第3話

 「早く!!走って!!もっと早く」


「離して、離してよ!!」


「駄目だ、そうしたら」


「いいのそっちの方がいい!!アンタみたいなクズに助けられるくらいなら、地獄のような生活でもそっちの方がいい!!」


 もう少しで、お母さんが用意したボートがある。


 あと少しだ。


だが、彼女は転んでしまった。


 「痛い、痛い。もう走れない。走りたくない!!なんで私がこんなに走らないといけないの?」


駄々を兼ねてくるし、


 「あーもう、なら走らなくていいから!」


 おんぶして、無理矢理行くしかない


 「やめろ!!汚い!!触るな!!」


服も破れて、泥も着いてるのに癖に言ってくる。


 「あーもう、とりあえず黙っててよ。」


 さっきからそうだが、彼女の言葉を無視して走るしかない。


 「・・・なんでよ。」


背中にいる彼女は急に泣きながら喋り出す。


 「なんで、助けるのよ。」


「・・・」


「みんな、私を恨んでた。あの子達だって、だからこんなに酷いことをされて・・・それなのに一番アンタに酷いことをしてたじゃん。なんで助けようとするのよ、」


「・・・」

 

相変わらずだわ、このお嬢様、性格悪すぎる。


 もう嫌なことしか、嫌がらせとか傷つけることしか考えてない。だから単純に人を助ける考えがないのだ。


「なんでよ、なんでよ。」


「・・・いいから、黙ってよ。バレるじゃん。死にたいの?」


「・・・うるさい。命令すんな」


「あーもういい」


それからも、彼女は俺に何か聞いてくるが無視をした。そして段々と喋らなくなった。



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