眠りの拳士 リー・メイリャン編4 衛星機甲 クレイジー・ムーン


「クレイジー・ムーン、パイロット。リー・メイリャン確認。月のチカラ、承認。コックピットへ、転送します」

 白銀の機体から何やら声が聞こえて来たかと思うと、突然メイリャンが機体中央に吸い込まれてしまった。



「zzz……(ふがっ?!)」



「レイン! 聞こえるか?! 研究所に通信だ! イグニッション・スターを出す!!」

 耳に手を当てレインに通信する鋼鉄。



「かしこまりました。マスター。装備と使用システムを選んでください。」



「装備はバランスパック! システムはデフォルトで頼む!」



「研究所に通信……イグニッション・スター発進準備。装備はバランスパック。システムはデフォルト設定……発進準備完了時間まで、あと90秒ほどかかります」



「1分半か……リフュージョンソードだけで持ちこたえられるか?!」



「レイン! クレイジー・ムーンの武装解析を頼む!」

 鋼鉄がそう言うと、レインは目からレーザービームのような光線でクレイジー・ムーンの武装を解析し始めた。



「了解。使用武装……星機甲用特大ビームサイス、ハイブースト、ロウブーストです。システムに感情ドライヴ使用」



「覚醒したばかりで武装が最低限しか積まれていないのか……見たところ近接機のようだが……」



「レイン……私に斥力反射フィールドをかけたらどこまで耐えられる?!」



「攻撃を受けなければ120秒ほどは耐えるでしょう」



「それでじゅうぶんだっ!! リフュージョンソード分子振動開始!」

 チャキッシュイイインと振動しはじめる剣。それでもクレイジー・ムーンの特大ビームサイスをいなすので精一杯だった。



「レイン! 斥力反射フィールドを円形ではなくディフュージョンスーツにピッタリ這うように張ってくれ!」



「かしこまりました。マスター」



「zzz……(半チャーハンお待たせアル)!」

 メイリャンの陽気な言葉とは裏腹に、特大ビームサイスで鋼鉄を襲うクレイジー・ムーン。



「ちぃっ! ダブルブースト(二重加速)起動!!」

 キィイイイイン!紫色に発光した体が高速で動く!



「イグニッション・スター発進準備完了。発進シーケンスまで、残り10秒」

 研究所内で装備とシステムを整えられた機体が、発進シーケンスに入ると、鋼鉄が叫ぶ。



「よし……イグニッション・スター射出!」



「了解。イグニッション・スター射出シマス」

 その時、スーツからシステム音が聞こえてくる。



「ディフュージョンスーツ負荷限界突破。再起動に入ります」



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