1ゲーム目の終了

「知らねぇよ……聞きたいなら、後ろのこいつに聞いてくれよ。俺はただって言われただけだ」


 後ろでニマニマしている男を指さしながら言った。

 五色が手を上げながら俺の後ろから出てくる。


「はい、じゃあ指名もらったから話すんだけどこの作戦の肝は僕なんだよね。それで簡単に4つの工程に分けると、1つ目は鰯田くんには宗田くんに近づいて貰う。2つ目、僕は木刀を鰯田くんに投げる。3つ目僕の心力アビリティ思考管理マインドコントロールを発動させキャッチさせたタイミングで木刀を振らせる。」


「まぁ、こんなめんどくさいことをしないといけなくなった原因は宗田きみのせいなんだけどね〜〜でも正直驚いたよまさか君の心力アビリティ、太刀筋の軌道までも読めるなんてね」


 え?宗田が太刀筋を心力アビリティで読んでる?


「何いってんだ、こいつの能力は嘘発見器のようなものなんだぞ?そんな太刀筋を読むなんて、だいそれたことできるわけ無いだろ」


 俺は五色に反論する。

 だが五色は人差し指を横に振りながら俺にこう言ってきた。


「チッチッチッ、甘いね〜〜根本的なところからミスってるよ。確かに宗田くんの能力は簡単に言えば、嘘発見器のようなものだ。」


「だったら……ムグッ」


 俺は反論しようとするが、口が突然開かなくなる。

 五色こいつ能力使いやがったな……?


「はいお口チャック……だから落ち着いて。確かに嘘発見器だけど宗田くんの能力は、一味違って脳に干渉するんじゃなくて心に干渉するもんなんだよね。だから例え脳では考えないようにしていても、人間というのは深層心理というもんを変えられないんだよね」


 なるほどな、その説明が本当ならさっきの戦いで意味不明だったことに、合点が行く。

 心が読まれているなら、俺の死角からの攻撃にすべて反応し、反撃していたのも納得できる。

 だからか、だから五色は能力を使わないと勝てないと踏んで、俺にわざわざ作戦を伝えず特攻させたのか。

 それにしても、あいつ宗田の反撃を一度しか見てないのによくそこまで見抜けたな……


「どう?これで納得いく説明が聞けた?」


 少し煽り気味な口調で五色は言った。


「あぁ聞けたよ……だがもう一つ聞きたいことがある。鰯田くん君はいったい、いつから僕の正体に気づいていた?五色くんを呼ぶことができたのは僕が正体を明かす前だ、いつ気づいたと言うんだい?」


 宗田が少し悔しそうな顔をして俺に言ってきた。


「まぁそうだな、本当のことを言うと別に気づいてはいなかったんだよね……ご生憎さま俺はそこまで頭が良くないからね……」


 いやだってしょうがないじゃん。俺別に相手の嘘を見破れるわけでもないんだから。


「は?じゃあ何で君は五色くんを呼んだんだい!!ていうかいつ呼んだ!!」


 あまりの衝撃に丁寧な口調が少し暴力的になる。

 まぁしょうがないよね……別に正体が見破られたわけじゃないのに、なぜか援軍呼ばれてるんだから。


「そりゃあ嫌な気配がしたから念の為ってやつだよ。捕らぬ狸の皮算用っていうだろ?五色は俺等と別れたあとすぐに呼んだよ。俺は勝てる勝負しかしたくないからね」


 俺の言葉を聞いたあと、宗田は少し呆気にとられた顔をしている。

 そして少し沈黙が流れたあと宗田が急に笑い出した。


「はっはっはっはっは!!そんな理由で呼んだのかい?いやーー負けた負けた。今回は僕の完敗だ、楽しかったよ。またどこかで会おう」


 そう言って宗田は光の粒子となって消えてしまった。


「あぶね〜〜ギリギリだったマジで。五色が助けに来てくれなかったらマジで危なかった……改めて感謝するぜ……」


 額の汗を拭い、その場に座り込む。


「それにしても喜早たちは大丈夫なのか?」


 あの人数相手だったからな……やられててもおかしくない。


「あ〜〜それなら大丈夫じゃない?それに気にしてる暇もないと思うよ、もうゲーム終わるし」


 五色のそんな言葉と同時に大きくブザーが鳴った。

 どうやら第1ゲーム終了の合図らしい。


「は〜〜〜〜〜い。お疲れ様。第1ゲーム終了をお伝えしま〜〜〜〜す。えっと……何言うんだっけ?」


 気だるそうな声が天空から聞こえてくる。

 それにしてもこの人大丈夫か……?


「あぁそうだったそうだった。受験者はいったんこちらで回収させてもらうので、その場で待っててもらっていいですか?無理に動かれると困るんで」


「それじゃあ回収していくんで、お願いしま〜〜す」


 その言葉とともに俺の目は白い光に包まれた。

 この感覚は……転送されるときと同じ感覚だ。

 だが白い光は段々と薄くなっていく。


「ついた……?ここはさっきの白い大きな部屋?」


 目の前の光が消えると目の前に広がったのは、俺等受験生たちが試験が始まる前に謎の男にルール説明された、大きな白い部屋だった。

 だがさっきのようにガヤガヤとした雰囲気がなく、とても静かなように感じられた。

 それもそのはず、さっきより圧倒的に人数が減っていた。


「これ明らかに人数減ってるだろ。一体どういうことだ?」


 なんで回収するだけなのに受験生の数が減ってるんだ?

 おいおいなんかおかしくねぇか……?


「あ、そうだ。五色達はどうなったんだ」


 もしかしたらあいつらはここにいるかもしれない、俺と一緒の村人チームだからな。

 そう思って周りを見渡すと遠くの方に、さっきまで一緒にいた男の顔を見つけた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る