第13話
昨晩は偉い目に遭ったよ。
あんなの拉致監禁だよね?
さらには強姦だよ。
それが両親公認ってのも一層ヤバいよね?
と言うか日に日にエロくなって来て無い?
あれを母親から教わったってのが恐ろしい事実だよ。
母親の見る目変わっちゃうよ。
リリーナが身内じゃ無かったら最高だったのにな〜
「どうしたの?
ボーっとして」
リリーナが僕の腕に抱きつきながら聞いて来た。
柔らかい物が当たってるのが気になって仕方がない。
「いや〜
相変わらず盛大な祭りだな〜って思って」
「なーんだ。
てっきり昨日の事思い出してるのかと思ったわ」
「……」
「今晩もする?」
「なんかした雰囲気出すな。
僕は断じて何もしてないからね」
「私の事好きにしていいのに」
「あのねリリーナ。
せっかくのお祭りだよ。
お祭りを楽しまないと」
「それもそうね」
良かった。
納得してくれたよ。
僕の心の安定の為にもお祭りを楽しんでいてください。
「ちょっとヒカゲ。
なにキョロキョロしてるのよ」
僕が周りを見ていたらリリーナが文句を言って来た。
なんかちょっと拗ねてる。
「ここの生徒は可愛い子ばっかりなのは認めるわよ。
だけど美人も可愛いも綺麗も私で間に合ってるでしょ」
「凄い自信だね」
「なによ私が劣るって言うの?」
「そんな事無いよ。
リリーナはいつも美人だよ」
「ふふーん。
分かればよろしい。
ならずっと私を見てなさい」
「せっかくだしお祭りも見たい」
「仕方ないわね。
でも他の女を見たらダメよ」
こいつ無茶な事言いやがる。
周りの殆どが女の子なのに。
「あっ、トレインだ。
おーい」
トレインとレイナを歩いてるのを見つけた僕が手を振って呼ぶと、トレインはこっちを見て超嫌そうな顔をした。
「なんだよ。
こっちは仕事中なんだよ」
トレインは悪態を吐きながらこっちに来た。
「なんだよトレイン。
冷たいじゃないか」
「普通だよ。
で、なんのようだ?
美人の彼女とのデートでも見せびらかせたいだけじゃないだろうな?」
「トレインの隣にも美人のお姉さんがいるじゃないか」
「こっちは仕事だって言ってるだろ」
「本当に?」
「見たら分かるだろ」
「でも、トレインをここに配置するのは間違ってると思うよ」
僕の一言にレイナとリリーナが深く頷く。
「そんなの俺が一番わかってるよ。
だけど命令なんだから仕方ないだろ」
「大変だね〜」
「そう思うなら絡んでくるな」
「まあ、そう言わずにさ。
ちゃんと用事があるんだ」
「なんだよ」
「ちょっとこっち来てよ」
僕はレイナとリリーナから離れた所にトレインを連れていく。
そしてこっそりとお願いする。
「はぁ!?
そんな事出来ねぇよ!」
「そんな事言わずにお願いだよ」
「こっちはレイナと一緒なんだぞ。
あいつになんて言われるか」
「でも、騎士のトレインにしかお願い出来ないよ」
「せめてレイナに言えよ」
「善良な市民のお願いを聞くのが騎士の勤めじゃないの?」
「お前が市民なのは認めるが善良とは認めねぇ」
「確かにそうだね。
でもトレインは善良じゃない市民の僕のお願いを聞いてくれるって約束だったよね?」
「チッ」
「今舌打ちした?
いいのかな〜
あの綺麗なお姉さんに言っちゃおうかな〜」
「わかったわかった。
やればいいんだろ」
「よろしくねトレイン」
◇
トレインが居て丁度良かったよ。
それにしてもトレインみたいな女好きをこんな所に配置するとか間違ってるよね。
いや、考えようによっては合ってるのか?
なんにせよトレインのおかげで一つ解決したから良かった良かった。
目下の問題は僕の右腕が曲がってはいけない方向に曲がりそうな事だ。
「ねえリリーナ。
僕はずっと言ってると思うんだけど、僕の腕はそっちには曲がらない造りなんだよ」
「ねえヒカゲ。
確かに私は他の女に目移りするなって言ったわよ。
だからと言って男に行かれると余計に腹が立つのだけど」
「何の話?」
「さっきトレインと何話してたのよ」
「男同士の内緒話。
痛い痛い痛い」
「気になるから教えて欲しいなダーリン」
「痛いってば。
言葉と行動が伴って無いよ」
「もしかして私の悪口?」
「違うよ。
言いたい事があったら直接言ってるよ」
「それもそうね。
じゃあなに?」
「オススメの娼館を教えて貰った。
ってウソウソ。
ちょっとリリーナ。
今腕から聞こえたらいけない音が聞こえたんだけど」
「大丈夫よ。
私が一生面倒見てあげるから」
「じゃあ折れていいやっとはならないからね」
「なら早く言いなさい」
「僕にもプライバシーってのが――」
「無いわよ」
「無いんだ〜」
「そうよ。
ヒカゲの全てが私の物だもの。
その代わり私の事を好きにしていいのよ。
嬉しいでしょ?」
「嬉しく無い。
僕は自由が欲しい」
「またまた、照れちゃって。
本当は私の事好きなくせに」
「好きだよ。
って痛い痛い。
なんで〜」
「ヒカゲがズルいからよ」
「そう言う意味も無く暴力振るう所が嫌い。
って痛いってば〜」
「今のは嫌いって言われて純粋に腹立ったからよ」
なんたる理不尽。
好きと言っても嫌いと言っても痛めつけられる僕の右腕が可哀想だよ。
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