四段怪談

黒猫夜

序 さびれた商店街 怪しげな人影

さあさ、寄ってらっしゃい

見てらっしゃい

四段よだん怪談かいだん

始まるよ


なーに、お代はいただきません

すこーしのお時間いただけば

ほーら、たちまち怖気が走り

身ぃも心もひんやりと


時代の最先端を行く

四段怪談にてございます


四段怪談

なんなんだん

聞かれりゃ答える

僕三男


取り出したるは

四段の階段

なあに駄洒落じゃ

ございません


そこなぼっちゃん

お手を拝借

登ってみましょ

そーれ


一段いちだん

  二段にだん

    三段さんだん

      四段死だん


そこな景色はいかがかな

遠くも見えて夢心地

されども一歩踏み出したなら

ほうら、たちまち地獄行き


一メートルは一命とると……

ごほん……一命とると申しますが……

……えっと、ぼっちゃん泣きやみ

ほら、飴ちゃんあげるさかい


え、も一つほしい

最近の子はあつかましな

まあ憎まれっ子世に憚るゆうしな

ほら、好きなだけあげるから、あっちいって


おっと……

……ごと持っていっってもうたわ

えぇえぇ、もう持ってき、もってけ泥棒

ごほん……ぅん……ぅん……


さておき、これより始まりますは

かくのごとき非日常

たった四段登っただけで

足元に開く非常識


四はは

 段じじ

  怪まま

   談りり


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