第80話:久々に王都にやって来る
ステラさんと一緒に朝ごはんを食べ終えてから数時間程が経過した頃。
―― ビュンッ!
「はい、王都に到着しましたよ!」
「ありがとうセラス君! その指輪すっごく便利だね! 王都まで一瞬で辿り着けちゃうなんて本当に凄いよー!」
俺は転移の指輪を使ってステラさんと一緒に王都にやって来た。
元々ステラさんは王都に出張する予定だったんだけど、その際にアンネリーゼに襲われてしまったので一旦オルガ村に帰ったんだ。
そしてアンネリーゼとのゴタゴタが全部解決して、ようやくステラさんの当初の仕事だった王都への出張に行けるようになったので、俺はステラさんの事を王都まで送り届けてあげたという訳だ。
「はい、本当にこれ凄い指輪ですよね。それでステラさんはこれから王都にはどれくらい滞在する予定なんですか? 宿とかはもう取ってあるんですかね?」
「王都の滞在は一週間を予定してるよ。宿に関しては冒険者ギルドの宿舎に泊る予定だよ。という事で今日から始まる大会議に私もウルスラ領代表として頑張って参加してくるね! そういえばセラス君はこの後どうするの? 先にオルガ村に帰ってるかな?」
「うーん、そうですねぇ……まぁせっかく王都に来たので、俺も一週間くらいブラブラと王都周りを見学をしてみようかなと思います。どうせ転移の指輪があれば一瞬でオルガ村に帰れますし、オルガ村で何か問題が発生したら村長が通信石で連絡してくれる事になっているので。ですからステラさんの出張期間が終わるまでは俺も王都に滞在しておきます」
「そっかそっか。うん、わかったよ。でもそういう事なら私もセラス君と一緒に街中をブラブラとしてみたかったなぁ。まぁ私はお仕事がずっと入っちゃってるから流石にそんな事をしてる暇なんて無いんだけどね……」
「そればっかりは仕事だから仕方ないですよ。あ、そうだ。それじゃあステラさんの仕事が全部終わって時間が残ってるようだったら、その後に街中を一緒にブラブラとしてからオルガ村に帰りませんか?」
「えっ、良いの?? というかそれってもしかしてデートのお誘いかな?? ふふ、お姉ちゃんにデートのお誘いをしてくれるなんて嬉しい限りだなー! うん、わかった! それじゃあ私のお仕事が終わったら、その後は楽しく姉弟デートをしようねー!」
「はい、わかりました。それじゃあ俺はこの一週間をかけてお姉ちゃんのためにも美味しそうなご飯屋さんとか色々と探しておきますね!」
「おぉ、それは嬉しいなー! うん、わかったよ! セラス君が見つけてくれた美味しいご飯屋さんを今から凄く楽しみにしてるからね! という事で私はそろそろ冒険者ギルドに向かうよ。それじゃあまたね、セラス君!」
「はい、わかりました。お仕事頑張ってくださいね。それじゃあまた」
そう言ってステラさんとは王都の街中で別れていった。という事でここからは完全に俺一人だけの自由時間となる。せっかくの王都での自由時間だし、この後は……。
◇◇◇◇
という事で王都にやってきてからしばらくして。
「おぉ、この森林の泉ってカレンと仲間になる所だよな! 本当にイベントシーンとまんま同じ風景で感動するなぁ……!」
俺はせっかく王都までやって来たので色々な場所に聖地巡礼をしようと思って早速行動を始めた。そんな訳で今は王都近くにある森林の中に入って仲間と出会うスポットを訪れていた。
ちなみに今俺が言った“カレン”とは物語中盤で仲間になる若い女剣士だ。年齢は17歳の女の子キャラだ。
とても可愛い女の子でステータスも高水準にまとまっていたので最後まで使いやすくてかなりの人気キャラだった。もちろん俺もカレンは毎回パーティに採用していたし、凄く大好きな仲間キャラの一人だった。
「そういえば今ってゲーム本編が始まる7~8年くらい前だから、今のカレンは10歳くらいかな? この時代のカレンが今何処で何をしてるのかはわからないけど……でもやっぱり大好きな仲間キャラだしこの時代でも楽しく生きていてくれたら嬉しいなぁ」
そんな大好きな仲間キャラを思い出しながら俺は森林の泉をノンビリと見つめていった。やっぱり大好きな仲間キャラ達には辛い目になんて遭わずに幸せに生きていって欲しいと思うのは当たり前だよ。まぁ近い将来に戦争が始まるからそんな幸せな生活が続かない事はわかってるんだけどさ……。
それと俺は今まで生きてきてずっと大変なゴタゴタに巻き込まれていたから、こんなにもノンビリと聖地巡礼が出来てる事にもちょっとだけ感動していた。これからもこんな感じでノンビリと一生過ごさせて貰いたいもんだなぁ……。
「……何かちょっとだけ感傷的な気分になっちゃったな。まぁそれじゃあカレンと仲間になるスポットは十分堪能出来たし、そろそろ次の聖地巡礼に行くとするかな……って、うんっ?」
『……きゃ、きゃあああああああああっ……!!』
そろそろ次の聖地巡礼場所に移動しようと思って森林から出て行こうとしたその瞬間、俺が居る場所よりもさらに奥の方から大きな叫び声が聞こえてきた。
「……な、なんだ? 今の声は?」
冷静に考えたら誰かが森林の中にいたモンスターとかに襲われてしまっているという状況だと思う。しかも今の叫び声の声質からして……おそらく子供の叫び声のように聞こえた。
「この叫び声がもしも本当に子供の声だとしたら……これは今すぐにでも助けなきゃだな!」
という事で俺はその叫び声を出してた人物(子供?)を助けるべく、その声が聞こえた方向に急いで走っていった。するとすぐに……。
「グギャアアアアアッ! グルギャアアアッ!」
「ふ、ふぇっ……う、うぅ……ぐすっ……だ、誰かぁ……」
すぐに俺は先程の叫び声の発信地に辿り着く事が出来た。そこでは小さな子供がモンスターにちょうど襲われそうになっている所だった。
(確かあのモンスターは……中級モンスターのワーウルフだな)
ワーウルフはとても鋭い巨大な牙と敏捷性の高さが特徴の肉食モンスターだ。人間も余裕で捕食するのでかなり危険なモンスターである。つまりあのワーウルフは子供を餌にしようと思っているという事だな。
そんな危ない状況を一瞬で把握した俺は、ワーウルフの攻撃から助けてあげるためにもその子供の元に急いで駆け寄っていった。そしてその時、子供は恐怖のあまり目を閉じていきながら何かを小さく呟いていった。
「グルルルッ!! グギャアアアアアッ!!」
「ぐ、ぐすっ……ひっぐ……た、助けて……アーシャお姉ちゃん……ぐすっ……ひっぐ……」
「グルルルルッ、グギャアアアアアアアッ!!」
「ふんっ!」
―― ザシュ!
「グ、グギャッ!? グ、グギャア、ア……アッ……」
―― バタンッ……!
「ぐ、ぐすっ……ひっぐ……って、えっ?」
俺は短剣を手に取っていき、子供に向かって攻撃しようとしていたワーウルフの頭を一瞬で切り落としていった。頭を失ったワーウルフはそのまま地面にバタンっと大きな音を立てて倒れていった。
そして目を閉じていたその子供は、自分がワーウルフに攻撃されてない事に気が付いたようで、恐る恐る目を開け始めていった。
すると地面にワーウルフが倒れている事にすぐに気が付いたようで、その子供は涙を流しながらもキョトンとした表情を浮かべながら辺りをキョロキョロと見渡していった。
「え……え、えっと……あ……れ……?」
「ふぅ、大丈夫だったかな? 怪我は無かったかな?」
「え……え、えっ? わ、私……ちゃんと生きてる……の……?」
「うん、もちろん。君はちゃんと生きてるよ」
「え……あ、う……ふ、ふぇ……う、うぅ……ひっぐ……た、助けてくれて……あ、ありがとう……ございました……うぅ……ぐす……」
「うん、どういたしまして。ちゃんと感謝を伝える事が出来るなんて立派だね。君はとっても偉いよ」
「うぅ……ぐすっ……って、あ……」
―― ぽんぽん……
そう言って俺はなるべく怖がらせないように柔和な笑みを浮かべていきながら、その泣いてる子供の頭をぽんぽんと優しく撫でていった。
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