閉ざした世界に革命を。
奇奇奇怪怪
第一章「平和な世界」
転校生1
2016年10月19日木曜日
僕はいつも通りの時間に起きていつも通りに朝ごはん、ついでにお弁当を作る
「・・・はよう・・・」
「おはよ」
できたころに起きてくる年下の居候・・・同居者である幼馴染と共にご飯を食べ、身支度済ませて二人で学校へ
十月も中ごろ少し冷えてきた。走りはしないけど速足で向かう
学校に着くころには程よくあったまっている。汗をかかないのはかなりポイントが高い
幼馴染とは学校が違う。僕は高校、あの子は中学だ。ただ敷地は同じだから校門までは一緒
「じゃ、今日もいつも通りだから。待ってなさいよ」
「うん、わかってる」
毎日これだ。一人で帰らないように釘を刺される
毎日の登下校、一度も一人で返ったことはない
少しぐらい自由に・・・と思わなこともないけど。僕はそれに満足しているから苦えではない
教室に入ったら、挨拶・・・はしない。友達がいないから。いや、まだ来てないだけだから!
登校が早いというわけではないけどまだ四人ほどしか来ていない
大体みんな時間ギリギリに来る。あとは部活の朝練をしているひとたちだ
席に着いたら暇になる。始業まであと二十分、スマホでも触ろう
僕は
眉目秀麗ではないけど、頭のほうは悪くない・・・と思う
ただちょっと生まれた環境が特殊で、言っちゃ悪いが友人も少し変わったやつが多い。多い・・・
平和なこの日常に満足しながら、でもちょっと非日常に憧れる健全な男子高校生だ
前の方で話している男子生徒の声が聞こえてくる。聞き耳立ててたわけじゃない、声が大きいだけだ
「なあ来週の異能力テスト、どうすればいいと思う・・・」
「お前まさか勉強してないとか言わねえよな・・・アカ取ったら他良くても留年だぞ」
「・・・だよなあ」
異能力のテスト
この時代における必須科目
異能力に関する危険性、対策それから自分が保有しているものへの理解度
それらすべてを把握していないと社会には出られない。今はそんな世の中だ
約七十年前の1944年。世界大戦の最中。、初めて異能力の発現が確認された
突如として発現した超常で異常で常軌を逸したその異能力は、手にした者の心を奪い、数えきれない程の人と土地と資源、そして希望を蹂躙し尽くした
世界各地で流星が降り注ぎ、何もないところで大爆発が起き
都市は火の海、暴風は一月続き、海は荒れそれに沿った町は残さず沈んだ
瞬きをすれば、そこにあった建物もそして山さえも消滅していたという
その光景を目の当たりにした人類はみな、この世の終わりを感じたと歴史に記されている
しかし、それは突如として収まった
世界を分断する壁ができたことによって異常をきたした異能力者を隔離することができたのだ
それから人類、国は武力を放棄し種の存続のために手を取り合った
僅かに残った通信網。それらを駆使し世界を統一した組織(のちの世界政府)が生まれ、脅威となっていた異能力のすべてを復興に費やした結果、見る見るうちに力を取り戻していった
らしい
戦後間もない世界は情報の記録など二の次であっため、復興に至るまでの記録は世界政府であっても把握しきれていないのだ
人口が一億を切り、多くの技術を失った世界で、そのすべてを記録し残すことなど至難の業だ
それでも政府が復興に尽力し、今日まで平和な世界を維持し続けているのに変わりはない
僕が今こうやって生活しているのは世界政府様のおかげってわけだ
世界政府に協力し尽力した異能力者はこの日本にもいる
自身に発現したその異能力で共通言語を創造、人類を余すことなく”つくり替えた”人物
僕の曽祖父に当たる
そして半分以上の土地を失い、指導者のいなくなった日本をまとめたのも彼
新しい陸地を生み出したのも彼。現在のインフラの元となるものを作り出したのも彼だ
そして世界の復興が進む中、篤嶋家は日本の防衛を目的とし異能力者を集め東方家へと家名を変えた
それと同じくして異能力の系統をもとに
治安維持のための西方家
情報機関の南方家
産業と貿易の北方家
の三家を作り、日本の立て直しを行った
僕のいる近衛家は東方の分家
祖父の結婚相手の妹の子供が今の近衛家の当主だ
分家と言っても日本の防衛に携わっているわけではない
国外における日本の重要人物を護衛することが主な仕事だ
近衛家の末席であるから力不足とわかっているけど、本家より護衛の仕事を承っている
・・・正直荷が重い
対象の少女がまた曲者なんだよなあ
と、あと五分でHRが始まる
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます