第24話「力の山」

勇気の洞窟を無事に抜け出したカヨたちは、次の試練である「力の山」へと向かっていた。試練の地の中でも特に険しいと言われる山々がそびえ立ち、その頂上には、彼らが求める神聖なる武具の一部が隠されているという。



――――力の山の麓にて


「ここが…力の山ね」


カヨが目の前に広がる急峻な山々を見上げながら言った。その山はまるで空に向かって突き刺さるかのようにそびえ立ち、斜面は険しく、岩肌は鋭く尖っている。登るだけでも命の危険が伴うような場所だった。


「この山を登りきるのが次の試練ね。でも、ただ登るだけじゃなさそう」


ヴァルドが冷静に言い、全員がその言葉に緊張を高めた。力の山では、肉体的な限界を試されるだけでなく、魔物や罠も待ち受けていると伝えられていた。


「休憩を取りながら、一歩ずつ進むしかないわ」


カヨが皆に声をかけ、全員が準備を整えた。彼らは慎重に山の斜面に足を踏み入れ、登り始めた。



――――山登りの途中


山の斜面は想像以上に険しく、進むごとに体力が奪われていった。岩場を登りながら、全員が息を切らし、汗をかきながら必死に前進していた。


「こんなにきついなんて…」


広瀬が息を切らしながら言った。その顔には疲労が滲んでおり、全員が同じように体力の限界に近づいていることがわかった。


「でも、ここで止まるわけにはいかないわ。私たちにはこの力が必要なんだから」


カヨが必死に自分を奮い立たせながら言い、皆を鼓舞した。彼女たちは一歩ずつ、着実に山を登り続けた。


その時、突然、上空から巨大な影が覆い被さるように現れた。


「何か来る!」


ヴァルドが警戒を強めた瞬間、巨大な翼を持つドラゴンのような魔物が彼らに襲いかかってきた。その姿は力の山の守護者とも言える存在で、この山を登る者を試そうとしていた。


「みんな、気をつけて!この魔物を倒さなきゃ、先には進めないわ!」


カヨが叫び、全員がその言葉に従って戦闘態勢に入った。魔物は鋭い爪と牙で攻撃を仕掛け、翼を広げて風を巻き起こし、彼らを崖から落とそうとした。


「力を合わせるしかないわ!」


リリアが矢を放ち、ヴァルドとザックが魔物の動きを封じようとする。しかし、その攻撃は簡単には通じず、魔物の猛攻に押され気味だった。


「この山の試練は、私たちの力を試すもの…」


カヨは自分に言い聞かせながら、何とか魔物の隙を見つけ出そうとした。その時、広瀬が勇気を振り絞って魔物の背後に回り込み、鋭い一撃を放った。


「今よ、みんな!」


広瀬の一撃で魔物が一瞬動きを止めたその隙に、カヨたちは一斉に攻撃を仕掛けた。リリアの矢が魔物の翼を貫き、ヴァルドの剣がその体を裂いた。


「これで決める!」


カヨが最後の力を振り絞って剣を振り下ろし、魔物は大きくうめき声を上げて倒れ込んだ。




――――山頂にて


魔物を倒したカヨたちは、ついに力の山の頂上にたどり着いた。そこには、光り輝く神聖なる武具の一部が置かれていた。


「これが…神聖なる武具の一部…」


カヨがその武具に手を伸ばし、慎重に手に取った。武具は驚くほどの重みを感じさせると同時に、力強いエネルギーが彼女たちに流れ込んでくるのを感じた。


「これで、次の試練に挑むことができるわね」


広瀬が疲れた声で言い、カヨも頷いた。彼らは再び力を取り戻し、次なる試練「知恵の塔」に挑む準備を整えることになった。


「もう少しで、この力を完全に手に入れることができる。絶対に諦めないわ」


カヨの力強い言葉に、全員が再び気持ちを奮い立たせた。彼らの旅は続き、次なる試練が待ち受けているが、カヨたちは必ずこの試練を乗り越えていくと信じていた。

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