば、彼女もその高潔っぷりを最後まで維持できたことだろう。


 しかし相手はエロモンスター。

 高潔なる女騎士の予想など軽く上回る。


「うごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 巨ち〇ぽオークの叫びが大気をふるわして、そして駆けた。

 あれほどの巨体に巨ち〇ぽだ。さぞ動きにくいだろうと誰もが思ったことだろう。


 しかしマケナインが目を見開く。


「は、速い⁉」


 丘を駆け下りたオークは、俺たちへとみるみる距離を詰めてくる。


 なんだあの速さ⁉

 水上オートバイクみたいに大地を跳ねるようにやってくるぞ⁉


 そこで俺は異様な走りの正体に気づく。


「マケナイン! あのオークは巨ち〇ぽを3本目の足として使っている! 巨ち〇ぽの硬度をゆるめながらバネ代わりにして跳ねているんだ!」

「なにっ⁉ おち〇ぽは変幻自在だというのか⁉」

「それがおち〇ぽだ‼」


 言いながら、俺は自分の正気を疑った。


 くっ……マジでしっかりしろ!

 エロRPGゲームの世界に呑まれるな! わけもわからないままわけのわからないものに殺されたいのか!


 そうしてオークが間近に迫る。


「うごおおおおおおおおおお!」


 オークは巨ち〇ぽを地面に突き刺して、びーーんと硬直させる。そしてイチモツをしならせながら棒高飛びの要領で空に飛んだ。


 オークは空中を回転しながら輸送隊に突っこんでくる。

 ドズンッッと着地して、大地が跳ねあがった気がした。


 誰もがその異様な技、でかすぎるイチモツに硬直している中、オークが叫んだ。


「吾輩はおち〇ぽケースオーク‼‼‼ 貴様ら小さきモノをつらぬく者なり‼」


 2メートル以上はゆうにある身体に、巨大イチモツがそそり立つ。そのせいか、オークの身体が3メートルはあるように見えた。


 巨大イチモツの先端が、妖しくねっとりと輝いている気がする。

 近くの衛兵が我に返って、槍でイチモツを突く。


「ひいいいいいい⁉」


 ボキリと、槍が簡単に折れてしまう。

 それで心まで折れたように衛兵はふるえあがってしまい、おち〇ぽケースオークが血走った瞳で睨む。


「貴様もおち〇ぽケースにしてやろうか‼‼‼」

「さ、されたくないで……あびゃば⁉」


 巨大おち〇ぽにこん棒のように殴られて、衛兵が吹っ飛んでいく。地面をけずるようにふっ飛んでいき、そして動かなくなった。


 異様な空気が場を支配していたが、マケナインが気丈に叫ぶ。


「わざわざ懐に飛びこんできた馬鹿だ! おそれるな! 全員で丸出しの急所を狙え!」


 そういえばおち〇ぽは急所だったことを、誰もが思い出した顔をする。

 あまりにも凶悪なサイズと形だ。もはや凶器にしか見えなかったのだ。


 衛兵たちが雄たけび、オークの巨ち〇ぽに鋭い武器を浴びせるが。


「効かぬ! 斯様な攻撃、吾輩の一せんずりにも満たぬ‼ 果てぬわ‼‼‼」


 オークは巨ち〇ぽをゆるませる。

 そして、一気にそそり立たせた。


 ビーンとそそり立った衝撃で、衛兵たちが上空に跳ね飛ばされてしまう。


「う、うわあああーーーーー!⁉」「な、なんて勃起力だあああ!」「アレはホントにお〇ぽなのかあああ!」


 周りの衛兵たちは圧倒的な巨ち〇ぽに恐れおののいている。

 オークはそんな彼らを嘲るように笑った。


「ぐははっ! これでは吾輩のマラのうずきは止められぬ……ぬ?」


 マケナインが剣を抜いて、オークと相対していた。

 その並々ならぬ気迫に、オークは唇の端をあげる。


「面白い面構えをしておるな、女」

「おち〇ぽケースオーク‼ 貴様のち〇ぽ! 根から断ち切ってくれるわ!」

「よき叫びだ! マラにひびいたぞ! 貴様ならば良きケースになりそうだ‼‼‼」 

「ぬかせえええええええ!」


 マケナインとおち〇ぽケースオークが戦いをはじめた。

 マケナインの気迫がみなに伝わって混乱が納まるかと思いきや、この瞬間を狙いすましたかのようにゴブリンの群れが突撃してきた。


「「「「OHーーーーーーーーち〇ぽ‼‼‼」」」」

「「「う、うわあああああああああ⁉⁉⁉」」」


 人と、ゴブリンが、わっとぶつかり合う。

 乾いた大地でかち合った。

 煙がもうもうと舞い、いたるところで剣戟が鳴りひびく。


 まずいっ、乱戦だ! アルルたちに気を配りにくくなる!


 リンはすでに荷台を飛びだしていて、鉈で襲いかかってきたゴブリンを双剣で仕留めにかかっていた。


「クロスエッジ‼」


 リンは必中スキルでゴブリンを斬りきざむ。

 しかしゴブリンは致命傷を免れていて、殺気だった瞳でリンを睨んでいた。


「ちっ! 女の身体にまだ慣れねぇ!」

「リン君! 【風の嘆き】を聞いて!」


 アルルも荷台を飛びおりて、精霊術【風の嘆き】を使用する。

 そよ風をまとったリンの動きはいっそうはやくなり、手負いのゴブリンの胸に双肩を突き立てた。


「助かるアルル!」


 二人とも戦闘をはじめるつもりか⁉

 長期戦になればアルルのレベルじゃあ精霊術のストックがすぐになくなってしまう。こんな混乱状態の中じゃ、騎士だと二人を守りにくいぞ……。


 ど、どうする⁉

 考えているあいだにゴブリンがわらわらと集まってくる。


 俺は腹をくくり、荷台から飛び降りる。

 奴らとこの姿で戦うことに決めた。


「アルル! リン! 俺たちで固まって戦おう! アルルはここぞのときを見計らって、精霊術で援護をしてくれ!」

「シャクヤ! アンタ、武器はどうするんだ⁉」


 リンに背中をあずけながら俺は答える。


「こうするんだ!」


 飛びかかってきたゴブリンの頭をつかみ、こう意識した。


「ゴブリンを【装備】する‼」

「ぐぎゃああああああ⁉⁉⁉」


 俺の手のひらから電撃がほとばしり、ゴブリンは消滅……することはなかった。電気ショックで悶絶したように倒れている。


 生物相手だとセーフティ機能でもあるのか?

 リンは「やるじゃん」と言いながら双肩を構える。


「「「「OHーーーーーーーーち〇ぽ‼‼‼」」」」


 ゴブリンのおち〇ぽな叫びがいたるところから聞こえてきた。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 エロゲ……特に同人系特有の空気感ってあると思うんですよ。

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