19.甘々前戯(★)

 半分に割れたクリーム色の着物。その狭間にリカさんの顔が埋まる。 


「はっ……はぁ……ンンっ……!」


 舌と唇でなぞっていく。俺の鳩尾みぞおち、お腹、脇腹を。だけど、胸は完全にスルーだ。出来ることならいつもみたいにシてほしい。いっぱい舐めて、いっぱい吸って。


「~~っ、あの……っ、胸にも――」


「そのことなんだけどさ」


「はっ、はい?」


優太ゆうたはたぶん自分じゃ制御できないよね? 胸を吸われたら勝手に妖力が……」


「そっ、そうですね。俺は特に何もしていないので」


「そう。なら今晩は胸への愛撫を控えさせてほしいんだ。……強制的に発情させられてしまうから」


「まっ、マジっすか!!?」


「うん。私は勿論、君自身もね」


 なるほど。やたらと気持ち良かったり、エロい気分になったりしたのはそのせいか。けど、ちょっと待てよ?


「じゃあ、まさか……


「それは違うよ」


「えっ?」


「絶対に違う」


 リカさんが否定してきた。しかも食い気味に、ぶすっとしたむくれっ面で。そんなに嫌だったのか? 俺に疑われたの。


「……ふっ、ありがとうございます。お陰で自信が持てました」


「何の?」


「リカさんのことが……その……大好きな自信、です」


「…………へへっ」


 打って変わって破顔する。くすぐったそうに。嬉しそうに。おまけに尻尾もパタパタさせて。かわいい♡ カッコイイのにかわいい♡♡ モフりたい。モフりたいけど今はダメだ。


「胸は触れない方向でOKです! 俺も初めての今日は、自然な形で愛し合いたいので」


「ありがとう」


「いえ――っ!」


 何だ? 急に明るくなった。見れば部屋の隅に置かれた行灯あんどんに明かりが灯ってる。リカさんが術で点けたのか? 凄い。魔法みたいだ。って!? 感心してる場合か! これじゃ色んなもんが丸見えに。


「うわっ!?」


 あっさりと脱がされてしまった。半股引はんだことかいうボクサーパンツ型の下着が、左右に分かれて愚息の下で伸びている。


「綺麗だ」


「あっ♡ ゃ……っ」


 リカさんの指が俺の愚息に触れた。先っぽをぐりぐりしてくる。ヤバ。気持ちいい……!


「~~っ、リカさん、待っ――……?」


 リカさんの手が離れていく。何をするのかと思えば、先走りまみれの指を口に含んで。


「ん゛……」


 眉間に皺を寄せた。いやいや! そこは『おいしい♡』とか『ご馳走様♡』とかドエロくかますところでしょう!!??


「…………」


「…………」


「……ははっ、流石に絶品とまではいかないね」


 リカさんはそう言って口元を拭った。あ、今さり気なく手も拭きましたね。俺は見逃しませんでしたよ。


「…………」


 漏れかけた溜息を呑み込む。いや、俺も悪かったな。『おいしい♡』を期待するなんての骨頂。AVの見過ぎだ。


「少しずつ慣れていくから」


「っ!」


「だから、いっぱい舐めさせて」


 下っ腹のあたりを撫でてくる。玉をゆるく揉んだかと思えばつーっとなぞってきて。


「優太のこれで……いや、私をとりこにさせて」


「んっ♡」


 背筋がぞくぞくする。悲しいかな、リカさんの思惑通りに想像してしまう。俺のそれを舐めしゃぶってゴックンするリカさんの姿を。ヤバ。イキそう。妄想だけでこんな……っ。


「ふふっ、お待たせ」


「ふえ?」


 気付けばリカさんも全裸になっていた。俺がしょーもない妄想にふけっている間に。まさに手の平の上。やっぱリカさんの方が一枚も二枚も上手うわてだな。けど、この力関係は嫌いじゃない。むしろ良いまである。俺、年上向いてたんだな。いや、そんなことよりも。


「わぉ……」


 お世辞抜きにだ。筋肉バッキバキ。まさに逆三角形型の競泳選手体型だ。で、気になるおチンコ様は……。


「!!?」


 デカい。太さは普通だけど、長さはだ。あんなん挿るのか!?


「は~い、こっちこっち~」


「わっ!?」


 リカさんの太腿ふとももの上に、俺の生尻と太腿が乗っかる。


「あっ……」


 生温かくてぬめっとした液体がアナルにかかった。これは……ローション? この世界にもあるんだな。良かった。これなら何とか……。


「あ゛っ!? あ゛ぁ! ……ぐっ!」


 挿ってきた。細くて、長くて、あったかい。初めて内側で感じる。リカさんの指の感触を。



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