第36話 オリハルコン事件 さん -終-


………………

…………

……


 ポコタがレンたちの後をつけ、大通りから外れたところで声を掛けた。


「あの、レンさんですか?」


 レンが振り返ると小柄な少年が立っていた。見た目15才といったところか。しかしレンは面識がなかった。


「誰?」

「僕はレガリアというパーティーで雇われ荷物持ちをしています。先日オリハルコンを落としてしまいまして……。あ、あの、オリハルコンを拾いませんでしたか?!」

「拾ったが」

「ああ、よかった! では返してください!」

「え? もうないよ。売っちゃった」

「……、やはりそうですか……」


 ポコタはうつむくと涙を流し始めた。


「僕、このままだとレガリアをクビになります。こんな僕を雇ってくれるのはお義兄さんがいるレガリアだけなんです……。だからどうしてもオリハルコンを持って帰らないといけないんです」

「しかし、そのオリハルコンは鍛冶屋に売り払ったからもう手もとには無いし、鍛冶屋も素材として何かに使っているはずだ」

「そ、そんな……」


 ポコタは大粒の涙を流し、地面に伏せるように泣いた。


「う、ううっ、僕は、僕は……。これからどうしたらいいんでしょうか」

「ギルド」

「……」

「ギルドに行きゃいい。仕事は雑用からハイランク依頼まで何でもある。お前ならなんとかなるさ」

「僕一人じゃ……」

「それでも、それでもお前が生きていきたいというなら、一人でギルドの依頼を受けるという選択肢はアリだろ? そのアザ自分で分からんのか?」

「こ、これは……」

「逆にその呪縛から逃れるチャンスなんじゃないのか?」

「で、でも!」

「身の丈に合った場所で気ままに生きた方が何倍も楽しい。きっとお前もそのはずだ」

「お義兄さんに申し訳なくて……」

「お前の兄貴に作られたアザだろ?」

「ち、違います!」

「しがみつく場所を間違っている。お前はもっと自由に生きていい」

「……」


 ポコタは分かったように頷くとレンと別れた。別れ際、レンはポコタにすべての金貨を握らせた。




 後日、ポコタはSランクパーティー『レガリア』の荷物持ちをクビになった。




//////////

うん、仕方ないよ、ポコタ。

頑張れポコタ。

応援するぞポコタ。


オリハルコン事件、これにて落着。


次話どうしよ

σ(^_^;)?




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