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鈴虫の鳴く田舎道のど真ん中で、子供らと合流した母親らが帰るのを確認し、
あの口の悪かった少年はどう思っているかしら。今は表立って表情を見せることはない。でも年を取るにつれて、あの少年の申し訳なさそうな顔と、あの少女の純粋さと誠実さは、どんどん失われていくんだろう。あんな顔をしていた少年もどうせ、二、三十年たてば私の父親のような形相に様変わりするんだろう。
「認知症って、何よ。勝手に決めないでくれる。」
そう言って目の下にたまった涙を吹き飛ばした。この気持ちにくれる
いまやもう、私は、私の家族との一切の記憶は、私の口と共に空の彼方に打ち捨ててしまいたい思いである。
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