五十六話 樹へと向かう何者か
あれから一日置いて、今日からまた一週間 学校の日である。電車から一旦降りて改札口へ向かい
学校に着いて教室に向かい
しかし今日は紗奈さんが日直だそうなのでそのお手伝いをした。それによって思いの外すぐに帰ることが出来そうだ。
しかし、それは少し遅くなるみたい。
「ごめんね樹くん、ちょっと呼び出しされてるから待ってて欲しいの」
「分かった」
どうやら学校に来た時、靴を上履きに履き替えようとしたところで下駄箱の中に手紙が入っていたそうな。話がしたいとの手紙だってさ。
その話とやらの内容は大体予想がつく。
「じゃあ行ってくるね」
そう言って目的の場所に向かう彼女に手を振るるが、しばらくしたところでついて行くことにした。コソコソ……
その場所は俺たちのいるクラスの教室近くの階段、そこの屋上手前のエリアである。
つまり一番上ということだ。
そこにいたのは一学年下の男……つまり後輩男子ってとこだ。彼は紗奈さんを見るなり顔を赤くして肩肘張っていた。
「手紙くれたのはキミ?」
「はい!俺はっ、一年……」
「あぁそういうのはいいの。それで話って何?」
紗奈さんの声は明るいのだが、あまりにも興味がなさそうな態度であることはその声からも分かる。
それに気付いていないのはあの後輩だけだ。
「えっと、俺……
「へー……えっと、良かったね?あっ!じゃなくて……」
やはりと言うべき内容だったが彼女は物凄くどうでも良さそうで返事に困って 良かったねと言ってしまっていた。超他人事であるみたいだが、それを彼は気付かない。
「?……それでっ、俺と……付き合ってください!」
満を持しての告白だった。緊張した面持ちで覚悟を決めて言ったソレは、本来ならば尊いものなんだろう……しかし、彼女にソレは全く通用しなかった。
「ごめんなさい」
間髪をいれることなく彼女は冷たい声でそう言った。一秒の間すら開けていないほどの返事。
まさかここまであっさり断られると思っていなかったようで、彼は軽く呆然としている。
「……そういうことだから、じゃ」
そう言った紗奈さんは、手をフリフリとしながら階段をおりてきた。ちなみに俺はその下の踊り場から見ていたので、彼女が踊り場から更に階段を下るために振り返ったところで目が合うように待ち伏せていた。
そんな俺を見つけた彼女は嬉しそうにキスをしてきた。
「えへへ♪来てくれたんだ?」
「当然でしょ……でもストーカーみたいなことだったね、ごめん」
当たり前だが彼女は俺がここにいることを知らなかった。つまり勝手についてきたわけで、いくら恋人とはいえストーカー紛いであることは間違いない。
なので謝ったのだが、彼女は気にしないでと言って抱きついてくる。やっぱり素敵な女の子だなぁ……
「樹くんってば、心配してくれてたんでしょ?」
「うん。何も無いとは思ってたけど、早く紗奈さんと会いたかったのもあって来ちゃった」
「そっかそっかぁ♪いーよいーよ帰ろぉ♪」
俺の言葉を聞いて機嫌を良くした紗奈さんはそう言って手を握って階段を降り、俺もそれに追随する。
その後ろから来る視線になんとなく気付いたがそのまま無視し、振り返ることなく帰るのだった。
そんなことがあった二日後の朝、今度は俺の下駄箱に手紙が入っていた。邪魔くせっ、上履き取れねぇだろうがやめろ。
そんなことを呑気に考えていた俺は、その内容を見て面倒臭いという気持ちになった。
" 放課後校舎裏にこい "
この字体から感じられる圧(気のせい)から嫌なものではあることは想像に難くなかったが、わざわざ応える必要も無い。嫌な予感するし。
とはいえスルーしてしまうのは簡単だがそれが解決になるとも思えない。うーん面倒臭いなぁ。
「よっ、浮かねぇ顔だな樹」
「よぉ壱斗。まぁそういう日もあんだよ気にすんな」
「そうかよ、わぁった」
俺の様子を見た壱斗だが、わざわざ巻き込むのは腹立つので敢えてやらなかった。
せっかくならサシでやろうぜ?そう思った俺は一人でソコに向かうことを決意した。
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今日は樹の様子が変……というか多分イラついてるな。声にトゲがあったしいつもと口調が違ったから分かる。
俺は伊達に樹の親友やってねぇからな、なにか面倒事がアイツを襲ったんだと勝手に決めつけて、俺は燈璃と晴政と三人で喋ることにした……のだが。
「なんでお前がここにいんだよ、
「まぁ気まぐれみたいなもんだ」
「丁度いたから連れてきたんだよ」
なんと俺ら三人に加えていたのは別のクラスの
しかも連れてきたのは燈璃らしい……繋がりあったのかコイツら。
まぁ天美が悪いヤツではないのは晴政からも聞いてるし俺自身も知ってるから、せっかくならコイツにも頼もうかとそう思った。
なにせ
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