特別な手裏剣(R6.8.25)
9時間寝て、1時間昼寝もした。歯の痛みがないとこんなに眠れるようになるものなのかと驚いた。
テレフォンカードを午前中に使い切ってしまった。日曜は売店が開いていないので今日はもう自分からは誰にも電話できない。
折り紙で手裏剣を作れるようになったので折りまくっていた。色の組み合わせを選ぶときに、「どの色がいいと思います?」と仲よくなった青年にきいたら、赤と緑を選んだので、「補色ですね」と言ったら、補色という概念を彼は知らなかった。でも次に彼が選んだ色の組み合わせも補色になっていて、ふしぎな気持ちになった。
この病院は入院中スマホが使えない。面会だって十五分だし、テレフォンカードはすぐに度数が減る。できないことが多い中でなにかできるようになったことがあれば、救いになるんじゃないかと思った。私はもともと折り紙がほとんどできないので折り紙を買った。他の患者さんが手裏剣を教えてくれたとき、すごくうれしかった。
手裏剣を習っているとき、おそれ多くて使いどころの分からない、金の折り紙と銀の折り紙を、お手本に使ってもらった。金と銀の手裏剣はすごくかっこうよかった。青年が「幼稚園のとき、金と銀の特別な手裏剣作ってたなあ」となつかしそうに言って、「特別な手裏剣」という言い方がすごく気に入った。
正直、退院が遠くないように思う。明日担当の医師に、退院したいことを伝えよう。退院したら、きっと生活をしよう。
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