第4話 〜異変〜
長らくお待たせしました。片方の主人公、ちょっとしか出てきていませんが、やっとゲームの話に入ります。
待っていてくれた人に感謝を——。
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時刻は午後の四時。
僕は今、学校から家に帰るためにバスに乗っている。
窓の外を見ると少し曇っている。
雨の予報ではなかったはずなんだけれど。
僕はバスに揺られながら横に横にと、流れていく景色を見ながらそういえばと、僕は思い出す。
気がつくと晴が悪夢を見てから、五日が経とうとしていた。
晴はあの日以来、あのような悪夢は見ていないらしい。特に変わったところも異常もなさそうだが、一点気になることがあった。
晴が最近、いつも寝不足だということ。
いつもは眠り過ぎて逆にもう、寝れないほどだったのに。何かあったのだろうか?
僕は考える。
するとゴロゴロと外から音が鳴った。
「本格的に降り出しそうだな……。早く帰って、洗濯物を入れないといけない」
僕は雨が降らないことを願って、下校した。
◇◆◇
ザーザーザー
外から雨の音が聞こえてくる。本格的に降り出したのかもしれない。
時刻は八時。
僕は自室で課題を進めている。晴は夕食の後、やることを済ませて自室に引きこもっている。
最近、ずっとそうだ。
夕食の時以外、全く見かけない。前はよく見かけたのに。
何をしているのかは全く見当はつかないが多分、最近寝不足なのと関係があるのかもしれない。
このままやり続けさせるのはやめさせたほうがいいだろうな……。
明日、もし寝不足だったら明日中にやめさせよう。
僕は心にそう決めて、課題を終わらせるため、プリントと睨めっこしながら進めていった。
◇◆◇
「ふぅ〜」
時刻は十二時五十九分。そろそろ、一時に差し掛かるところだった。
私——綾口晴は着けているVRゴーグルを外す。
最近、私は夜はずっとゲームをしている。
好奇心で初めたゲームだが、内容も好奇心をくすぐられ、もうやめられなくなっているのだ。
——でも、私は今ゲームをやりたくなくなってきている。
あのことを思い出すだけで脚がガクガクと震えてくる。
もう、こんなことになるならやらなければよかったと後悔してしまうが、初めてしまってはもう、途中放棄は許されない。
そんな後悔してしまう出来事はある日の夜の人通りが少ないフィールドでのことだった。
◇◆◇
その日はいつもと同じように経験値集めをしていた。
「ふぅ〜。四匹目っと」
私はさっきから短剣でこのゲームでのいや——、どんなゲームでもお馴染みの最弱の敵、スライムを狩っていた。
このゲームでは七回死んだら、もう生き返れない。
ゲームから退場するらしい。
この時、私はこのぐらいしか知らなかった。
私はもうこのゲームにのめり込んでいたから、七回死なないように雑魚敵を狩っていたのだ。
「こんな面白そうなゲームが二度とできなくなるなんて、嫌だからね」
私はどんどん狩っていこうと思いながら、探索していくと誰かの悲鳴が聞こえた。
「ギャァァァァ」
「え⁉︎」
私はびっくりして悲鳴が聞こえたであろう方向に顔を向ける。でも、もう悲鳴は聞こえない。
「……なんだろう。新たなクエストでも発生したのかな?」
時々ある条件を満たすと特殊なクエストが発生するらしい。けれど、スライムを倒しただけで発生するクエストなんて聞いたことない。
それにここはビギナーがよく、経験値上げをするフィールド。だから、こんなクエスト見つかっててもおかしくないはずだ。
「気になるな……」
私の心がウズウズと行きたいと主張している。
あぁ、私の悪い癖だ。好奇心には全く逆らえない、気になったら行かないと気が済まない。
私は顔がニヤけるのを抑えながら声をする方向へ走る。
私は現実では俊敏性は全くないに等しいぐらいにないが、ゲームの世界では俊敏性にポイントを多く振っているため、早く走ることができる。
フィールドを突き進んでいると、ある薄暗い村に辿りついた。
その村は家の灯りはついていなく、あまりプレイヤーも見かけない。
まぁ、現実世界では時刻は午前四時五十分。まだ日も昇っていない時間帯だ。そのため、空は暗い。
「ウギャァァァァ」
また悲鳴が聞こえる。声からしてさっきの人と同じ人っぽかった。
私は声の場所を探す。
すると、見つけたのはある薄暗い路地裏だった。私は裏路地にある二人の人影を見つけた。
その二人は何かをしている。
何してるんだろう……。
私は気になって、そっと覗いてみることにした。
「——‼︎」
「……」
ある二人が話しているらしいが、遠くて何を話しているのかは正直、わからない。
髪が長い、多分女性の人はゆっくりと短髪、多分男性に近づいていく。
男性は女性が近づくにつれて、どんどん後ろに下がっていく。
この二人は仲間ではないのだろうか……。
私は気になって、もう少し様子を見ることにした。
男性は後ろに逃げるように下がっていったが、ここは路地裏。すぐに後ろに下がれなくなる。
男性は女性の方を見ていて、少し膝が震えているように見えた。
一方、女性はゆっくりと男性へ歩んでいく。
数センチというところで止まり、上着で隠れていた腰から何かを取り出す。
女性は手を振り上げ、何かを男性に向かって振り下ろした。その瞬間に持っていたものはキラリと光っていた。
——!
私が気づいた時には遅く、男性はもう刺されていて派手にエフェクトが飛び散っていた。
「アァー!」
男性は悲鳴を上げる。
「……」
刺した女性はただただ男性を見ている。
ここからはどんな表情をしているのかはわからないが、女性がなんとも思っていないことはわかった。
無邪気な子供が虫を殺しても何も思わないのと一緒だ。
「——この死神め、死んだとしても絶対に殺してやる!」
男性は力強くそう言った。
死神、そう呼ばれるプレイヤーはゲーム内で有名だ。知らない人はいないと言っていいほどに。
死神は白い髪に緑の瞳をした十代後半の少女らしく、彼女に出会うと七回殺されるらしい。
私はこのゲーム内でそんなオカルトチックな話が聞けてとても嬉しかったが、目の前で殺されている人と彼女を見ると何故かゾワゾワと何かが込み上げてくる。
見ているだけでなんだかゾクゾクして、体全体がじわじわと熱くなってくる。
「ふふふ」
私は耐えられずに笑ってしまう。
何がおかしいかもわからない。私が私ではないようだ。
小さな小さな声が彼女にとどいたのか、彼女はばっとこちらを見る。
◇◆◇
私はその日狂っていた。
私は彼女にわざと見つけさせ、私は笑いながら五回死神に殺された。
彼女の瞳は冷たかったが、それが余計に私を奮い立たせた。
◇◆◇
今思い返すと、あの時の私はとても怖かった。
五回も殺されても笑っているから。
別に彼女のことは怖くなかった。むしろ綺麗だと思えた。
もし、今日プレイしてあの日みたいになったら……。
私はそう思うと脚がまたガクガクと震える。
「でも、しなきゃ」
私はそう言い、今日はもう寝ることにした。
VRゴーグルを机の上に置き、私は倒れ込むようにベッドに寝転ぶ。
目を瞑って、静かにしているが今日も全く眠れる気がしなかった。
眠いのに……。
結局今日も眠れなかった。
◇◆◇
次の日の夜。
私はゲームをしていると、街で後ろから誰かが殺してきた。
避けることもできたが避けなかった。また、あの気持ちが私を狂わせたのだ。
赤いエフェクトが派手に飛び散る。
私はそのまま倒れる。
「ハハ、変な子」
殺した張本人はそう言って、笑っていた。
私も笑っていた。とても笑顔で。
でも、私を殺したのは白い髪の少女ではなかった。
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