第18話 ヒーローは後から遅れてやってくる

 インスタントに事を済ませる現代。


 大意を回りくどくぼかして「実はこうだったんです」と紐解かせる、かつてなら王道でもあった表現手法は現代では流行らないのだろう。


 異世界ものが苦手、と以前書いたが「ざまぁ」と呼ばれる系統もあまり好きではない。


 この二つ、内容は違うかもしれないが書いてる本質はかなり近い。まあ、「異世界でざまぁ」という作品もけっこう多いので当然だろう、と思われるかもしれないが言いたいところはそこではない(←回りくどい嘗ての表現手法)


 実生活での満たされない不満を転生や別な世界で晴らすのが異世界もののカタルシスであるとすれば、ざまぁものはもっと直接的だ。

 何しろ冒頭から、「こいつが不満の元ですよ。皆さんの周りにもいますよねこういうやつ」という、あからさまというのさえ憚られるほど明け透けにそれが提示されている。


 現行のテンプレに則るなら、そこに間接表現などのクッションがあってはならないのだろう。とにかくストレートに剥き身に、誰がどうみてもそうとしか思えない、「100人乗ってもダイジョーブ」な演出が必須なのだろう。


 黎明期はそれでもよかった。

 異世界ものが世に出回り始めた(と、私が勝手に思っていた)頃は、全体の中では珍しい作品だったため、斬新な切り口でとても楽しめていた気がする。

 まさかその後、こんなニッチだと思っていたジャンルが主流になるなんて誰が考えただろう。


 しかし、アニオタも鉄ヲタも嘗ては日陰者扱いだった。当時の私からすれば現在の市民権を得たオタク業界は、まさに異世界というか念願成就した世界なのである。ほんと、あの頃からすれば世間は変わったよねぇ……しみじみ。

 実際は「思ってたのと何か違うなぁ」なんだけどね。


 こういうのは、足りないくらいがちょうどいい、ということなのだろう。

 少なくとも、この変革、日陰者の当事者としては革命とも呼べる時代の変化をリアルタイムで見ることができたということは、幸せでもあり貴重な体験だったと思う。

 いざ変わってしまった後で、私のようなオールドタイプは、嘗ての日陰ではあっても輝いていた時代を懐かしく思うのが関の山、ということなのかもしれん。


 さて、相変わらずこのシリーズは着地点を見失いやすいのが難点だ。何を言いたかったのか、すぐに話がそれてしまう。


 つまりね、

 今朝広告に『プチバストさんの為の優しいブラ』が出てきたんですよ。(因みにCecile、ふふふ宣伝してやろうw)

 もはや心が擦り切れかけていたタイミングでやっとですよ!? 遅ぇよ!! どんだけ「でかい奴」だと思ってたんだよ!!


 流行りとかビッグデータとかAIとか、盛んに囃し立てて盛り上がってても、所詮はこんなもんよ。あたしに合うブラひとつも提示できないこんな世の中じゃ✨


(回りくどい嘗ての表現手法でお送りいたしました)


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