狭間の世界のレティア姫4 幻のトリプルブーストVSドラゴニック・セイグラム


 数分にも及ぶ闘いが、二人には何時間にも感じられていた。鎧の時空間制御で自身のスピードアップと周りの空間鈍化をしてもなお、レティアのドラゴニック・セイグラムに追いつけない鋼鉄は、最後の時空間制御を発動させようとしていた。



「はあっ!」



 レティアの素早い突きが鋼鉄を襲う!だが鋼鉄は自身が考案した格闘術で受け流す。しかし、全ての拳打を受け流すことはできなかった。


「ぬぅっ!! 機動機甲術(ブラスト・アーツ)!!」



「ぐぅっ!!」数撃、身体にダメージが入る鋼鉄。



「へぇ……やるじゃん……でも、少し入った」



 腕をポキポキと鳴らし、トントントンと足を床に付けた瞬間、ゆっくりくるくると体を回転させながら蹴りを繰り出してきたレティア。その時、鋼鉄は鎧のシステムである最後の時空間制御を発動させる。



「ブーストオーバーリミット! 幻のトリプルブースト!!」



「なんなの?! この光りは一体?!!」あまりの輝きに目を腕で覆うレティア。



 両拳を握り込みベルト中央のコアの部分に手を添える。鋼鉄のヒーロベルトが紫色に光りだしたかとおもうと、ピポポポポとベルトから音が周囲に響き渡る。パネルにはの文字が浮かんでいる。その刹那、空間そのものが静止した。



「これは……時止め?! いや違う、少しずつだけど動いている!」



「不完全な時止めだが一撃を入れるには十分だっ! 直撃魔法!」



「重力剛撃(グラビトン・ストロング)!!」



 鋼鉄の直撃魔法がレティアに命中したが、レティアはすんでのところで両腕でガードしており、クリーンヒットはしていなかった。その時突然、鋼鉄の鎧から警告音が辺りに鳴り響く。



「ディフュージョンスーツ負荷限界突破。冷却モードに入りマス」



 その場で地面に片膝を付き、冷却モードへと入る鋼鉄。鎧全体からプシュウウウと蒸気が噴き出している。



「この勝負、君の勝ちだ。レティア姫」



「どうやらそのようね…………でも」



 なんとレティアの手枷には大きなヒビが入っている。



「レーンベッツ鋼の手枷にヒビを入れることができた。試練は……合格」



 手枷のヒビがピキピキと全体に伝わり、やがてガシャンと音を立てて床に崩れ落ちてしまった。



「さすがはお姉サマの弟子……ね」



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