これは僕が歩んだ本当の話。
最悪な贈り物
5年間の呪い
小学5年生の頃。
俺は初めて恋をした。
相手はおとやかで、その人が笑ってくれれば、みんなが笑う。
汚い言葉とか、暴言とか、そういうのを一切言わない、いわゆる清楚系。
自分から誰かに関わろうとはせずとも、相手から関わろうとしてくる。
可憐で美人で可愛い、笑顔がとても似合う人。
その人に、俺は恋をしていた。
(あ…今、目が合った…)
教室の中、俺はその人のことを何となく見ていると、不思議と目と目が合った…気がした。
それが段々と日常になっていく。
(今日も目が合った…やっぱりあの人…俺のことが好きなのかなぁ?)
単なる妄想。
もしかしたら…の希望を背負って、俺は学校に通っていた。
5年生、6年生とクラスは一緒で、学校に行く度。授業中や、休み時間。
その人と同じ空間にいれば、何であろうと、俺はその人のことを見た。
「お前さぁ…あの人のこともしかして好き?目線がずっとそっちの方に行ってるんだよ…」
親友にも言われた。
なかなか名推理だったと思う。
「ねぇねぇ!!こいつお前のこと好きなんだぜ?」
親友にも、バラされた。
「おい!!やめろって!!!!!」
嫌なフリをした。
内心、自分が言えなかったことを、代弁してくれたんだ。
怒ってるフリして、本当は喜んでいたさ。
だって、それは、自分があの人のことを好きって言ってるんだから、あの人が俺のことを好きなら、もしかしたら、告白してくれるかもしれない。
小学生の俺は、そんな単純なことを考えていた。
本当に馬鹿だと思う。
目が合っただけで、好きとはならない。
そんなことくらい、当時の俺でも分かっていた。
でも…もしかしたら。
そんな可能性に賭けていたんだ。
2021年4月1日。
俺はその人の家に行って、告白した。
心臓がとても高鳴っていた。
その人とは家が近いこともあり、少し歩いたら、その人の家にまで行けたから。
その人の家の周辺を少しだけ歩いた後に、その人の家に行って、告白した。
「あー…ちょっと考えさせてくれる?」
その人は俺にそう言った。
告白できた。心臓がバクバクした。
吐き気がしたけど、俺は現に今、その人の家の前に立って、その人に告白をした。
「あー…そうだよね…急だったからね…ごめんね…」
俺はその言葉を置いて、その人の家を後にした。
その時は、「考えさせて」と言われたことよりも、告白できたことに達成感を覚えた。
(やった!!告白できた!!やった!!!)
でも、その返答は、1日待っても、3日待っても、1週間待っても、返答は返ってこなかった。
まだ考え中なんだ。
そう自分に信じ込ませていた。
その春は、中学生になるための春だった。
入学式に、俺はあの人と会った。
目が合った。
俺はあの人が、俺のことをもしかしたらまだ好きなのかもしれない。
少しだけ、希望を感じれた。
少しして、1年の夏頃。
返答が無かった。
だから、俺は、本人に聞こうと思った。
自転車で、あの人の背中を追う。
細い通り道を通って、その人を追う。
背中を追う。
あの人の自転車を漕ぐスピードが速くなる。
気づいた。
避けられている事に。
学校でクラスは違ったけど、それでも、目と目は不思議と合った。
でも、その時から、そんな、「気がした。」という認識に変わっていた。
嫌われているかもしれない。でも、恥ずかしいだけなのかもしれない。
自分がポジティブ精神で常に生きている事を後悔した。
恥ずかしいだけかもしれない。そんなわけない。
嫌われている。
そう思っていた。
でも、ある時、他の女友達から一通のラインが来た。
『ねぇねぇ!!あの人とLINE交換してみない?あの人がさ、いろんな人とLINE交換したいって言ってるんだよね!!』
俺は告白して、多分失敗して、それで気まずくなった。
それなのに、相手側からLINE交換を願ってくる?
どういう風の吹き回しだろう…
あの人は、もしかして俺のことが好きなのか?
とりあえず、俺はLINEを交換してみる。
『よろしくね〜』
『よろしく〜』
すぐに、返答を聞くのはマズイと思ったので、とりあえずは、復縁を目指そうと、その人と、少しばかりLINE上でだけ、話してみる。
もちろん。告白のことは抜きで。
でも、それでも、相手はいつまで立っても告白の事を切り出そうとはしなかった。
本当に俺のことが好きなのだろうか?
心配になった。
そこで俺は、ある作戦を決行する事にした。
それは、好きじゃなくなった作戦。
俺の友達の中には、俺が今どんな風にあの人のことを思っているか、聞いてくれる友達が居た。
その友達は、どうやったらあの人と仲良くなれるのかも教えてくれた。
だから、その人に、とりあえず、あの人のこと、もう好きじゃなくなったわ。なんて嘘を付いた。
その友達は、憶測ではあったけど、あの人と、情報を共有している。
なぜか、あの人が知らないはずの、友達にしか言ってないことも、あの人は知っていたからだ。
だから、友達を使えば、あの人に直接的じゃなくても伝わると思った。
だから、言ってみたんだ。
正確には、あの人の事、案外もう好きじゃないのかもしれない。とあやふやに行ってみせる。
もし、あの人が俺のことを好きだったなら、好きじゃなくなるなんて願いもしないことをしてほしくないはずなので、もし、恥ずかしくて、言えないとかなら、もしかしたらの可能性で、あの人は、俺に告白をしてくるかもしれない。
そんなことを思った。
でも、逆だった。
俺が好きじゃなくなったかも…と友達に言った数日後。
あの人は、言ったのだ。
『あのさ、あの時の返事なんだけど…ごめんなさい…頑張って言ってくれたのに、期待に答えられなくて…本当にごめんなさい…』
要するに、言いたい言葉はNOの一言。
中学3年生の春、俺の恋は終わった。
5年間の想いは、儚く塵となって消えた。
そのLINEを見た時、俺はなぜか、笑っていた。
「くそぉ〜やっぱダメか〜」
笑っていた。
断られたのに笑っていた。
本当は悲しんでいるはずなのに、笑っていた。
悔しかったのに、笑っていた。
そういえば、目元が濡れていた気もする。
5年間の想いは、その断りとともに時間が経てば消えていく。
今では、あの人のことは好きではないと思っている。
思っている。
考えれば、悲しくなるし、あの人が、他の男と話している所を見ると、どうしても、胸騒ぎがするが、あの人の事は好きじゃないし、諦めている。
今も、そのつもりだ。
〜〜〜〜あとがき〜〜〜〜〜
どうも。最悪な贈り物です。
今回は自分の本当にあった実話を書いてみました。
実話であるだけストーリーは決まっていて、書きやすかったですね!
とまあ、こんな風に、今も好きな人の事を忘れられず、亡霊みたいになっている訳なのですが、今考えてみると、僕、相当な事やっちゃってますね。
まず最初に好きな人の家に行って告白する。
家に行ったのが不味かったのですかね…
流石に個人的にわざわざ家に行ってまで告白するってのはどうかと思いましたね。次。
告白の返事が待ちきれないから、本人に聞いてみる。
なかなかヘビーな事やってますよこの人。
好きな人を追うってそれストーカーですね!ww
まあ、帰る方向が同じだったし、ストーカー?って聞かれた時、「いや、速く帰ろうとしただけ」と誤魔化せることはできますが、今回はもう、返事を聞く目的で追っているので、完全にストーカーですね。次。
好きじゃなくなったって嘘をついてみる。
どんだけ勘違い野郎なんだこいつは。
それだけ自分のことを好きなんだと信じていればこんな行動ができるんでしょうか…怖いですね…
まあ、あの時は、本当にあの人のことを愛していたから、やってしまった行動ではあるんだと思います。
愛ほど、綺麗で歪んだ物は無い。
恋している時は青春でしたけど、フラれた時には、とても辛かったですね。
本当に、あの人が僕のことを愛してくれるなら、あの時は何でもしたかもしれないです…
僕はこのことを通して思ってしまいました。
愛は人を歪ませる。
愛は人を幸せにする。
僕は前者の方だっただけなようです。
皆さんが、幸せな恋ができるように願っています。
グットラック!!!
これは僕が歩んだ本当の話。 最悪な贈り物 @Worstgift37564
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