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「あぁん一条さん、くすぐったいですぅ。」


「ほんとは俺に揉まれて快感なんだろ?

旦那より上手いぞ~。」


「一条さんは奥さんいるんだから、こんな事をしたらダメですってば!」


「ハッ!バカだな、何を今更。

俺がここの女の子達と遊んでいるのを見て何を言う。」


一条は前屈みになった静香のパーカーの中に手を入れて乳房を強く揉みしだいている。


静香は野崎に目で助けを求めるが、野崎は顔を背けた。

過去にも一条は静香に性的なチョッカイをだしている。


「今日は女の子達と遊ぶより静香ちゃんにサービスしてもらいたいね。

ここには政治家のセンセイ方を接待した時使ったナースやバニーの衣装があったろ?

おい、小僧。

衣装持ってこいよ。」


徳山は野崎に目を合わせると野崎は頷くだけだった。


衣装は秋奈が休んでいる部屋のクローゼットに収納されている為、リビングを出て階段を上がった。


「小僧、早くしろよ。

こっちは多忙だからよ。」


リビングから一条の野太い声がする。


「はぁ、嫌な男だよ。

あんな変態が日本で5本の指に入る大企業のトップだなんてさ。

政治家もあんなジジイと結託してここで女遊びはするわ、どうしようもないな。

そりゃ国も凋落するわけだ。」


小さな声で徳山は呟いた。


一条にイラつく徳山は秋奈が休む部屋の前まできていた。


「秋奈ちゃん?悪いんだけど、部屋に入るよ?」


秋奈から返事はない。


「秋奈ちゃん?」


拳骨で3回ドアをゴンゴン叩いたが、返事はなく静まりかえっている。


了解を取らず部屋に入るのは本意ではないが、ゆっくりドアノブを回して部屋に入った。


「ちょっといいかな?」


秋奈が寝息をたててベッドで眠っている光景が目に入った。

昨晩からほぼ眠っていないまま早朝に撮影現場まで移動をしている。

緊張状態で眠れるはずがないと秋奈は考えていたが、脳は睡眠を欲しており強制的に瞼を閉じさせた。


クローゼットを開けてゴソゴソしていると、再び一条の声がリビングから聞こえてくる。


「遅いぞ!?いつまで待たせるんだ!?」


「ちょっと待ってください!」


なんてセッカチな奴だ、探し始めてまだ2分くらいしか経っていないぞ。

権力を振りかざす一条に顎で使われ、他人がセックスで使うコスプレ用の衣装を探している自分が惨めな存在に思え泣きそうになった。


「あの…?」


「あっ!起こしちゃったね。」


徳山は目元を腕で拭った。


「何してるんだって思ったでしょ?

ノーペシミストって会社を知ってる?って知らないわけないか。

今ね、あの会社の社長の一条がここに来ているんだ。」


「社長の一条…?最近、海外の恵まれない子供達に10億円を寄付した、あのノーペシミストの社長?」


「そうそう、あの一条。

ちなみに秋奈ちゃんの知っている一条は、表向きは従業員を大切にしていて、社会貢献をする有料企業のカリスマ社長ってとこだろう?

でもね、ここで自分の娘より若い女達と乱交に溺れ、裏社会とも繋がっている一条は日本のチンカスさ。

世間を欺こうが俺はあんなヤツに騙されやしない認めるわけがーーーー」


「なるほどね。

おい、その続きを聞かせてくれないかね?」


一条が痺れを切らし部屋にやってきていた事に気づかなかった徳山は、ひっくり返るほど仰天した。

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