第6話 悪に魂を売る

 荒れ果てた倉庫の一角、薄暗い照明がかろうじて空間を照らしている。その場に立つ男たちは、無言の緊張感に包まれていた。バニーマンと呼ばれるその男が、ゆっくりと葛城烈の前に姿を現す。顔のほとんどを隠す仮面の向こうから、鋭い眼光が烈に向けられる。


 葛城烈は、微動だにせずその眼差しを受け止めた。彼はこの瞬間を待っていた。かつて冷酷な殺人鬼として恐れられていたバニーマンが、自らの手駒となることを期待していたのだ。


「ようやく顔を見せたな」と、葛城が静かに言葉を発する。


 バニーマンは無言のまま、静かに頷いた。彼の存在は、これまで闇の中で独立していた。しかし、ここに至るまでの過程で彼は、自らの孤独な戦いに限界を感じつつあった。葛城烈という人物が持つ圧倒的な力と影響力、それに共鳴したバニーマンは、ついにこの決断を下すに至ったのだ。


「俺の力が必要だと言ったのは、お前だ。だが、俺は何もお前に従うつもりはない」と、バニーマンが低い声で言い放つ。


 葛城は笑みを浮かべた。「従う必要はない。ただ、共に戦うだけだ。お前の力が、俺の計画には不可欠だ。それだけの話だ」


 バニーマンは再び静かに頷いた。彼の仮面の奥で何を考えているのかはわからないが、その動作は彼の決意を物語っていた。これまで一匹狼として行動してきたバニーマンが、ついに仲間と呼べる存在を持つことになった。


「俺の条件はただ一つだ」とバニーマンが言う。「俺のやり方に口を出すな。俺は俺の方法で仕事をする」


 葛城はその言葉に対して異議を唱えることはなかった。ただ静かに、「お前のやり方が結果を出すなら、それで構わない」と答えた。


 二人の間に、一瞬の沈黙が流れる。その静寂は、彼らが共に歩む未来への予感をはらんでいた。


「行くぞ」と、葛城が言葉を続けた。「俺たちが成し遂げるべきことは、まだ始まったばかりだ」


 バニーマンは短く頷くと、葛城の後に続いた。彼らが向かう先は、混沌とした世界のさらに深い闇の中。これまで別々に生きてきた二人の存在が、今ここで交差し、そして共に新たな物語を紡ぎ始めるのだった。


 この瞬間、バニーマンは単なる孤独な殺人鬼ではなく、葛城烈という強大な存在の一部となった。彼らの前に広がる未来は、血と陰謀に彩られた暗黒の道であった。しかし、それは同時に、二人の意志がぶつかり合い、共鳴することで成し遂げられる大いなる計画の始まりでもあった。


 葛城烈は織田殺しについてAI探偵に聞いた。

「この密室の謎を解くために、以下の要点を検討する必要があります」

 

1. **密室の構造と鍵の仕組み**

知事室の扉が内側から施錠されていたことから、犯人は知事室に入った後、鍵を掛けてから犯行に及び、再び内側から鍵を掛けた可能性があります。部屋の構造や鍵の仕組みを確認し、外部から鍵を操作することができるかどうかを調べる必要があります。


2. **知事の死因と刺し傷の詳細**

織田志保の胸に深い刺し傷があり、即死だったという点から、犯人は一撃で致命傷を与えることができる凶器を使用したと考えられます。刺し傷の位置や深さ、凶器の形状などから、犯人の意図や使用された武器についての手がかりが得られるかもしれません。


3. **争った形跡と物品の動き**

争った形跡がないことから、知事が犯人に抵抗する暇もなく殺害された可能性があります。また、物品の持ち去りがなかったことから、犯人の目的は物品の略奪ではなく、知事の殺害そのものであったと考えられます。


4. **目撃者とアリバイ**

知事室に入れることができた人物のアリバイや目撃者が重要です。特に、知事室に出入りできる人物や、事件発覚時にどこにいたかを確認することが必要です。


5. **内部のセキュリティと監視カメラ**

知事室の内部にセキュリティカメラがあったかどうかも重要です。もしあれば、カメラの映像を確認することで犯人の動きがわかるかもしれません。


 この情報をもとに、密室での犯行がどのように実行されたかを解明することができます。

 

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