第30話 【最終話】お父さん!!!!!

「こんにちはー、ひいおじいちゃん!」


 山奥の民家に、小学生特有の高く元気な声が響く。


 3日前、まつりから『日曜行くね』と電話があった信一は、その瞬間から楽しみで仕方なかった。孫に会えるのも嬉しいが、ほぼひ孫確定の可愛らしい小学生と野菜を収穫したり、山を散歩できることにワクワクしていた。漬物を作ったり、山を降りてお菓子を買いこんだり、家の掃除をしたりと、ここ数日は彼らを迎える準備に忙しかった。今朝もお昼ご飯用にうどんを打ったほどだ。


「おうおう、ふゆ子、よく来たな」


「お、お邪魔、します」


 駿はがちがちの真顔で、土間から信一に挨拶した。信一の顔が鉈にしか見えず、変な汗をかきそうだった。また鉈を持ち出されたらと恐ろしかったが、信一はおう、っと小さく返しただけで終わった。信一にとって、もやしは孫とひ孫(仮)のただの運転手。どうでも良かった。


「じゃあ、俺とふゆ子は外行くからよ、あとよろしくな」


 すぽんと信一はゴム長靴を履き、真冬とともに家を出た。


「よろしくって、何?」


「おばあちゃんの遺品整理」と、まつりはスニーカーを脱いで家に上がる。


 駿も続いてあがり、「おばあさん、亡くなってから結構経つんじゃないの? まだ残ってるんだ」


「まだも何も、全部残ってるよ。服も食器もボールペンも化粧品も、とにかく全部」


 二人が奥に進むと、仏間が現れた。その隣に信一が寝起きする部屋があり、今は襖が開け放たれ一続きになっている。


 まつりは信一の部屋にある和ダンスの前に立つ。彼女の背丈ほどの位置にある1番上の引き出しを抜き、畳の上にヨイショと置いた。祖母の洋服がきちんと畳まれて収納されている。


「いきなりびっくりしたよ。全部捨ててくれって。どんな心境の変化なんだろ。先が長くないから、って思ったのかな。寂しいけど」白無地のトートバッグから45Lの透明ゴミ袋30袋入りを取り出し、半円の引出し口をペリペリとミシン目にそって開けた。1枚取りだし、駿に渡す。「どんどん詰め込んでって」


 言われた通り、駿はばさばさと詰め込む。


「結構、さばさばさばくんだね。思い入れってないの?」


「無くはないけど、仕事と思えば」次の段を引き出すと「――あら浴衣。ねぇ、真冬ちゃんって浴衣持ってる?」


「持ってないよ」


 まつりと駿の脳裏に、3人浴衣姿で、地元の夏祭りでフランクフルトを食べたり、レジャーシートに座って夜空に輝く花火を鑑賞する映像が浮かぶ。


 二人同時に「今度」と口にした。あまりにもそろった声に、お互い見つめ合ったまま止まる。沈黙が、長い間しまわれていた衣服から放たれる匂いを際立てる。


「今度、なに?」


「へ、え、ああ、あの、浴衣、買いに行くかな~って。まつりさんは?」


「……私も、同じこと言おうとしてた。そろそろ浴衣売り始めてるよね。今度、越谷のイオン行こうよ。メンズも揃ってそうだし」


 同じことを考えている気持ちよさに二人は酔い始め、瞳がうるむ。駿はゴミ袋から手を離し、まつりの手を取った。


「ちーっす!」


 飲みサークルの学生よろしく、まなみが登場した。後ろには「こんにちは」小林も控えている。まつりは陽気な声にびくっとするも、ゆっくりと顔をそちらに向ける。駿は小林夫妻の存在を認めると顔を赤らめ、手を離し、下を向いてゴミ袋の端をぐしゅっと掴む。


「あらやだ、お邪魔しちった?」


「何ばか言ってんのよ。早く手伝え。すみません、倫太郎さんまで来ていただいて」


「お気になさらず。そうそう」小林はにこにこと駿の隣に座る。「真冬ちゃんから聞いたけど、ユニコーン・クエスト好きなんだって? 僕も子供の頃からのファンでさぁ。語りながら作業しようよ」


 駿は赤面から、がらりと、テレビゲーム好き小学生の顔に変わる。


「うわあ、語ります語ります! 嬉しい、会社に同士がいなくて。みんなファースト・ファンタジー派なんですよ」


 男子二人はゲームについて盛り上がりながら作業をすすめ、姉妹は無駄話もなくさくさくと服などを取り出していった。


「去年でた新作、プレイした?」


「もちですよ!」


「僕、2が好きでさ」


「渋いですね。俺は5」


「人気どころだ。もちろん5も素晴らしいね。でも2の良いところは―」


 ゲーム話で盛り上がる駿は、まつりが見たこともないタイプの楽しい顔、男友達にしかみせない表情をしていた。駿の素敵な表情をすべて知ることはできない悔しさが芽生え、少しだけ、倫太郎に嫉妬した。無意識にその気持ちは言葉と顔に乗る。


「お話し中すみませんけど、いっぱいになった袋は外の軽トラに積んでくれますか?」


 まつりの苛つきを感じた二人は、はしゃぎずぎたかと反省し、素直に指示を聞いて袋を軽トラへ運んでいった。


「なーにいじやげてんだよ」


「次の手順を教えただけだべ」


「ロースにやきもちかい。意外とかーいなー」


 妹のいじりは無視し、まつりは祖母の下着を袋に詰めた。下着は故人でも流石に、男性陣には触らせたくはなかった。


 むっすーとする姉をからかおうと、まなみはちょっかいを出し始める。あーもうと、まつりも反撃し始めた。


 軽トラにゴミ袋を乗せた男性陣が玄関で靴を脱いでいると、まつりの怒声が聞こえてきた。仏間の方へ早足で向かうと、まつりが立ち上がってまなみに「いーかげんにしろで、このでれすけ、ぶっちめ―」ここで二人に気が付いたまつりはぎゅっと口を閉じた。


 まなみは振り返ってにまにまと「おかえり~」と軽く声をかける。


 福島全開のまつりに初遭遇した駿は、ぱちりぱちりと目を開け閉めする。同郷でない自分とは、まつりは福島弁で会話することも、話しかけることもないだろう。駿と「福島のまつり」が交流することは一生無い。それはそれで損をしている気がしてきた。まつりを凝視する。


「……何か?」


「こ、この間、おじいさんとは訛ってなかったなあと」


「他県の人がいると出ないの。まなみもそうでしょ?」


「ほんとだ、埼玉の小林さんと北海道の宇那木さんが来たら標準語になっちった。面白いかにんじん」


 福島の人たち、そしてまなみがほんのり、羨ましい駿だった。何十年と側にいたとしても、まつりのすべてを目撃できないかと思うと、なるべく元気に長生きし、一秒でも長く彼女と過ごし、一面でも多くの彼女を発見したいと感じるのだった。


 そのためにも、今日、一歩進める。そう決意して、駿は福島にやってきたのである。




◇◇◇◇◇




 真冬はやわらかな土をもしゃり、と踏む。街の中で育ち、遠足で行くような整備された自然公園の緑と花しか知らない彼女に、山林はゲームの世界を歩くような心持ちだった。


「山は涼しいなー」


「日があんま入らねぇからな」


「クマ出る?」


「この辺はあんましでねぇよ。タヌキとかキツネだな」


 真冬は太さ直径2cmほど、長さ1mほどの枝を拾い、ぷすぷすと土を刺しながら歩く。


「あのねぇ、ひいおじいちゃん。ちょっとお願いがあるの」


「なんでぇ」


「お父さん、今日ここで、お母さんにプロポーズするかもしれない」


「かもしれない?」


 信一は眉を厳しく寄せ、立ち止まった。真冬も合わせて、冒険をやめる。


「紙で作った指輪をちっちゃい箱に入れてたの見た」


「かみぃ? なんで紙なんだよ、買えもやし」


「サイズわかんないからじゃん?」


「首飾りだの腕輪だの、装飾品ならなんでもいいだろうがよ」


「そんなアタマまわんないよ。ま、そういうことだから。見かけたら優しく見守ってあげてほしいの」


「真剣なら俺だって怒んねぇよ。ほんと、父親のことよく知ってんなぁ」


「隙だらけなんだよねー」と、枝を上からひゅん、と振る。ぽきん、と細い先端が折れた。真冬は嫌な予感がし、頭のてっぺんが冷たくなる。「プロポーズ成功しない? いやそんなことは……ないと思うけど……仲良しだし……」


「どうした、ブツブツと」


「なんでも……ない……」


 枝を頭上に掲げ、折れた先をみつめた。木の隙間から、平和な青空と流れる雲が見えるけれど、真冬の心は灰色に包まれた。




 衣服など身の回り類がある程度片付いたところで、まつりは長押にかかっている柱時計を確認する。11時47分。


「そろそろお腹すいたよね? おじいちゃんたちまだ帰ってこないかな」


「あたし、外見てくるよ」


「じゃあ、僕も。この袋を軽トラに乗せがてら」


 と、小林夫妻は立ち上がり、信一と真冬を探しに出た。勝手知ったるまなみが先頭に立ち、家の左側にある畑の方へ向かった。予想は当たり、二人は畑で茄子を収穫していた。


「ねえちゃんがそろそろランチしようぜってよ~」


「おお、もうそんな時間か。ふゆ子、俺が打ったうどん、うめえぞ」


「うどん作れるの!? すごい!」


「今度一緒に打とうな」


「うん、絶対だよ、約束」


 とうもろこし、柿、そして今日はうどんの約束をした。また真冬が福島を訪れる予定が入り、信一は自然と笑顔になる。


 まなみはしっかりと、祖父の変化を受け取る。


 祖母が亡くなってからというもの、隙間風の吹くぼろ小屋だった祖父が、家族が足をけり合いながらミカンを食べるこたつになっている。心配でたまに姉妹そろって訪問していたが、それよりも、まつりが出会った「娘」の方が、祖父の心を温めている。


 姉は一生、一人で生きていくと思われた。それも悪い選択ではない。誰かと生きるより、一人の方が幸せを築ける人間もいるし、そもそも、人の悩みは人間関係が多数を占める。まつりもそのせいで、他人と暮らすことを諦めたのだ。姉のその気持ちを否定も肯定もしてこなかったけれど、相模原の一件から何年も、中身のない目、どんよりした声、形だけの顔をしていたのに、宇那木親子と出会ってしまってからというもの、まつりはまなみも見たことのないほど可愛くて抱きしめたい生物に変化している。


 悩みをもたらすのも人なら、幸せをもたらすのも人。


 この出会いは、幸せの方。


 孫として、妹として、悔しいけれど、血縁以上の幸せと良縁を運んでくれた「娘」の存在に感謝の念が湧いた。まなみは真冬のポニーテールを手でやさしくなぞる。


「ありがとな、『真冬』」


「何が?」


「いろいろと」


「ふーん。あ、そうだ、二人にもお願いがあって――」


 真冬はさきほど信一にも伝えた「プロポーズするかもしれない」話をした。紙の指輪を用意しているということに、小林は「駿君かわいいカワイイ可愛い! 僕もプロポーズしてほしい」と不思議な興奮をみせ、まなみは芸人のリアクションより大袈裟に手を叩いて爆笑した。その声は家の中にも届く。


「ま、まなみさん? なに笑ってんの?」


「さー。多分、畑にみんないるのね。すぐ戻ってくるかな。お昼ご飯の準備してくるね」


 と、まつりが部屋を去る。一人になった駿は、部屋の片隅に置いた黒いショルダーバッグに目をやる。その中には、チョコや飴をいれるような、小さなギフト用キューブボックスが入っている。仕事帰りに、北千住のハンズで購入したものだ。箱の中には、これもハンズで買った折り紙……で作った指輪。


 バッグを手に取り、駿もお勝手に向かうと、まつりが大鍋に水をためていた。


「あ、あ、あの、ま、まつりさん」


「んー?」


「おい、お忙しいところ恐縮ですが、ちょ、ちょっと、手を止めていただいてですね、あ、あのこっちへ来てくださると助かりましてですね」


「どしたの、うずうずして。おじいちゃんになんか言われた?」


「と、とにかく、来てください」


 まつりは蛇口をひねって水を止め、駿とともに囲炉裏のある部屋へ上がる。ちょうど畑から四人が帰って来たところに遭遇した。


「あ、あ、み、みなさん! 腹が減ってるなかで、す、すみままませんが!」駿は緊張で声が裏返りながらも、必死に絞り出す。「聞いて! きききき聞いていただききききたいことがあ、ります!」バッグから5cm四方程度のキューブボックスがじりじりと顔を出した。元々は真っ白な箱だったが、丁寧に折り紙が貼られ、今は紺色である。


 その中身を知るまなみは両手で口を押える。今にも声が出そうで辛い。なんなら尻や耳から音が出そうである。


 小林は「なんてカワイイ男の子なんだ。弟にしよう」と、何かを企む気持ち。


 信一は、表情は険しいながらも駿の本気の空気を受け取り、静かに見守る。


 真冬はドキドキしながら目を見開く。耳の穴を、体中の毛穴を、全開にする。今日、宇那木家の未来が決まると言っても過言ではない。「しっかり伝えられれば」まつりは断らないだろう。けれど、心配なのは父の方。こんなにもばりばりに緊張しきった様子、何も言えないとか、噛みまくって雰囲気をぶち壊してまつりに恥をかかせるとかして、自滅を予感させる。


 一人、箱の件を知らないまつり。みなの前で、駿は何を披露するつもりなのだろうかと箱の中身を考える。


「こういうの、ほんとは……二人きりで言うのものかもしれません。けど、お、俺はどうしようもないグズ野郎でかよわいもやしなので、みみなさんに聞いていただくことで、そ、その」


「わーったわーった、孫のピアノ発表会のごとくに見ててあげるから、駿ちゃんの好きなように告白しなさい」


「ファイトだよ駿君。かわいいね」


「え、あ、あの俺がこれから何言うかって」


「みてりゃ分かる。早くまつりに言えもやし」


 まつりは駿がこれからする行為を理解した。無意識に肩に力が入る。


「さ、さろう、さささおう、あとう」


 早速嚙み始めた駿に、真冬はいらつき、指をごわごわ動かす。佐藤の何が言いづらいのだ、と。まなみは爆笑したいのにできず、とにかく辛い。


「さとー! まつり! さん!」


「は、はい」


 駿はキューブボックスを開け、折り紙の指輪を取り出した。


 ピンクのハートリング。


 まなみは耐えきれず、「ぶふわおわ」と文字にするには難しい息を漏らした。小林が満面の笑みで「こーら」っと小突く。


 信一も、この状況がちょっとおかしくなってきた。のっぽのいい大人が、年上の女性に、しかもその身内たちの前で、折り紙の指輪でプロポーズしようとしている。それも大真面目に。が、孫のために耐える。


 周りが笑いを堪えている――妹はこらえられなかったが――この場面に、まつりも恥ずかしくなって来た。けれど超が無量大数つくほどに真剣な駿に応えるため、雑念を心からシャットアウトする。


 おそらく今回失敗したら、駿はしばらくの間こうした機会は設けない。そんな予感がした。短期間でも共に過ごして感じたのは、精神力は弱くない、けれど繊細で傷つきやすい。要は面倒くさいということ。まつり自身のためにも、おそらくプロポーズであろうこの舞台を成功させたかった。


「は! 俺にとって必要な人です! ずっと一緒にいたい! なので!」


 駿がまつりの右手薬指に折り紙リングをはめた。プロポーズは右手だっけ、左手だっけと、まつりは駿を見上げる。


「お、お付き合いから始めませんか?!」


 まつりをはじめ、「プロポーズ」が行われると信じていた面々は、聞き間違ったかと思った。が、思い出してみてもそうではなく、それぞれの耳は正常だった。


「しゅ、駿く――」


「おい、まち針!」まなみがいの一番に躍り出し、駿のTシャツの胸元を掴む。「なんだよ、今さらお付き合いって!」


「こ、これにわわわ、り、理由が、くるし」


 まなみは駿の胸元を掴んだまま「あんだ、理由って。詳しく聞かせろグズ」


「き、昨日までは、プロポーズ、しようとしたんです。でも……まつりさん、『付き合ってもいないのに』って言ったよね?」


「え……ああ、うん」


「ほんとその通りで、俺たちって順番がめちゃくちゃだから。だって、まつりさんと出会ったのは真冬が先で、家族になったのもまつりさんと真冬が先。お付き合いもしてないのに同居して、勝手に事実婚にして……だから、結婚だけは、世間一般の順序通りにしようと思って、まずはお付き合いから。それに、ご両親にご挨拶してないのに、おじいさんや妹ご夫妻と先にお会いしているのも順番が……」


 耐えきれなくなった信一が、腕を組んで笑い声をあげた。「おもしれーな、おめえ。あー、おもしれ。もう好きにしろ。俺はふゆ子とうどんが打てればそれでいいからよ」


 信一の笑いに、まなみもどうでもよくなり、駿を解放する。呆れはするが、まつりを幸せにできる奴は駿だけだし、「おもしれー」ことは確か。退屈しないおもちゃに、口角が上がる。


 小林は後ろに手を組み、重役オーラでまつりと駿の前に立った。


「それで、佐藤まつりさん。お返事は?」


 予想は外れたけれど、これで駿との関係が進む。もちろんOKのまつりは、「は―」


「違う!!」


 突然、するどい高い声。部屋中に反響し、各自の耳を刺す。声の主は真冬だ。


「ま、真冬? どうしたんだいきなり」


 大人たちが納得しているのに納得できない真冬は、駿だけではなく、みなにも腹が立つ。怒りの声は大人たち全員対象だ。


「お付き合いじゃお母さんになれない!」


「私とはもう親子じゃない」


「でも、お父さんと夫婦じゃない。私とは親子でお父さんは彼氏? オカシイ!!」


「そ、そうかあ? 外向けには事実婚だから」


「本当はカレシカノジョなのに嘘がフウフなの変!!」


「ぷりぷりすんな、ふゆ子。もやしはスジ通すつもりなんだよ」


「スジって何?!」


 父と二人きりでも、十分幸せだった。けれど、これまで探してきた女性とはタイプの違うまつりと出会い、両親と子供が揃う「家族」を夢見るようになった。


 その夢が本日、叶う。


 と思っていたのに期待が大外れしてしまったのだ。裏切られ、潰された子供の夢の恨みは深い。


「まあまあ、焦っても仕方ないでしょ。駿君はこういう人なんだから」


 なぜ、まつりまでも穏やかな顔なのか。真冬には理解しがたかった。


「のろのろ屋に合わせすぎちゃダメ!」


「い、いや、一般的? な流れ? としてはだな、しばらく付き合って、次はお互いの親に」


「あああああああもおおおおおお」


 足を肩幅以上に開いた真冬は、両手をぎゅむっと握り、目もぎゅっとつぶり、そして勢いよく頭を上げて、山が震えるほどの大声で駿を叱った。


「お母さんと結婚して!!」



 終

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