神託 ルシャ
神々の住まう雲の中、ひと月ぶりに私はここで目覚める。
『いらっしゃい。愛しき娘よ』
私は両膝をつき、女神さまの前に首を垂れる。神々しい光に満ちた地母神様に触れられ、私は歓びに満ちる。
『ええ。ユーキの胸の穴は埋められました』
私の問いに答えてくださる。ようやくユーキ様の心が癒された。私はほっと胸をなでおろす。
『ですがユーキを元の世界に帰してはいけません』
私もできればお別れはしたくない。できるだけ長く居てほしい。
『彼の魂の戻るべき体はもう、あちらには無いのですから』
やはり……女神さまのユーキ様にかける慈悲から何となく感じてはいた。
『彼に天寿を全うさせなさい。そうすれば魂はこちらで生まれ変われます』
私は心に誓う。何があっても彼の魂を元の世界に帰させはしない。
そして女神様は語られた。
――ひとりの少年が思いつめて身を投げたこと。
――ひとりの少女がその後を追ってしまうこと。
――また別の少年が二人のことで思い悩み、塞ぎこむこと。
――その少年の妹が胸に秘めた想いのために生き方を誤ること。
『みな、あちらでは子を生すことなく生涯を終えるでしょう』
『産み、増え、そして地に満ち、生命の在り方を示すのです』
かみさまなんてことを 完
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かみさまなんてことを 三部作はこちらで一旦の完結となり、幕間を経て第四部を開始します。第五部までは一応、考えております。
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