第19話 コイントスは、必ず裏か表!って、たまに縦も有るよね?

 キャッシーが矢をつがえていないクロスボーを空に向けると、構えた先の中空に直径3メートル程の光の玉が出現する。

「ホリーライト・レイン!」

 キャッシーの掛け声に応えるように、光の玉から地上に向かって降り注ぐ『光の矢』…当然の事ながら、草木はへし折られ、地表面には多数のクレータが出現する。


「ソニックブレード改!」

 イッ君が18号を振り下ろすと、真空波が地面を駆け抜け、木々を薙ぎ倒していった。


「???」

 余りの破壊力に目が点になるイッ君

「あらぁ、これは大変な破壊力ねぇ。」

 涼しい顔で取り繕っているが、こちらも想定外の破壊力に戸惑っているキャッシーさん。


『これが奇石の力というヤツじゃな。』

 満足気に語りかける18号に、二人は首を縦に振るばかりだった。

『それにしても、攻撃特化の奇石なぞ、初めて見たぞ。』

「そうね、有り得ないシロモノよね。」

 珍しく18号に同意するキャッシー。

「何がそんなに珍しいの?」

 イッ君、もっともな質問。


『仮説なんだがな…』

というのは、いわゆる召喚道具の一種と考えられてるの。」

『しかも術式不要で、魔力の有無も影響せん。』

「だから、召喚者を保護するだけの力しか行使されない。」

 珍しい18号とキャッシーの共同ご高説。


「んじゃ、獣人達の行使できる『妖精へのお願い!』ってヤツは?」

『殆どの獣人は魔力を持っておる。』

「イッ君や私にも魔力が宿っている…異世界からの住人、血縁者には魔力持ちが多いの。」

『故にというわけじゃ。

 もっとも、ヒナにかえる連中は殆どおらんがな♪』

「じゃあ、オレは?」

「『殻を被ったヒナ(大爆笑!)』」

 イッ君、どうにか合格ラインに立てた模様。


「って事は、キャッシーさんって…」

「そ、私の父は勇者よ!しかも18号の初代使い手♪」

 まぁ、因果な話であった。


「それで、オレ達の場合は『妖精へおねだり』しなくてもいいのか?」

 首を捻るイッ君。

「言われてみれば、この奇石に宿っている精霊って何かしら?」

 キャッシーさんも首を捻る。

『精霊とは別の類の存在さ。』

 18号が答える。

『というわけで、おぬしら二人の場合は、物理攻撃に際して、魔法の付与が発生するわけじゃな。』


「因みに、ダイヤモンドと黒曜石の違いは?」

 イッ君、嫌な予感を抱えつつの質問

『ダイヤモンドは聖属性、黒曜石は………お察しかのぉ。』

 イッ君、目が点。


「じゃ、じゃあ、私の火炎系魔法も?」

 ホクホク顔のキャッシーさん

『無論、聖属性の付与が加わる。

 ヘルファイアから、ホリーフレアに化けるじゃろうから…威力はヒュージドラゴンのブレスにも匹敵するじゃろう。』

「やたぁ!」

 すっかりご機嫌なキャッシーさん。

 隣では、イッ君が深い溜息をつくのであった。

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