第27話 孤塁を守る
別枠にてBL、GLについての話題が出たので、ちょいとフェチと云うか別ベクトルという意味での性癖と、その奥を紐解くと見えてくる繊細な情動の部分について、漫画の力を借りて話してみようと思う。
以下の文章は全て作者様を肯定する気持ち全開で書いております。お聞き苦しい部分や、ともすれば不快な表現がありましたらお知らせいただければ直したいと思いますので、どうか柔らかな気持ちでお読みください。
世に広く出ております、所謂エロ漫画と呼ばれるものは大量生産大量消費の流れに呑まれて、ともすれば一段低く見られがちなのかもしれません。しかし、世に供される作品で需要を満たしているという点では非常に比重の大きい部分でもあると思います。そして、悲しいかな数が多いので一作一作を深く語り尽くすほどじっくり読み解かれるということは、残念ながらあまりないのが実情だと思います。
そんな中、まるで文芸作品のように小説のように味わえるR18漫画というのも、探すとあるものでして、幸いにして私はお一人だけですが見つけることができました。
『あさぎ龍』様────
はいはい! と手を打つ人も、もしかしたらいるかも知れません。
この方、業界では珍しい(のかな?)熟女ものの純愛や、女性同士の心理情感まで含めて深く掘り下げ描き上げるタイプの作家さまでございます。漫画で、しかもR18という土俵でここまで振り切った描写をする方というのは、恥ずかしながら初めてでしたので、作品に出会った時には衝撃を受け、文字通り貪るように読みまくりました。
この方、年齢で言えば30半ばから上は50くらいまでの女性の裸体を、変に脚色すること無くありのまま描いているのですね。当然そこには、皺が有り白髪が混じっており、胸は形がやや崩れて垂れ下がっていることが多いものです。世の男性の需要からすれば恐らく逆ベクトルのものであろうとは思います。もちろん、強烈にそちらを嗜好するという人も居るとは思いますが、一連の作品はそういった、ともすれば特殊性癖ともとれる方面を狙ったものでは無いと、敢えて断言させていただきます。
まず、物語の導入から骨子が非常にガッシリとしており、特に毎回感じるのが、登場する女性たちの職業が非常に多岐にわたっており、しかもその描写が妙に掘り下げられていて生々しさも伴うようなリアルさが感じられるのです。まさに、作中にて彼女たちは「生きている」という手応えを感じるものばかりでした。
対する相手役の男性は、非常に若い……下手すると犯罪スレスレになりそうな関係でもありますが、学生だったり部下だったり生徒だったり、関係は多岐にわたりますがとにかく一様に「かなり年下」という構成。
このあたりは「市場需要」を鑑みた結果かもしれませんが、それらを差し引いても
非常に瑞々しい関係性が描き出されています。
自身の年齢と立場に揺れながらも、若く真っ直ぐな思いに惹かれて深みに嵌まっていく情感が、所謂NTRものや不倫モノとは一線を画すある種の『清潔感』さえ伴ってしっとりと描かれている様がとても魅力的です。
そこに生きているのが、前述の「年齢を重ねた裸体」という部分でもあると思います。誰が見ても魅力的であると言えない部分が、ある種の想いの必然性となって物語を彩っていきます。登場する多くの女性は、自分の歳と相手との差に思い悩み、関係をどうするべきなのか葛藤します。
その中で、描かれる行為シーンというものの比重は実のところ余り大きくはないのかもしれません。なんか、「エロゲーにエロは要らない」論争を思い出させますけど……w
ともかく、短編の漫画と言うには随分と熱量の籠もった作品が多いというのが読後の感想でした。この作品を手に取る人たちは、恐らくいろんな嗜好のある中で選んだ人たちだと思います。決してボリュームゾーンではないジャンルではあると思いますが、激流のような業界の中で確かに立ち位置を確立した稀有な存在なのではないかと、しみじみと思いつつ、今日も作品を読み漁ろうと思います✨️
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