第33話 のんびり学園ライフ

俺は子種の提供を終え、のんびり学園ライフを過ごしていた。

学園ライフといっても、俺は真面目に講義など受けていない。

卒業する気もさらさらない。

学費はベルが用意してくれるし、俺はもうこの学園で学ぶことはあまりない。

魔物にメタモルフォーゼしてしまえばたいていの魔術や体術は使えてしまうからだ。

だから、自由気ままにやらせてもらっている。

受けたい講義だけ受ける、それが俺流なのだ。


だが、受けたい講義などないので、俺は学園の道場を借りて、クリフォードに稽古をつけてもらっている。

まあ、クリフォードにはハレンチスレイヤーがあるので、俺は絶対にかなわない。

クリフォードを見てほんの少しでも発情したら負ける。

そんなの勝てっこない。

勝つ方法を強いてあげるならば、賢者モード中に戦うことだ。

そうすれば、ハレンチスレイヤーを無効化できる。


さて、今日も修行である。


「体技はな、基本的には武術(マーシャル)と言って発動するのだ。

 例えば、武術・流星一閃!!!」


クリフォードは、素早く移動し、神速の一閃を試し藁に繰り出した。

さすが勇者だけあって、無駄が一切ない、洗練された動きだ。


「さあ、ジェラルドもやってみよ!」


俺は見よう見まねでやってみた。


「武術・流星一閃!!!」


武術(マーシャル)と叫んだ瞬間、俺の右手と木刀が輝きだした。

流星一閃を詠唱すると、神速の一閃が繰り出される・・・と思いきや、輝きが弱りだし、なにも繰り出されなかった。


「うーむ、ジェラルドよ。

 大変いいにくいのだが、おぬしに剣の才能はないようだ!

 わっはっは!!!」


ああそうさ、俺は能力「魔族交配」以外、何のとりえもないただの雑魚だ・・・。

自身の才能のなさを思い知らされた。


「しかし、剣や体術が得意な魔物にメタモルフォーゼすれば、問題なかろう?」


「メタモルフォーゼ・ファントムブレード!!!」


俺はファントムブレードにメタモルフォーゼした。

見た目は剣の柄の部分に目がついており、常に浮遊している、剣の霊体の魔物だ。


「武術・流星一閃!!!」


俺は猛スピードで試し藁に切りかかった。

成功だ。

メタモルフォーゼすれば、武術も使いこなせることが分かった。


「ほほう、何でもありだな、その能力!」


「まあな。俺にはこれしかないから・・・。」


俺は自虐的に言った。


「そんなことはないぞ!

 ジェラルドはかっこいいし優しいし、それにそれに!」


クリフォードが慌てて俺をフォローする。


「ああ、ありがとう。クリフォード。」


俺はクリフォードの肩をそっと抱き寄せ、頬にキスをした。


「もう、ジェラルドったら!

 道場でしたいのか!?

 私は別にいいぞ!」


俺はただ愛おしくてキスしただけなのに、クリフォードはスイッチが入ってしまったらしい。


「まったくクリフォードときたら。

 魔王顔負けの破廉恥だな。」


「もおー!

 ジェラルドのいじわる!」


クリフォードは照れている様子だ。


俺はクリフォードの胴着をはだけさせ、サラシの上からスライムの触手で愛撫する。


「あっ、それやばいぞ、ジェラルド///」


そして視線を絡ませ、キスをし、サラシを脱がせる。


学園の道場でイケナイ行為の始まりである・・・。


---


「はあはあはあ///」


「最高だったぞ、ジェラルド。」


「ああ、そうだな。」


俺はクリフォードの手を握ると、クリフォードはそれにこたえるように強く握り返してきた。


「私を学園に入れてくれて、私に居場所を与えてくれてありがとう!

 ラル!」


そうか、クリフォードは現代に来てから不安しかなかっただろう。

なにせ、古代においてきた家族や友人とはもう会えない、孤独な状況だったはずだ。

そんな彼女に居場所を与えたのは紛れもなく俺だ。

クリフォードにとっての俺は、俺にとってのベルやプリムなんだ。

俺は一生クリフォードを大切にすると誓った。

絶対にこのこを悲しませてはならない。


「おっ!初めてラルと呼んでくれたな!

 そのほうが親近感があって嬉しいぞ。」


「そうかそうか! ラル!」


「何だ?」


「読んでみただけだ!

 わっはっはっはっ!!!」


すると突然、道場の引き戸が開く音がした。


ガラガラガラっ


「失礼するぞ。

 って、ジェラルド!

 それにクリフォード様!

 何をしておるんだこんなところで!!!」


クリスタルだ。

行為の後のはだけたクリフォードの胴着を指さし、現行犯逮捕!と言わんばかりである。


「ああ、クリスタルか。

 ジェラルドとの愛の行為中であったのだ。

 クリスタルも混ざるか?」


「にゃにゃにゃ、にゃにをおっしゃいますか、クリフォード様!

 ご冗談を!」


「はははは、可愛いなクリスタルは!

 たしか処女であったか、これは失敬。」


「処女の何がいけないのですか!

 大切な殿方のためにとっておるのです!」


「だそうだぞ、ジェラルド。」


「冗談はそれくらいにしてやれ、クリフォード。

 稽古をつけに来たのだろう、クリスタルは。」


「あ、ああそうだ。

 まったく、学園の道場でするとは、破廉恥だぞジェラルド!

 クリフォード様も何とか言ってやってください!」


「私から誘ったのだ。

 まあ、勘弁してくれ、クリスタル。

 それよりも稽古だ!

 たくさんしごいてやるからな!」


こうして、3人で稽古をすることとなった。


---


稽古を終えると、俺は寮に戻った。


すると、ノックがする。


コンコンっ


「邪魔するぜい!」


聞き覚えのある声だ。

誰だっけか。


すると、その声の主はずかずかと部屋にあがってきた。

そう、オーレンであった!



<<作者あとがき>>


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