第7話 採取クエスト
早速冒険者ギルドに向かった私たちは、いつもの仲良し受付嬢で3人娘アリー、リア、ショコラに会いに行った。
「それじゃぁ薬草を取りに行くのね。ならその方に依頼を出してもらった方がいいわね。その件はこちらで叔父さま経由でやっておくから任せて!量はこのくらいで」
と、ギルマスの姪でもあるショコラが答えてくれる。さすがはキャルロット公爵令嬢。そこら辺も抜かりない。
元々受付嬢としての資質も完璧で仕事もできる。
まぁ、受付嬢のお仕事は彼女の大事なフィアンセを支えるお仕事でもあるからと積極的に行っているそうだ。キャルロット公爵……お父さまも特に反対していない。むしろショコラの受付嬢スタイルを大いに気に入っているらしい。
「了解。それじゃぁ、行ってきます」
「キア姉のことは、任せて」
私とレナンがそう言うと、3人娘から……。
『いってらっしゃーい!』
と、かわいらしく見送ってもらった。
これがギルドの名物!王都でクエストを受ける冒険者たちの特権である。本当にかわいいなぁ。俄然やる気が出てくるわね!
――――さて、気合いが入ったところで……。
今回は薬草の採集クエスト。
「それじゃ、群生地に行きましょうか!」
「えぇ。そこら辺は父さんから叩き込まれてますからね、余裕です」
とは言え、季節や年数によっても変わってくる。情報は常にアップデートしつつも、師匠から得た知識を元に、今回も群生地を目指す。たとえ群生地が移動したとしても、既にほかの冒険者に採られてしまったとしても、師匠からの生えやすい場所や時期による違いやポイントが頭に入っていれば、探せるわ。
「ここの群生地、ちゃんと今年も芽吹いていたのね」
「えぇ、お陰で手間がはぶけました」
「そうね。それと……今回は特に上質なものを選ばないと」
素材もただ選べばいいというわけではない。上質なものは高く売れるが、本来であれば本当に必要としているひとの手に渡るべきだ。
群生地の素材を狩りすぎない……その精神も、次の周期にちゃんと生えるように。ほかの必要としているひとに行き渡るように。
それに、必要な分だけ採るのは、フィーほどの重症ではなくとも、普通の薬草でも充分に作用する患者へも使える。
下手に高い、質のいいものばかりでは、お金のないひとや、庶民には手が出せない。
その薬草を使うひとたちの懐事情も考えないと、貴族やお金持ちばかりが利益を得る不満だらけの世の中になってしまうわ。
本当にできる冒険者とは、ただひたすらに難易度の高いクエストをクリアして、上質な素材を揃える冒険者ではない。
本当に必要としているひとたちのために、見極められる冒険者だ。
「よし……!これくらいで十分ね。予備にこれくらいあれば大丈夫かしら」
「えぇ。それで十分かと。フィーさまも喜ばれますね」
「うん」
さて、それでは早速離宮に戻ろう……としても、こういうクエストと言えば魔物の一匹や二匹、出てきてもおかしくないので。
「レナン!右、行ったよ!」
「任せて!」
突如現れたおいしい鶏肉!いや、違った。鳥の魔物をふたりでちゃちゃっと片づける。
「これなかなかおいしいのよね。フィーの口に合うかはわからないけど、持って帰りましょ」
「うん。キア姉の料理、楽しみ」
レナンも笑顔で頷いてくれて、素早く血抜きを済ませて持ち帰り用に縛ってくれる……!
「でも、リア姉が嫉妬しそう」
リアが……?そう言えばリアも私の料理を気に入ってくれてたっけ。レナンから鶏肉をひとつ受け取り、掲げる。
「それじゃあ、余ったらおすそ分けに行きましょうか」
「うん、そうしよう」
ふたりで互いに微笑み合うと、達成報告のため再び冒険者ギルドへと帰還したのであった。
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