Word10. 「半月」
青空のど真ん中で
太陽が照らし、
沈みかけた月が
こちらを睨んでいる。
真っ暗闇の夜は明け、
朝が来た。
誰もいない静けさはなくなり、
小鳥の囀りが
遠くのエンジンの音が
誰かの話し声が聞こえる。
半月は嫌いだ。
全てが照らされていない感じで、
全部が見えない気がして。
でも君は、
その半月に向かい
手を伸ばした。
「背伸びすれば届くかな?」
決して成し遂げられないものを、
信じて疑わなかった。
「満月より半月が好きなんだよね」
頑張っている気がするから、
見えないところでも
頑張っているから。
全てが照らされる時のために、
全力を尽くしているから
と——。
半月は好きだ。
あそこに君がいる気がしてならない。
君がこの世界に存在しなくても、
君はこの世の中に存在している。
その事実が嬉しくて、
僕は半月に向かい
手を伸ばした——。
ちょっとぐらい頑張ってみようよ。
きっと、
全てが照らされる日が、
来るはずだから——。
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