第24話



 「信じられない?」



 はっきりさせておきたかった。


 それは事実だ。


 信じるも信じないも、今の俺にはできそうにない。


 とにかく、ちゃんと理解したかった。


 目の前で起こってることなんて二の次だった。


 “理解したい”っていうのは、そういうことじゃなかった。


 もっと近いところに“それ”はあった。


 足元がふわふわしたんだ。


 ふわふわして、視線も覚束なくて、なにから整理すればいいかもさっぱりで。


 なんでもよかった。


 冷静になれるものが、一つでもあれば。


 例えば、ちょっとでも身近に感じられる言葉とか?


 わかんないけど、…でも



 「行くよ」



 八王子駅に着いて、俺たちは歩いた。


 八王子市は一応「東京」っていう括りにはなってるが、23区外の地区で、都内からはだいぶ離れてる。


 華やかな東京の都市部に比べれば、ここらへんはだいぶ田舎だ。


 県外に住む親戚によく言われるけど、八王子は東京であって東京じゃない。


 いや、まあ、市内は商業施設も交通機関も整備されてるし、わりとなんでも揃ってる。


 高速道路を使えば都心はもちろん、山や海にもあっという間だ。


 キャンプやスキー、サーフィンもたっぷり楽しめて、テーマパークや公園も。


 「田舎」っていうのは、あくまで東京都市部を基準にしたら、って感じで、ぶっちゃけそこまで田舎だとも思わない。


 俺が住んでる地域とか、高尾山口駅の周りとか、そういうのは別にして。

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