顔バレ

 結果として、鹿島は捕まった。媚薬を入れたことは頑なに認めなかったが、長時間の取調べにより、認めた。

だが、何よりもの問題は僕の顔が世間に知らされたこと。ものすごい速度で拡散され、一時、トレンドに入るレベルだった。

僕は花道に今日の仕事行けないかもしれないと送った。

幸い、流出した顔写真は変装してる時の写真だったのでどうにかなったので、まあどうにかなりそうだ。

ネット上では

「イケメンやん。このVtuber。」

「こいつならギリ孕む。」

「拡散するな」

などの反応が上がっており、運営は沈静化で忙しいらしい。


 数時間後、僕は配信を始める。


「はい。みなさん、聞こえていますでしょうか。海野源です。今回の顔バレ・ディレクターの性的暴行の件について。ディレクターの件については運営に任せます。

顔バレについてです。みなさん、あれだけ拡散されていればもう僕の顔ぐらい知ってますよね?

ですので、今回からは……」


僕はカメラを普通のカメラ映像に変え、変装した自分の姿を映す。


「今回からは3次元にも手を出していこうと思います。」


運営からメールが来た。内容は顔出し系Vtuberをやってみたらどうかという提案。普通に考えてぶっ飛んでいる。

だが、ここで逃げたとしても一生僕の顔写真(変装)はネット上に出回るだろう。今後の活動の障害になるかもしれない。

ならばもう顔出しをしてしまおうという流れらしい。

僕も何がしたいのかわからない。

だが、今後筋トレ配信とか、無人島鬼ごっこ番組への出演ができると聞いたので僕は「やります」と即決した。


僕は今黒髪のカツラを被り、カラコンを入れるという変装で顔出し配信をしている。

コメント欄には


「えっ」


「こんなことがあっていいんですか!」


「海野くんさぁ……開き直りすぎじゃない?」


などが上がっていた。


「今回から顔出し3、絵7くらいでやっていっこうと思います!顔出しの方ではですね……例えば『筋トレ配信』とか『24時間マラソン配信』とか、『無人島で三日間特殊部隊と逃走中配信』とかやってこうと思ってます。」


コメント欄


「『無人島で三日間特殊部隊と逃走中配信』がめっちゃ気になるんだけど。」


「これは……伏線⁉︎」


伏線か?という声が結構上がっている。それに対し、僕は少し情報を与える。


「詳しい情報は五月中旬公開予定です。」


僕の言葉にコメント欄は結構ざわついていた。




 翌日、学校に行くと、特に僕の活動がバレているということはなかったのだが……なかったのだが……それよりも重大な問題が発生していた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る