ESCAPE⑦

鷹山トシキ

第1話 バニーマン

 岐阜に集結した6名は、逃走を主題とするゲームに参加することとなりました。それぞれが異なる職業と背景を持ち、この緊迫した試練に挑みます。


- **織田志保(知事)**: 政治の世界で培った戦略的思考と冷静な判断力を駆使し、他の参加者をリードすることを目指します。


- **佐久間生馬(大学生)**: 柔軟な発想と若さゆえの行動力を活かし、予想外の手段で逃走の糸口を見つけ出そうとします。


- **柴田滋(ゲームプログラマー)**: ゲームの設計やルールに精通しており、その専門知識を活用して、ゲーム内の隠された攻略法を見出そうと試みます。


- **丹羽美佳(スナックママ)**: 人間関係の構築に長けた彼女は、他の参加者との協力を図りながら、生き残るための戦略を練ります。


- **池田潤(ウェイター)**: 日常業務で培った観察力と迅速な対応能力を武器に、危機を回避し、逃走の成功を目指します。


- **森梢(ホステス)**: 社交的な性格とコミュニケーション能力を駆使して、他の参加者から情報を引き出し、ゲームの進行を有利に進めようとします。


 彼らはそれぞれの能力を最大限に発揮し、ゲーム内での逃走を図ります。しかし、誰が最終的に逃走を成功させるのか、あるいは誰が途中で挫折するのか、その結果は予測困難です。この緊張感あふれる状況の中で、各自がいかにして生き残りを図るかが問われることとなります。


### ゲームの設定

**舞台**は、広大な廃工場。昼夜を問わず、薄暗い灯りが点滅する中で、6人のプレイヤーが逃走者(泥棒)と追跡者(警察)に分かれて、緊迫した追いかけっこを繰り広げます。


- **逃走者**: 佐久間生馬、丹羽美佳、森梢

- **追跡者**: 織田志保、柴田滋、池田潤


### 逃走者の戦略

**佐久間生馬**は、その若さと体力を活かして、スピードで逃げ回ります。彼は工場内の複雑な構造を活用して、隠れ場所を見つけたり、素早く位置を変えることで警察の目をかいくぐります。


**丹羽美佳**は、他の逃走者たちと協力し、連携して逃げる方法を模索します。彼女は逃走者同士の結束を強めるためにリーダーシップを発揮し、チームとして動くことで警察の包囲網を突破しようとします。


**森梢**は、その社交的なスキルを駆使して、警察側から情報を引き出し、追跡者たちの次の行動を予測します。彼女は追跡者の弱点を見抜き、逃走のチャンスを探ります。


### 追跡者の戦略

**織田志保**は、ゲーム全体を俯瞰し、逃走者の動きを冷静に分析します。彼女は他の追跡者たちに指示を出し、効率的に逃走者を追い詰めるための戦略を立てます。政治の世界で鍛えられた判断力が光ります。


**柴田滋**は、工場内に隠されたトラップや秘密の抜け道を見つけ出すことに注力します。彼のゲーム設計の知識を活かして、逃走者たちが逃げられないように罠を仕掛けます。


**池田潤**は、その鋭い観察力を活かして、細かい手がかりを見逃しません。逃走者の微かな足音や落とした小物を見つけ出し、素早く対応して追跡に加わります。


 ゲームが進行する中で、追跡者たちのプレッシャーが徐々に強まり、逃走者たちは極限状態に追い込まれていきます。丹羽美佳のリーダーシップが試され、森梢の交渉術が通じなくなる場面も出てきます。一方、織田志保の冷徹な指揮が追跡者チームを勝利へと導くかに見えますが、佐久間の予測不可能な動きが追跡者たちを翻弄します。


 最終的に、どちらのチームが勝利するかは、6人のキャラクターの能力と心理戦にかかっています。逃走者たちは警察の包囲をかいくぐり、自由を手に入れることができるのか、それとも追跡者たちが見事に全員を捕らえるのか――。


 池田はオカルトマニアで、ゲームの合間に都市伝説について調べていた。

 𓃹バニーマン

 アメリカに現れる怪異。1970年に噂される兎の着ぐるみを来た殺人鬼。斧を凶器、高架下に現れやすい。精神障害者の犯罪者。囚人を乗せたバスが事故を起こし囚人が逃走。そいつはウサギを次々に殺す。ハロウィンのときにトンネルに死体が吊るされる。トンネルでバニーマンと3回唱えると現れる。


 ### バニーマン岐阜に出現


 岐阜県の山間部に位置するある町で、住民たちは異様な噂に包まれていた。その噂の発端は、夜遅くにトンネル付近で目撃された不審な影である。複数の証言者によれば、その影はウサギの着ぐるみを纏った男が斧を手にしていたという。


 この不可解な存在は、「バニーマン」と呼ばれる怪異と結びつけられていた。バニーマンは1970年代のアメリカで都市伝説として広まり、精神疾患を抱える囚人が脱走後にウサギを無差別に殺害し、やがて人間にも手をかけたという物語に基づく。その囚人は、最終的に警察の手から逃れ、ウサギの着ぐるみを着た殺人鬼として町を徘徊する存在へと変貌したとされる。


 岐阜での目撃談は、現代日本においてバニーマンが再び姿を現したという噂を呼び起こし、多くの者がその存在を疑い始めた。しかしながら、警察や地元当局はこのような噂を単なる無根拠な恐怖の産物として扱い、真剣に受け止めることはなかった。だが、噂が広がるにつれ、町では不可解な事件が次々と発生するようになった。


 その中でも特筆すべきは、ハロウィンの夜にトンネルで発見された遺体である。遺体は高架下に吊るされており、その傍らには斧が突き刺さっていた。捜査官たちはこの事件を調査したものの、犯人の手掛かりは掴めず、ただその異様さに困惑するばかりであった。


 一部の住民は、バニーマンの名前をトンネルで三度唱えた者が姿を目撃したと主張し、その恐怖が町全体に広がりつつあった。多くの者はこれを単なる迷信と片付けたが、心の底には根深い恐怖が巣食っていた。


 その後も、町ではバニーマンの影が時折目撃され、彼の存在が現実であるか否かを巡る議論が続いた。岐阜のこの小さな町は、かつては穏やかであったが、今や都市伝説と現実の狭間で揺れ動く、不気味な場所へと変わり果ててしまった。


 ### 葛城烈、岐阜に降り立つ


 葛城烈は、その名を日本全国に轟かせるジャーナリストであった。彼は数々の怪事件や未解決の謎を解き明かし、その鋭い洞察力と冷静な分析で多くの人々に尊敬されていた。ある日、彼のもとに岐阜県の山間部で不穏な噂が広がっているとの情報が舞い込んだ。それは、ウサギの着ぐるみを纏った怪異「バニーマン」の目撃情報であった。


彼は即座に調査を決意し、岐阜へと旅立った。岐阜駅に降り立った烈は、初めてこの地を訪れたという感慨にふける間もなく、冷たい山風を感じた。彼の旅の目的は明白であった。バニーマンという怪異の正体を暴き、その真実を白日の下にさらすこと。そのために、彼はあらゆる手段を講じるつもりであった。


町は一見すると穏やかで、何事もないかのように見えた。しかし、道行く人々の表情にはどこか影が差しており、その多くがバニーマンの噂に恐怖を抱いていることは明らかであった。烈はまず、トンネルでの目撃情報が集まっているという地元の小さな食堂を訪れ、そこで噂の詳細を聞き出すことにした。


店主はしばらくの間、烈の質問に答えることをためらったが、彼の真剣な態度に触発され、ついに重い口を開いた。店主の話によると、バニーマンは夜遅くになると特に現れやすく、特定のトンネルの近辺で多く目撃されているという。そのトンネルでは、先日も不審な事件が起こり、死体が発見されたばかりであった。


その話を聞いた烈は、そのトンネルが今回の調査の鍵を握っていることを直感した。そして、その場所に足を運び、噂の真相を解明する決意を固めた。


翌日の夜、彼は例のトンネルに到着した。月明かりが薄暗くトンネルの入口を照らしていたが、その内部は漆黒の闇に包まれていた。烈は深く息を吸い、心を静めてからトンネルへと足を踏み入れた。


「バニーマン……バニーマン……バニーマン……」


 烈は三度、その名を口にした。緊張が走る。すると、その瞬間、遠くで微かに音が響いた。それは何かが石を踏む音、いや、さらに近づいてくる音だった。背筋に冷たいものが走り、烈は思わず周囲を見渡したが、何も見えない。しかし、確かに何かが彼に迫っている感覚があった。


 次第に音は大きくなり、やがてトンネルの奥から、ぼんやりとした人影が現れた。烈はその場に立ち尽くし、目を凝らしてその姿を見極めようとした。その人影は、確かにウサギの着ぐるみを纏い、手には重厚な斧を持っていた。


 だが、烈は恐怖に屈しなかった。彼は冷静にその姿を観察し、事実を掴むための一歩を踏み出した。


「お前が……バニーマンか?」


 烈は低く問いかけた。すると、その怪異は一瞬立ち止まり、烈を見つめた。その目には、狂気とも恐怖とも言い難い奇妙な光が宿っていた。


 果たしてこの怪異の正体とは何か?葛城烈の旅は、岐阜の山間部での静かな戦いと共に幕を開けたのであった。

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