第2話 初めてのおしゃべり

キーンコーンカーンコーン


「いやー今日も頑張ったなー!」


「和也今日一緒に帰れるかー?」


「いや今日先生に委員会の仕事頼まれてるから先帰っててくれ」


「まじかー」


「ごめんなー」


 放課後仕事が終わり鞄を取りに教室に戻ると、ぽつんと座っている一人の女子が見えた。


それはいつも一人でゲームをしている清宮皐月だった。なぜかこの時間まで一人でゲームをしている。


「おい、なんで一人で教室残ってんだ?」


「え…?」


清宮さんはびっくりした表情でこちらを見てきた。どうやらまだ人がいると思っていなかったらしい。


「もう結構外も暗くなってるし、早く帰ったほうがいいんじゃないか?」


時計の針は17時半を指している。そろそろ暗くなり始めるころだ。


「親が仕事で18時まで迎えに来れないから…。教室で暇つぶししてただけです…」


とても消えそうな声でそう言った。


「そうか。ちなみにずっと気になってたんだけど少し質問してもいいか?」


「はい?なんでしょう?」


「いつも何のゲームしてるんだ?」


「え?」


清宮さんは目をまん丸にしていた。


「いやーいつもゲームしてるから何のゲームしてるのかなーって気になっちゃって」


「……結構いろんな種類のゲームをやってます…」


「今はどんなゲームやってたんだ?結構体が動いてたがレースゲームでもやってたのか?」


「え!?体動いてました!?」


急に大きな声を上げた清宮さんに少しびっくりしてしまった。


「うわびっくりした!結構動いてたよ。だからなにしてんのかなーって思ったから声かけちゃった。」


「誰もいないと思って……恥ずかしいです…」


「ごめんごめん笑笑」


(前髪であまり見えないけどよく見たら大森さんって結構きれいな顔立ちしてる…?)


そんなことを思っているとちらっとゲーム機が見えた。


「あ!そのゲーム知ってる!面白いよな!」


「知ってるんですか…?」


「ああ!この前友達と一緒にやって面白くてずっとやってたんだよなー」


「あ、あの」


「なんだ?」


「萩野君ってゲーム好きなんですか…?」


「ゲームが命みたいなとこあるかなー、ゲームがないと多分やっていけないわ笑笑」


自分は本当に大のゲーム好きだ。ゲームがないと学校に行く気力すらなくなるだろう。


「意外です…」


「そうか?」


「学校では休み時間とかずっと外で遊んでるのでスポーツとかの方が好きなのかと思ってました……」


「いつも放課後残ってるのか?」


「たまにです…大体は歩いて帰るんですが、今日は親と買い物があるので…迎えに来るまで教室で待とうかなと…」


「なるほどねー、あ!そうだ!いいこと思いついた!」


「はい?」


「今度放課後残ってるとき一緒にやってもいい?」


「……え?」


「いやー俺の友達で強い人あんまりいないから大森さんならいつもやってるし強そうだなーって思って!」


「…えっと、その、私でよければ…大丈夫です……」


「まじ?ありがと!」


「は、はい…」


「やっべもうこんな時間だ!じゃあ俺帰るから!また今度ねー!」


(帰っちゃった…。なんか嵐のような人だったな……)

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